(2025年9月訪問)
温泉ファンの間で夙に有名な川汲温泉「明林荘」を訪ねて日帰り入浴してまいりました。まず道道沿いにある狭い駐車場に車を停め、道路をわたって階段を下り、簡素な橋で川の対岸へ渡たりお宿へと向かいます。
こちらのお宿は外観を含めて全館撮影禁止となっているため、当記事では写真ではなくイラストを用いながら、お湯の良さを紹介させていただきます。ご了承ください。
川を渡ってお宿の目の前まで来ると、宿泊は左、浴場は右、という看板が出ているのですが、どうやら現在は宿泊営業を行っていないらしいので、客は必然的に右へ向かうことになります。すると銭湯のような男女別出入口があり、中へ入って下足棚に靴を収め、その先にある引き戸を開けると、男女脱衣室の間に番台がある昔懐かしい昭和の銭湯みたいな脱衣所が目の前に広がり、「あれれ、誰もいないのかな」と思う間もなく、お婆ちゃんがやってきました。私が入館するまで長い時間来客が無かったものと思われ、にもかかわらず私の訪問をすぐに察知して番台まで来るお婆ちゃんの機敏さにビックリです。駐車場から脱衣所までの動線のどこかにセンサーが設けられているのか、あるいは監視しているのか、引き戸の音で分かるのか・・・。
さて、このおばあちゃんに直接湯銭の500円を支払うのですが、私から500円玉を受け取るとお婆ちゃんの喋りが止まらなくなり、しばらくはお婆ちゃんのお話を聞きながら、当地で温泉施設を営む苦労を学びました。曰く、14年前(震災の年に発生した新潟福島豪雨の時か)に鉄砲水に襲われ、目の前を流れる川が増水してお風呂場などが泥水に飲み込まれてしまい、水道などはその時に使えなくなってしまい、以来今に至るまで修理していないそうです。たしかに水道は使えないのですが、温泉は自噴なのでお風呂には入れるようになりました。
お婆ちゃんのお話をひと通り伺ってからお風呂へと向かいます。お風呂は脱衣室から階段を下った低い位置にあり、高い天井、そして男女両浴室を仕切る黄色いアクリル板が印象的です。洗い場の床と浴槽は懐かしい感じの豆タイル張りで、浴槽の大きさは目測で約2.5メートル四方。壁には押しバネ式カランが取り付けられているものの、お婆ちゃんが言っていたように水栓が使いない状態なので、桶で湯船のお湯を汲んで掛け湯することになります。ということで私も掛け湯をしようと桶を手に取ろうとしたら、桶と腰掛は浴室の隅で綺麗に整然と並べられており、その様子からお風呂を大切にするおばあちゃんの気持ちが伝わってきました。
さてこちらの温泉は自家源泉から自噴しており、そのお湯が湯口から浴槽へと注がれています。加水や加温が無い完全かけ流し。無色透明で、湯船の中には浮遊物がちらほら舞っていますが、これが湯の花なのか否か、よくわかりません。湯口のお湯を飲んでみると、ほんのりとしたタマゴ風味と、強くはないがしっかりと伝わる石膏甘味が感じられます。湯船に浸かると滑らかな浴感が全身に伝わり、大変よくあたたまります。
この温泉はおそらくお婆ちゃんと一蓮托生かと思われますので、伺える時に伺って温泉の良さを味わいたいものです。
アルカリ性単純温泉 44.9℃ pH8.9 35L/min(自噴) 溶存物質0.789g/kg 成分総計0.789g/kg
Na+:101.0mg(40.39mval%), Ca++:118.1mg(54.19mval%),
SO4–:458.5mg(89.25mval%), OH-:0.1mg, HS-:0.5mg, CO3–:12.1mg,
H2SiO3:43.8mg, HBO2:20.8mg,
(令和元年5月16日)
北海道函館市川汲町179
7:30~21:00 無休
500円
ロッカー・石鹸類・ドライヤーいずれも無し
私の好み:★★+0.5

コメント
K-Iさん、イラストはご自分で描かれているのですか?
お上手で雰囲気が良く伝わります。
浴室までスケッチブック持参?
まさか裸で描かれているわけじゃないですよね(笑)。
Luntaさん、こんにちは。
イラストについてはテクノロジーに頼っております。
今は何でも便利な世の中になりました。