川原毛大湯滝

秋田県

秋田県湯沢市のウェブサイトによれば、同市の川原毛地獄は青森県の恐山や富山県の立山(地獄谷)と並ぶ日本三大霊地の一つなんだそうで、今から約1200年前に同窓という僧侶によって開山されたとされています。木や草が全く生えない火山のガレが広がる荒涼とした光景はまさにこの世の果て、あるいは地獄を思わせるに相応しい様相です。硫黄分で真っ黄色になった噴気孔からは鼻を強く刺激する硫化水素ガスや水蒸気がシューシューと音を立てながら勢いよく噴出され、この地で火山活動が活発に行われていることを窺い知ることが出来ます。
この火山活動により熱せられた温泉水が集まって沢となり、滝として一気に落ちている箇所が今回紹介する川原毛大湯滝です。滝そのものが温泉であり、滝つぼがそのまま浴槽になるという実に珍しい場所で、かの有名な北海道・知床にあるカムイワッカの滝と並び称されるほど、野湯好きの方なら誰しもがご存知の場所でもあり、そのワイルドさには誰しも魅了され、休日ともなれば必ず家族連れの観光客などが滝つぼに入って湯浴みを楽しんでいます。

川原毛大湯滝へは車では直接行くことができませんので、駐車場に車を置き遊歩道を歩いて向かうことになります。最寄りの駐車場から温泉の川に沿って歩くこと約15分、階段を下ってゆくとやがて滝の轟音が聞こえてきます。滝の傍の対岸には掘っ立て小屋ですが更衣室もあるので、そこで水着に着替えて滝つぼに入りましょう。
滝から流れ落ちるお湯は無色透明の酸性硫黄泉で、口に入ると口腔内が収斂し、飛沫が目に入ると沁みます。ですからあまり飛沫が多く掛かるような場所だと落ち着いて入れないかもしれません。私が訪問した8月中旬の曇天の日、滝つぼで湯温が40.5℃、更衣小屋へ渡る橋近くまで下っても40.1℃に温度が保たれていましたので、ちょっと川下で浸かるのもいいかと想います。そんなの関係ないやという人は是非滝つぼへ。滝は2筋落ちていますが、向かって左側の滝の滝つぼがまるで岩を刳り貫いた湯船のようになっており、深さも丁度よい具合で湯加減も程よく、実に爽快です。

この川原毛大湯滝は湯温の関係で夏に入るのがもっとも相応しいと思われます。冬季(11月上旬~5月上旬)は道路が閉鎖されているので行くことすらできませんが、それ以外の時期でも春や秋ですと湯温が低くなってしまい湯浴みするには適しません。気温が高くなって冷めにくくなる夏休みに訪れるのがよいでしょう。また硫黄分の付着により川の岩や石はとても滑りやすくなっていますので、怪我しないようにご注意ください。

なお、川原毛地獄の駐車場は二つあり、ひとつは泥湯温泉を通って小安峡と秋の宮温泉を結ぶ県道310号線沿いに設けられた川原毛地獄頂上のものと、もうひとつは県道51号線から南へ伸びる狭隘な山道をひたすら進んだドン詰まりにあるものですが、大湯滝へは後者の方をおすすめします。というのも前者は上述の通り地獄の頂上にあるのに対し、後者は地獄の下部に位置しており、大湯滝はその更に下にあるので、前者に駐車すると往路は歩道を下りていけばいいのですが、復路は1キロ半ちかくある山道をひたすら登らなくてはいけないので、まさに地獄を味わうことになります。その点後者の方が徒歩の距離が短く済むので楽なのです。後者の駐車場に行く場合は、国道13号方面から県道51号線に入って小安峡方面に向かえば要所要所に看板が立てられていますので、それに従って脇道へ入っていけばたどり着けます。途中行き違いの出来ない狭隘な区間が多いので運転にはご注意を。


湯浴みに興じる家族連れ


湯船に丁度よいサイズの滝つぼ


地獄から湧いて流れてくる温泉の川。
撮影時には46℃ありましたが、季節をずらせば入浴できる湯温になりますので、
もし大湯滝の湯温がぬるい場合はこちらの川に入ってしまうのもいいかも


川原毛地蔵菩薩


灰白色の荒涼とした景色が広がる地獄地帯
あちらこちらから火山性ガスが音を立てて噴出しています


硫黄で黄色くなった噴気孔


川原毛地獄の頂上から大湯滝方向を見下ろした様子
頂上と滝の間にはかなりの高低差があります

酸性-含二酸化炭素・鉄(Ⅱ)-塩化物泉
94.5℃ pH1.41 蒸発残留2600mg/kg

秋田県湯沢市高松字高松沢国有林内
湯沢市物産観光情報(川原湯地獄のページ)

道路閉鎖期間(通常):11月上旬~5月上旬
従ってそれ以外の期間ならば訪問できますが、入浴するなら7月下旬~9月上旬がよいと言われています。

無料 水着着用

私の好み:★★★

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