(2024年8月訪問)
2024年8月某日、私は関東以北で最も高い山である「日光白根山」を登り、ついでに前白根山や五色山などが連なる外輪山の稜線をぐるっとまわって、夏山歩きを存分に満喫しました。そしてロープウェイで丸沼高原へ下山した後、登山の汗を洗い流すべく・・・
「シャレー丸沼」を訪ねてひとっ風呂浴びました。丸沼高原スキー場のゲレンデ前にある昭和の面影が強いスキーロッジで、館内にある温泉浴場では日帰り入浴も可能です。夏季には素泊まりホテル営業の他、ゲレンデ下部がキャンプ場として開放されるため、ロッジのフロントはその受付も兼ねています。実際に私が訪問した時にも数組のキャンプ利用者がフロントで手続きをしていました。なお、現在は丸沼高原のロープウエイ乗り場2階で綺麗な温泉浴場が営業していますが、それができる以前はこのロッジが当地における日帰り入浴の需要を一手に引き受けていたようです。
フロントで日帰り入浴料金を支払い、廊下を進んで浴場へと向かいます。なお無料の貴重品ロッカーはフロント近くに設置されています。外観のみならず館内も昭和の面影がたっぷり残っていますが、綺麗に管理維持されており、利用する分には全く問題ありません。
暖簾の先にある脱衣室には扇風機の他に冷たい飲み水のサービスがあり、お風呂上がりのクールダウン対策もぬかりありません。なおエアコンは設置されていませんが、そもそもここは高冷地で涼しいため冷房の必要はありません。
内湯の浴室はこんな感じ。後述するように金気の多い温泉なので、室内の床が全体的に赤黒く、壁に用いられている広いタイルとの色合い的な対比が印象的です。個の浴室の場合は右手にシャワー付きカランが5個並び、左手に浴槽が据えられています。
この浴槽は台形のような形状をしており、おそらく5~6人サイズではないでしょうか。湯船には赤茶色に濁った温泉が絶え間なく注がれており、浴槽の底が見えないほど強い濁りを呈しています。なお縁を越えるようなお湯のオーバーフローは人が入った時だけ発生し、普段は湯口左側に設けられたパイプから露天風呂へ流れる仕組みになっています。
露天風呂はいわゆる岩風呂で、木立の向こうに近隣の山々が連なるとても清々しい環境です。浴槽内部には段差があるのですが、お湯の濁り方が強いため段を目視にしくく、入浴時には足元に注意を要します。この露天風呂には先述したように内湯のオーバーフローが流れ込むほか・・・
岩の上からもお湯が落とされています。この岩には顎髭のような造形の析出がコンモリ付着しており、温泉成分の濃さがビジュアル的に伝わってきますね。
分析表によれば、鉄分は決して多く含まれていないものの赤錆系の金気が強く、且つ芒硝のクスリ味もしっかり感じられます。そして湯船に浸かるとキシキシとひっかかる浴感が得られます。湯口から出た時点では無色透明ですが、すぐに酸化されるのか、湯船では透明度20cmあるかないかの強い濁りを呈します。あくまで私個人の実感ですが、露天よりも内湯の方がお湯の鮮度が良かったように感じられました。館内には「無濾過の源泉を使用しています」という文言以外に、湯使いに関する説明が見当たらなかったのですが、ネット上の情報によれば内湯が掛け流しで露天は循環かけ流し併用とのことです。とはいえこのような濁りが強いお湯をろ過させないで循環すると機器に支障をきたすでしょうから、露天風呂のあの濁り方を見るとかけ流しかそれに準じた湯使いだとしても不自然ではないでしょう。
高原の涼しい風に吹かれながら赤茶色の濁り湯に浸れば、登山の肉体的疲労はもちろん、下界で蓄積されてしまった日々の憂さもいっぺんに吹き飛びます。素敵な温泉でした。
座禅温泉菅沼1号・菅沼3号混合泉
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 45℃ pH6.7 蒸発残留物2.040g/kg 成分総計2.217g/kg
Na+:336.8mg, Ca++:292.4mg, Fe++:5.1mg,
Cl-:208.4mg, HS-:0.1mg, S2O3–:0.1mg, SO4–:852.5mg,
H2SiO3:59.7mg, CO2:59.7mg, H2S:0.3mg,
(令和2年9月28日)
群馬県利根郡片品村東小川4658-58
0278-58-4300
ホームページ
日帰り入浴15:00~
800円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
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