ヒマーチャル・プラデーシュ州 バシスト村の温泉公衆浴場 

インド

(2025年3月訪問)
今回記事からインドの温泉を取り上げます。2025年3月に私は初めてインドを旅行し、タージマハルやガンジス川といった代表的な観光地を巡った後に、温泉が点在している北部のヒマーチャル・プラデーシュ州を訪ねて、限られた旅程の中で存分に温泉巡りを楽しみました。なお移動や宿泊など旅行に関する具体的な情報や、現地の情報を得るに当たってお世話になった方や情報源などについては後日別個の記事に致します。

まずは首都デリーを早朝に発つターボプロップ機に乗って、ヒマーチャル・プラデーシュ州のクル空港へ。空港からは事前に手配していた貸切車に乗って北部の観光都市マナリを目指し、マナリから更に山間へ入った先にあるバシスト村の宿で一晩を過ごしました。なぜホテルがたくさんあっていろいろと便利なマナリの街ではなく、その奥に位置するバシスト村で泊まったのかといえば、この村には温泉浴場があるからに他なりません。

マナリはバックパッカーの聖地なんだそうですが、特にこのバシスト村はそうした雰囲気が強く、地元住民の他、長期滞在と思しき外国人旅行者の姿も見られます。村を貫く一本道の両側にはホテルや飲食店、土産物屋などが並んでおり、僻地ながらあまり不便さは感じられません。

こちらは宿泊したホテルの窓から眺めた景色です。絶景ですね。
私が旅をしたのは3月。デリーやバラナシといった都市は既に30℃以上の暑い気候でしたが、標高2000メートルを超えるこのエリアはダウンジャケットを着ないと耐えられないほど寒く、目の前に連なる山々は真っ白に冠雪していました。

坂道になっている村の一本道(商店街)を登ってゆくとやがて村の中心部に当たる広場に行きつきます。この広場にはヒンドゥーの寺院があり、私が訪ねた時には地元の方がお祈りをささげていました。

さてこの寺院には、なんと男女別の温泉公衆浴場が設けられているのです。入口で靴を脱いで裸足で境内を歩いた奥に、男性用露天風呂があります。上画像の右側に「MEN’S BATH」と書かれた看板が見えるかと思いますが、看板の矢印が指し示す狭い通路を進んだ先に、温泉露天風呂があるのです。
こちらのお風呂は露天とはいえ四方を高い塀で囲まれているため、やや閉塞感があり、しかも後述する上段のお風呂と異なり洗い場が無いため、ちょっとの掛け湯をするだけでいきなりお風呂へ入ることになります。

この画像の中央は寺院の境内へ入るゲートで、ここで靴を脱いで中へと入ります。上述の男湯はこの中です。
一方、その右側に写っているのは女湯の入口で、女湯利用者もここで靴を脱ぎ、ステップを下ってお風呂へと向かうことになります。当然ながら女湯には入っていないので内部の様子を窺い知ることはできませんが、おそらく露天風呂ではなく密閉された内湯かと思われます。男性入浴客は上述した境内の露天風呂の他に後述するお風呂もあるため、利用客が二手に分散されるのですが、女湯はこの一か所のみであるため客が集中してしまい、ぱっと見たところ比較的混雑が常態化しているようでした。

さて寺院の境内から一旦出て階段を上がり隣のブロックへ移ると、このような案内が表示されており、その看板に記されているように・・・

この先にも男性用露天風呂があるのです。ここで靴を脱いで中へ。下足棚の上には寄付金箱がありますので、お気持ちがあれば任意のお金を納めましょう(ほとんどの人は無料で利用していますが)。利用可能時間は5:00~20:00です。

露天風呂はこんな感じ。上述の寺院内露天風呂と比べて開放感があり、浴槽自体も大きく、洗い場のスペースもしっかり確保されています。利用の際には壁のフックに衣類や荷物を引っかけ、下着姿あるいは水着に着替えて、まずは画像奥に写っている洗い場に向かい、体をしっかり洗います。私が利用した際にも、皆さん石鹸を泡立ててゴシゴシと体を洗ってから湯船へ浸かっていらっしゃいました。洗い場と言ってもカランがあるわけではなく、洗い場の床へ突き出たパイプから温泉のお湯が常時吐出しているだけですが、これがあるだけでも湯船の清潔さが保たれますね。

こちらのお湯は無色透明ながら硫黄の香りがふんわり漂い、湯船の中では白い湯の花がたくさん舞っています。なお味は薄いのですが、石膏や芒硝のような味が少々感じられました。
浴槽はかなり深い造りで、座るのではなく立って入ると良い感じです。肩まで湯船に浸かると少しながらキシキシする浴感が得られました。ちょっと熱めの湯加減でしたが、外気はかなり冷え込んでいたので、むしろその湯加減のお蔭で体を芯からしっかりと温めることができました。
言わずもがな完全かけ流しの湯使いです。

日本から遠く離れた異国の地で、硫黄の湯の香が漂うかけ流しの温泉露天風呂に入れる幸せ・・・筆舌に尽くしがたいものがありますね。

さて、このバシスト村では、入浴以外にも温泉が使われています。次回記事では村の様子を織り交ぜながら、温泉がどのように活用されているのか取り上げます。

次回記事に続く。

コメント

  1. Lunta より:

    K-Iさんのインド旅行記、お待ちしておりました!
    初インドでヴァシストまで行かれるとは、さすがです。
    私は9年前に行きましたが、K-Iさんが入られた露天風呂がその当時は女風呂だったようです。写真はありませんが、中の様子がそっくりなので。入り口など変わっているようなので確かではありませんが。
    ご参考までにその時の記事です。
    https://lunta-november.hatenadiary.com/entry/2016/10/11/163722
    この先もどこへ行かれたか、楽しみです!

    • K-I より:

      Luntaさん、コメントありがとうございます。
      初インドの記録を旅行の達人にご覧いただくのは恥ずかしいのですが、何卒お手柔らかにお願い致します(^^)
      Luntaさんの旅行記も、私が旅行する前に拝見しておりました。大変参考になりました。この場を借りて御礼申し上げます。
      ところで、バシストの寺院は2019年頃に建て替えられたらしく、その時から現行の男湯2ヶ所、女湯1ヶ所という体制になり、女湯の入口は境内の中ではなく、門の外側(右手)へ移されたようです。
      https://hashigoyu.com/around-the-world/t324/
      この後訪ねた温泉につきましても記事にしてまいります。

タイトルとURLをコピーしました