前回記事の続編です。
前回記事ではインド北部の観光地であるマナリの街から幹線道路を約7km南下したところにあるカラトゥ地区の有料露天風呂を取り上げました。この露天風呂は集落とは川を挟んだ対岸(東岸)にあり、鉄橋で川を渡って向かうことになるのですが、今回取り上げる2つの公衆浴場は集落と同じ川の西側にあります。
まず訪ねたのは上画像の地点。ファミリーと思しき4人組が狭い路地の奥からこちらへ向かって歩いてきますね。そしてこの路地には地中から立ち上がっている太いパイプが奥へ奥へと伸びています。しかも塀の上には”BATHROOMS”と書かれた看板が掲げられているではありませんか。
お風呂上がりと思われるこのファミリーが歩いてきた狭い路地を進んでゆくと・・・
公衆浴場に行き当たりました。温泉から上がる濛々とした湯気で画像全体が白っぽくなっていますね。先程の太いパイプは源泉の送湯管だと思われます。昔からある浴場なんだそうで、是非とも入ってみたかったのですが、訪問時はあまりに混雑してカオス状態だったため、ここでの入浴は断念しました。ちなみに私がここを訪ねたのは午前10時。お昼前の午前中なのに公衆浴場が混むだなんて、日本ではあまり考えにくい状況ですが、当地には当地なりの生活文化や事情があるのでしょう。
続いて向かったのはこちら。河原に建つ掘っ立て小屋です。
小屋の前に広がる河原には温かい温泉のお湯が流れています。上画像で赤っぽくなっている河床が温泉の流路です。
掘っ立て小屋の内側はこのように露天の公衆浴場となっており、訪問時は地元のおじさんでとても賑わっていました。決して空いているとは言えませんが、でもこの利用状況なら問題なく入れそうでしたので、上画像の左側にある受付小屋で入浴料の25ルピーを支払って入場し、トタンの壁にずらりと並ぶフックに荷物や衣服を引っかけながら水着に着替え、他のお客さんに倣って浴槽のオーバーフローが出る洗い場で体を洗ってから湯船に入りました。
なお脱衣所など着替えるための空間はありません。予めバスタオルを用意し、腰に巻くなどして下半身を隠しながら、浴槽際の壁に並ぶフックの下で着替えることになります。また洗い場にはシャワーなどもありません。浴槽のオーバーフローを浴びるか、もしくは衣類用液体洗剤の容器を改造した手桶で掛け湯するなどして体を洗うことになります。石鹸などの備え付けもありませんから、事前に用意しておきましょう。
太いパイプから浴槽へドバドバ大量に温泉が供給されており、惜しげもなくかけ流されていました。なお湯船の温度は41.0℃ですから日本人でも満足できる丁度良い湯加減です。泉質はおそらく重炭酸土類泉か塩化土類泉、もしくはそれに準じたタイプと思われ、薄い山吹色を帯びながら弱く濁っており、鉄錆系の金気味がしっかり感じられました。体の芯まで温まる良いお湯です。
湯船に浸かって寛ぐ人、仲間とおしゃべりする人、湯口から落ちる温泉を肩に当てて打たせ湯を楽しむ人・・・入浴スタイルはそれぞれですが、そのいずれもが日本でも同様に見られる行動様式であり、インドでもこの地域では人々の生活の中に温泉が根付いていることを知って、同じく入浴文化がある日本人の一人として嬉しくなりました。
さて、次回記事では宗教と結びついたインドの温泉を取り上げます。
次回に続く。
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