(2023年8月宿泊)
今回と次回の記事では2023年の夏に宿泊した蔵王温泉「おおみや旅館」について取り上げます。ブログでも情報鮮度が重要視される昨今、いまさら2年前の話を今更持ち出すのは愚の骨頂かもしれませんが、地獄のような猛暑が続いている今日この頃、真夏なのにとっても涼しかった蔵王温泉の想い出に浸ることで、せめてブログ記事の中だけでも一服の清涼を得ようと考え、今回ご紹介させていただきます。「おおみや旅館」といえば上湯共同浴場のすぐ隣にある老舗旅館であり、ご存じの方も多いかと思います。
帳場の奥にあるロビーラウンジは素足で歩くと気持ち良い畳敷きです。館内は大正ロマンのイメージに沿った形でリノベーションされており、レトロの中に現代的感覚を共存させることで、タイムスリップしたような雰囲気と実用性や快適性を兼ね備えています。
このラウンジに限らず廊下を含めて全館畳敷きになっているのがすごいところ。斜面に沿って建てられているので館内は階段が多く、階層構造も複雑なのですが、むしろそのような独特の構造に非日常を感じ、童心に返ってわざと館内を迷いたくなってしまいました。
予約したお部屋は縁無し畳の上にベッドが置かれている和洋折衷のお部屋。畳が持つ居心地の良さとベッドの寝心地を両立させている大変居住性の高い客室です。
お茶や冷水、お湯などの他、各種アメニティなど、様々なものが用意されており、宿泊中は不便を感じることがありません。室内の洗面台も綺麗に整えられているので快適です。
なお客室には窓クーラーが設置されていますが、猛暑の8月にもかかわらず朝晩は長袖が欲しくなるほど涼しくなるため、宿泊中にクーラーを使うことはありませんでした。
夏の山形県は果物王国ですよね。お部屋に用意されていたウェルカムフルーツがとっても美味でした。
宿泊中にしばしば利用したのが2階にあるこの「おくつろぎラウンジ」です。室内にはコーヒーや麦茶、甘味類などが用意されているほか、各種書籍、オセロや囲碁将棋など、宿泊客なら自由に利用することができ、広い空間でのんびり過ごせます。また室内の一角では鈴虫が飼われ、涼しげな鳴き声を放っていました。
この「おくつろぎラウンジ」からは温泉街が一望できます。この画像を見るとわかるように、遠くの山並みに雲がかかっていますが、その雲が低い位置に見えるほど、この蔵王温泉は標高が高い訳です。その高さが涼しさをもたらしてくれるのですね。この日、下界は35℃の猛暑でしたが、蔵王は朝晩に20℃近くまで下がり、涼しいを通り越して若干肌寒いほどでした。とくにこのラウンジは風通しが良く、本を読んだり景色を眺めたりしながら「こんな涼しくて快適なところで毎日過ごしたい。東京へ帰りたくない」と泣き言をこぼしてしまいました。
さて夕食・朝食ともにお食事は1階の食堂でいただきます。
こちらのお料理は可能な限り地場産食材を使っているそうです。
上画像はこの日提供された夕食です。
手前の小鉢はとうもろこし豆腐とジュンサイなめこ。左奥の前菜は鰈の木の芽田楽、いちじく白和え、スモークポーク、ミニトマト生ハム巻き、鶏つくね海苔巻き揚げ、夏野菜グラタン、うざく。左下のお造りは鯛とサーモンのたたき、ホタテの昆布締め、イカ海老フラワー。右上のメインは山形牛の冷製しゃぶしゃぶで、旬の野菜があしらわれており、ドレッシング(2種)をかけていただきます。
左上は炊き合わせの枝豆饅頭、茄子、椎茸。右上は庄内地方の郷土料理である「麦切り」です。「麦切り」とは所謂うどんの一種ですが、一般的なうどんより平たくて細く、冷やしていただきます。下段のご飯は山形県産米「つや姫」です。
朝食は朱塗り漆器の二段重に収められて提供されました。一の重は赤魚西京焼き、だし(山形の郷土料理)、厚揚げ、小松菜煮びたし、温泉たまご、青菜しぐれ。二の重は山菜煮つけ、玉こんにゃく、がんも、サラダ、香の物といったラインナップです。彩り豊かな料理ですので見るだけでも気持ちが明るくなります。食べておいしいのは言わずもがなです。
お重のほかに卓上では固形燃料で熱せられた蒸篭も提供され、米の娘ぶたシュウマイが蒸されていました。これもまた美味。ご飯やお味噌汁のお供になっているのは山形牛の煮込み。ご飯が進む美味しさです。
山形県は食材の宝庫ですから、どれをとっても実に素晴らしく、いまだに思い出して舌なめずりしちゃうほど心に残る美味しさでした。
さて、次回記事ではお風呂について取り上げます。
次回に続く。
コメント