(2024年12月訪問)
私は国内のみならず海外の温泉も多数訪ねていますが、近いエリアで似たような施設をハシゴしていると、その数年後には訪ねたことが有るのか無いのか記憶が定かではなくなり、十年以上経過すると「未訪問だ」と信じ込んでしまうこともしばしばです。あるいは近隣施設と混同してしまう場合も多々あります。もちろん温泉施設を利用する都度に入浴記録を残しているのですが、脳の老化により記憶が朧げになり、記憶と記録がリンクしなくなってゆくのです。
今回訪ねる藤崎町(旧常盤村)の老人福祉施設「ときわ温泉」もそのひとつ。今回現地へ向かうまではてっきり初訪問だと信じ込んでいたのですが、駐車場に到着して建物を目にしたとき、脳の奥底にしまいこんでいた記憶が断片的に蘇り、「もしかして…」と思ってGoogle Driveに保管している入浴記録をその場で調べてみたら、2010年11月に一度利用していたことがわかりました。初めから記録を確認しておけばよかったのですが、どうしても若い頃の自分の記憶力を頼ってしまって確認を疎かにし、現地へ行ってようやく「初訪問じゃなかったのか」と肩を落とすことになります。
でも今回の再訪は決して無駄ではなかったようです。と言いますのも、前回訪問から4年後の2014年にリニューアルされたらしいので、どのように変化したのか自分の眼で確かめる良い機会なのです。リニューアル前の様子をちゃんと覚えていれば・・・の話ですが。
道路から敷地へ入ると手前にこのような車寄せを有する玄関があるのですが、こちらは老人福祉施設の正面玄関です。
その正面玄関の右側に勝手口のような出入口があるのですが、温泉利用者はこちらから入ります。老人福祉施設ですが、温泉浴場に関しては老人に限らず誰でも利用できます。
靴を玄関右側の靴箱に入れて鍵を取り、券売機で料金を支払います。何でもかんでも値上げされちゃう物価高騰の昨今、たった300円で温泉に入れるとは驚かされますね。
私の個人的な印象で更衣室の様子を表現すると、青森県の温泉銭湯によくあるようなレイアウトや雰囲気で、床はビニールシート張り、棚にカゴがズラリと並べられており、役場や保健所など公的機関からのお知らせが掲示されていたりして、全体的に無彩色で飾り気が無いけどそこそこ広い実用本位な室内といったような感じです。
訪問時は利用客で混み合っていたので浴室の画像はございません。以下文章のみとなりますので、ご了承ください。
お風呂は内湯のみで露天風呂はありません。あくまで老人福祉施設なのですからお風呂の造りも実用本位に徹しているのでしょう。でも浴場内の床や浴槽内には十和田石が採用されているので、肌触りが良好です。男湯の場合、入って右側にシャワー付きカランが計10個並んでいます。また出入口そばの右側には温泉のお湯を使った掛け湯も設けられています。その逆サイドとなる出入口側左手にはサウナが設置されており、樽風呂のような小さな水風呂もあります。
浴槽はかなり大きなものが1つだけで、男女両浴室を仕切る塀の直下に据えられています。この浴槽をもう少し細かく見てゆくと、浴槽奥の壁に小さな湯枡のようなものがあり、そこへ熱い源泉が一旦注がれ、湯枡から溢れたお湯が主浴槽へ落とされるようになっています。そして浴槽を満たしたお湯は洗い場の床を惜しげもなくオーバーフローしており、その量はトド寝ができそうなほど。つまり源泉投入量も多いわけですね。おそらく完全かけ流しの湯使いでしょう。
私の利用時、浴槽の温度計は44℃と表示されていましたが、確かに湯船はそのくらい熱かったように記憶しています。いつもこんなに熱いのかしら。あんまり熱いとお爺さん達の体に良くないと思うんだけど…。そのお湯はほんのり黄色(もしくは褐色)を帯びているように見えましたが、ほぼ無色透明といっても差し支えなく、香りはあまり無いかわり弱い金気のような味が感じられました。津軽地方の温泉浴場には金気を含む冷鉱泉で水風呂を提供しているところがありますが、その冷鉱泉の金気を薄くしたような感じと言えそうです。分析表で注目すべきは炭酸イオンの多さであり、1kg中42.6mgも含まれています。この炭酸イオンの影響でツルツルスベスベとした滑らかな浴感が強く得られ、湯船に浸かっている時間だけはオッサンの私も美人肌になれちゃいます。
津軽平野の温泉には様々なタイプがあり、たとえば今回の旧常盤村周辺には、板柳周辺のアブラ臭塩味、弘前周辺の薄塩味、浪岡のモール泉など異なる特徴を有する温泉が湧出していますが、そうした個性的な各エリアの温泉の間にあって、この「ときわ温泉」は味や匂いこそ薄いものの湯温は結構熱く、しかも炭酸イオンがかなり多いという、一見すると個性が弱そうですが温泉の力強いパワーをしっかり持っている侮りがたい温泉です。
さて当記事の前半で、私の前回訪問時と今回との間にこの浴場にてリニューアルが行われているから、その前後でどのような違いがあるのか、確認したいようなことを述べておりましたが、不摂生な生活が悪影響をもたらしているのか、脳の著しい劣化により前回訪問時の記憶が完全に喪失しており、リニューアル前後の違いは全くわかりませんでした。私もこの施設でお世話になるべき老人なのかもしれません。
常盤源泉
アルカリ性単純温泉 45.9℃ pH8.69 湧出量測定不能(動力揚湯) 溶存物質0.833g/kg 成分総計0.833g/kg
Na+:210.6mg(95.92mval%),
Cl-:123.3mg(35.80mval%), HCO3-:250.5mg(42.28mval%), CO3–:42.6mg,
H2SiO3:170.9mg,
(平成27年8月19日)
青森県南津軽郡藤崎町常盤富田70-1
0172-65-2626
紹介ページ(社会福祉法人藤崎町社会福祉協議会公式サイト内)
7:00〜21:00 毎月1日定休
(1日が日曜及び祝祭日の場合は翌日が休業日)
300円
ロッカー(100円リターン式)、ドライヤー(20円有料)あり
私の好み:★★+0.5
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