蔵王温泉 おおみや旅館(後編 お風呂)

山形県

前回記事の続編です。
(2023年8月訪問)
お風呂の出入口は帳場のすぐ目の前に出入口あり、この柿色の暖簾の向こう側で、「玉子風呂」及び「源泉風呂・泡風呂」という2つの浴室に分かれます。男女でこの2室を使い分けており、夜中だったか早朝だったか、記憶は定かでないのですが、たしか多くのお客さんが寝静まっているタイミングで暖簾替えが行われます。

●玉子風呂
チェックイン時、「玉子風呂」に男湯の暖簾がさがっていましたので、まずはこちらから入ることに。古い建物をリノベーションしているため、全体的に狭いのは仕方がないのですが、とはいえ流石老舗旅館だけあって脱衣室は綺麗に維持されており、快適に利用できました。

「玉子風呂」の浴室は総木造で、大きな窓からは外光もしっかり降り注いでおり、木のぬくもりと相まって優しく柔らかな印象を受けます。室内中央には真ん丸の浴槽がひとつ据えられ、その浴槽形状が浴室名の由来になっているようです(私はてっきり硫黄泉から放たれるタマゴ臭から来ているのかと思っていました)。

自家源泉のお湯が硫黄の香りを放ちながら、静かに湯船を満たしています。

浴槽の周りにはシャワーが計4個設置されています。

「玉子風呂」の屋外には蓆掛けになっている露天風呂があり、石積みの擁壁からお湯が出ています。湧出したばかりのお湯をそのまま投入しているためか、私が利用した時の湯船のかなり熱い湯加減になっており、つま先だけお湯につけて退散してしまうお客さんもかなりいらっしゃいました。温泉は自然の恵みですから、その恵みをありのままの形で享受するのは難しいわけですね。

●「源泉風呂・泡風呂」もうひとつの浴室「源泉風呂・泡風呂」も総木造ですが、こちらには大小の長方形の浴槽が1つずつ据えられ、隣同士に並んでいます。

右側の浴槽は源泉そのままのお湯が注がれており、かなり熱い湯加減でした。

他方、左側は「泡風呂」と称され、お湯も浴槽も妙に白く、硫黄の白い付着も目立っています。こちらは入りやすい湯加減でしたから、もしかしたら湯温低下に伴い湯ノ花が発生して白濁を呈し、浴槽内などにも付着して全体的に白く見えるようになっているのかもしれません。

こちらの浴室にも蓆掛けの露天風呂があり、「玉子風呂」の露天と同様に石積み擁壁からお湯が引かれているのですが、やはり箆棒に熱くて入るのが躊躇われました。加水するとお湯が薄まってしまうし、かといって加水しないと熱くて入れないし、なんとも難しいところです。外気温が下がれば湯加減も良くなるのでしょうけど、冬期は積雪のため露天が閉鎖されるそうですから、これまた如何ともし難いですね。

自家源泉のお湯は薄く灰色と青みを帯びた白濁で、湯中では白い湯ノ花が舞っており、明礬泉らしい収斂酸味と弱いタマゴ臭が感じられます。蔵王のお湯はどこも酸っぱく、とりわけ近江屋源泉は酸味が際立っているように感じるのですが、にもかかわらずなぜかマイルドさも兼ね備えており、肩まで湯船に浸かるとフッと息をつきながら肩の力が抜けてゆくような穏やかな境地に至りました。湯使いは言わずもがなのかけ流し。実に素晴らしいお湯です。

前編でも申し上げましたが、東京は35℃以上の猛暑日でもここは夜になると20℃近くまで涼しくなり、窓を開けておくと風邪をひきそうになるほどでした。温泉はもちろん、避暑地としても素晴らしい場所ですね。美味しい料理に舌鼓を打ち、極上の硫黄泉に浸かって日々の疲れを癒す…もう最高です。

近江屋1号源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 51.7℃ pH2.0 蒸発残留物2808mg/kg 溶存物質2375mg/kg
H+:10.1mg, Na+:52.2mg, Mg++:68.4mg, Ca++:86.7mg, Al+++:102.8mg, Fe++:6.9mg,
F-:13.9mg, Cl-:285.3mg, HSO4-:371.9mg, SO4–:1104mg,
H2SiO3:232.2mg, CO2:335.1mg, H2S:14.9mg,
(平成28年6月2日)

近江屋2号源泉
酸性・含硫黄-硫酸塩・塩化物温泉 51.1℃ pH1.9 蒸発残留物2470mg/kg 溶存物質2688mg/kg
H+:14.2mg, Na+:61.2mg, Mg++:102.4mg, Ca++:90.0mg, Al+++:63.1mg, Fe++:7.8mg,
F-:11.4mg, Cl-:381.6mg, HSO4-:542.7mg, SO4–:1141mg,
H2SiO3:199.8mg, CO2:447.9mg, H2S:9.7mg,
(令和4年11月28日)

山形県山形市蔵王温泉46
023-694-2112
ホームページ

私の好み:★★★

 

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