※残念ながら現在この施設は2011年8月に発生した水害のため閉鎖中です。
日本屈指の秘境と言われる奈良県十津川村は、温泉ファンには有りがたいことに村内全ての温泉施設において源泉掛け流しを宣言しています。大抵掛け流しにするか否かは施設側の自主判断に委ねるものですが、村を挙げて掛け流しを断行してしまうところに、十津川村の温泉に対する自信と意気込みが感じられます。
十津川村の温泉地は大きく3か所に分けられますが、今回は村南部の上湯温泉の一角に湧く出谷温泉公衆浴場「つるつる乃湯」を取り上げます。上湯温泉の一部とみなしていいような気もしますが、一応現地では出谷温泉は別物として扱われています。
龍神へ伸びる狭隘な県道735号線に沿って上湯川を遡ると、十津川温泉から約5キロほどで到着。狭い谷間なので駐車スペースもそれほど確保されておらず(4~5台ほど)、停めれるかはその時の運次第。
湯屋は川沿いにあるので、歩いて川の方へ階段を下っていきます。階段入り口には「上湯温泉と川下湯出谷温泉は無関係」という旨の看板が立てられていました。公衆浴場とその他の日帰り入浴の施設は別々の経営だから料金も違うよということを訴えたいのでしょうか。
左:湯屋の様子。渓流に沿った猫の額のような狭いスペースに建てられており、開業してまだ10年未満で比較的新しめですが、飾り気のない木造で、好感持てます。
右:湯屋の傍に設置されている野猿。対岸へ渡るために用いる日本古来の人力ロープウェイみたいなもんです。ちゃんと動きます。
脱衣所への廊下には、地元の小学生たちお手製による温泉解説書がビッシリと掲示されていました。温泉の定義とは?温泉はどのようにできるのか?といった総論的なものから、ここ「つるつるの湯」はなぜつるつるするのか?一日の湧出量は?などなどこの温泉の独自データまで、子供達がそれぞれ分担して一生懸命書いて説明してくれています。微笑ましい子供たちの姿と地元の温泉愛が伝わってきました。
お風呂は4人サイズの内湯一つだけという至ってシンプルな構造。上湯川の渓流を目の前に眺めながら気持ちよく湯あみできます。川から吹いてくるひんやりした風が火照った体をクールダウンしてくれるので、つい長湯をしてしまいそう。
無色透明で重曹の味がはっきり、そして明礬的匂いや重曹泉にありがちな土っぽい匂いが感じられます。つるつる乃湯という名前と重曹泉という泉質から、強いつるつる感を期待していたのですが、訪問時は若干お湯がなまっていたのか、あるいは加水したためか、たしかにつるつる感はあったものの、それほど強くは感じられませんでした。でも湯あがりはさっぱりと清涼感があります。
目立って特筆すべき特徴はないかもしれませんが、自然に囲まれた素朴な施設であることがここの良いところで、渓流の傍で掛け流しのお湯につかりながら秘湯気分に満たされ、のんびりと静かな時間を過ごすにはいいと思います。
ナトリウム-炭酸水素塩泉
74.0℃ pH不明 成分総計1.277g/kg
奈良県吉野郡十津川村出谷118 地図
07466-4-0303
8:30~18:00 火曜定休
500円
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★
※今月(2010年6月)20日~30日まで、十津川村では源泉掛け流し温泉感謝祭と称するイベントが催され、期間中は6つの温泉施設が無料開放されるそうです。この出谷温泉や上湯温泉は対象に含まれていませんが、十津川温泉や湯泉地温泉の共同浴場などが無料対象となっているので、この機会に訪れてみてはいかがでしょうか。でも週末は混むんでしょうね(通常の週末だって駐車場に苦労するほど混雑してますから…)
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