約550年前に開湯されたとされる十津川村の湯泉場温泉。私ははじめ「温」泉場温泉と勘違いして読んでしまいました。十津川村の役場周辺には宿や入浴施設が何軒か点在していて、小さな温泉郷を形成しています。共同浴場は2つあり、今回取り上げるのはそのひとつの「滝の湯」です。大半の温泉宿や施設は集落がある川の東岸に立地しているのですが、滝の湯は川の反対側にあるので、国道168号から道の駅と役場に挟まれた信号を曲がって橋を渡り、ちょっと坂を登って到着という道順になります。
訪問時は連休だったので駐車場の外には空車待ちの列ができ、館内も大混雑でした。券売機でチケットを買って中へ。昨年(2009年)の3月に改装してリニューアルオープンしたばかりなので、内部は明るくとてもきれい。入口から内湯まではバリアフリーに配慮された構造になっていました。林業の盛んな地域的特色を活かして、全体的に木材を多用したウッディな内装です。休憩室もあるので湯あがりにゴロンとできますね。
内湯に入ると、壁や天井も用いられている木材の香りとともに、お湯から立ち上るタマゴのような硫黄の匂いがふわっと鼻を突きます。カランはシャワー付き混合栓が5~6基ほど並び、備品の桶や腰掛けも木製。浴槽は石板貼りで、無色透明、熱めのお湯が掛け流されています(この時は混雑しており他のお客さんに迷惑が及ぶため、湯口周りのみの撮影にとどめました)。はっきりとしたタマゴの匂いから想像つきますが、味もタマゴ味。わかりやすく硫黄らしさが出ています。白い湯の花(と思しき浮遊物)もちらほら舞っています。つるすべ系の気持ちよい浴感です。
内湯から階段を下って露天風呂へ。改装前、内湯から露天へ行くには一旦着衣せねばなりませんでしたが、レイアウト変更により今では裸のまま露天へ行くことができます。ただしバリアフリー化のため内湯を1階から玄関と同じレベルの2階へあげたことにより、内湯と露天の間は長めの階段を往復する必要性が発生しました。といっても大したことはありませんが、冬の寒い時期やお年寄りだとちょっと難儀するかも。
露天も石板貼りで、3~4人サイズといったところ。外気に触れるためか内湯よりも湯温が若干低くて、熱いお湯が苦手な方にはちょうどいいかもしれません。こちらのお湯も掛け流し。
滝の湯という名前の由来である滝。湯船のすぐ目の前で沢が落ちて飛沫を上げています。滝の轟きを聞きながらの湯あみは実に気持ちが良いものです。
源泉掛け流しで、内湯も露天もあり、一通りの設備や備品は完備されており、しかも改装したてで使い勝手がよく綺麗ですから、温泉ファンのみならず幅広くいろんな方から好印象を持たれる入浴施設ではないかと思います。係員の方も明るく対応してくださりとても気持ちよく利用することができました。
アルカリ性単純硫黄泉
(1号泉と2号泉の混合)
1号泉:59.2℃・pH8.6・180L/min
2号泉:53.6℃・pH8.8・454L/min
混合:51.4℃・pH8.8 成分総計274.5mg/kg(混合)
奈良県吉野郡十津川村大字小原373-1 地図
0746-62-0400
十津川村観光協会・湯泉地温泉紹介ページ
10:00~21:00 木曜定休
600円
ロッカー・ドライヤーあり
私の好み:★★
※今月(2010年6月)20日~30日まで、十津川村では源泉掛け流し温泉感謝祭と称するイベントが催され、期間中は6つの温泉施設が無料開放されるそうです。今回紹介した滝の湯を含め、十津川温泉や湯泉地温泉の共同浴場などが無料対象となっています。十津川村って太っ腹ですね。
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