標茶温泉 富士温泉

北海道


標茶駅から歩いて行ける距離にある温泉のひとつ。北海道でモールの温泉と言えば十勝川温泉が有名ですが、十勝川の氾濫原と同様に植物起源の泥炭や亜炭層が堆積している釧路湿原周辺の一部地域でもモール泉が湧いており、標茶町域はその典型でしょう。


この富士温泉は宿泊もできますが、基本的には温泉銭湯としての営業がメインのようです。玄関を入って奥右手の受付で物腰柔らかなおばちゃんに直接料金を支払います。牛乳が入った冷蔵庫が置かれているちょっとした休憩スペースもあります。


浴室は玄関の左側。脱衣所はシンプルな造りです。扇風機が置かれているので、湯上がりに火照った体をクールダウンされるには便利。


浴室には押しバネ式でお湯しか出ないものが13基、うちシャワー付が10基で、出てくるお湯は源泉です。後述しますが、お湯は色の濃いモール泉なので、桶のお湯も紅茶色です。


男湯と女湯の仕切りには壁絵が描かれています。長閑な農村をイメージした抽象的な絵のようです。その下に浴槽がふたつ並んでいました。

 
丸型の槽は6人サイズで41~2℃に設定されており、方形の槽は2人サイズで43~4℃設定です。源泉温度が高いために加水されていますが、加温・消毒・循環はされていない掛け流しです。いずれの浴槽も浴槽縁の切り欠けから排湯されており、丸型槽の切り欠けにはレンガが置かれて、お湯が流れすぎないよう調整されていました。人が湯船に入るとしっかりオーバーフローします。

典型的なモール泉で、ツルツルスベスベのとっても気持ち良い浴感。紅茶色の透明ですが、色が濃いため浴槽の底が見えません。浴室へ入った途端に香るモール臭が芳しく、湯口では薄いタマゴ臭も混ざっていました。モール泉らしい独特な味と微かなタマゴ味にほろ苦さが混在した味が感じられます。湯面は泡で覆われており、丸型の槽ではこれが顕著で、お湯に入ると肌に細かい気泡が付着します。
加水されているのに結構熱いのですが、気持ち良い浴感のために後を引き、いつまでも出るのが惜しまれる程の滑らかなお湯でした。


画像では見難いのですが、右側の張り紙(「タオルを浴槽に入れないで」という注意書き)には日本語の他、英語・ハングル・中国語繁体字・中国語簡体字と計5つの文字で表記されていました。こんな長閑な地方の温泉銭湯なのに、国際色豊かですね。近年急増する中国系の観光客に対応しているんでしょう。

湯量は豊富でカランも源泉使用、濃いモール泉でしっかり高温、気泡もたくさんでお肌スベスベ、とっても素晴らしいお湯でした。列車の乗り継ぎの際に時間があれば是非入ってみてください。おすすめです。

アルカリ性単純温泉 46.8℃ pH8.9 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質0.767g/kg 成分総計0.767g/kg

JR釧網本線・標茶駅より徒歩7~8分(約600m)
北海道川上郡標茶町富士5-26  地図
0154-85-3003

6:30~8:00、12:00~21:30、毎月10日定休
350円
ロッカー・ドライヤー・シャンプー類などの備品類は無し(各種販売)

私の好み:★★★

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