筌場は「うけば」と読むんだそうで、また「花手箱」とはご当地人吉で生産される木製の化粧箱とのことで、「市箱」とも呼ばれて羽子板と共に土産物として流通する物なんだそうです(wikipediaより)。
初めて知る語句が名称に並ぶこの温泉ですが、決して堅苦しいものではなく、長閑な田園風景の中にポツンと佇むこじんまりとした民営の共同浴場です。
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一見すると民家のような外見。玄関から中にはいってみると受付まわりには花が描かれ、民芸品である雉子車や羽子板、そして施設名にもなっている花手箱が陳列されていました。オーナーさんの郷土愛が伝わってきます。
訪問時は無人で、セルフで切り株のような形の料金箱にお金を投入するシステムになっていました。カウンターには販売品のタオルやシャンプーなども置かれており、購入する人はやはり自己申告で料金箱へ支払うわけです。完全にお客さんを信じ切ったこの体制がとれるということは、人吉はよほど治安が良くて正直者が多い土地に違いありません。
至ってシンプルな造りのお風呂は実用本位で飾りっ気ゼロ。タイル貼りの内湯は5~6人サイズでしょうか、室内には打たせ湯やサウナも設けられていました。
お湯は無色透明でほとんど無味無臭ですが、湯口で硫黄化合物を思わせるような匂いが微かに感じられたかも。重曹型の単純温泉なので(Na+:
99.7mg/kg(65.08mval%)、HCO3-:241.3mg/kg(62.80mval%) )僅かでも重曹らしさが感じられて良さそうなものですが、知覚にも浴感にもあまりそれらしきものが伝わってこないのが不思議なところ。かといってキシキシしているわけでも刺激があるわけでもなく、総じて表現すれば癖のない優しいお湯なのです。
内湯から屋外に出ると露天風呂が据えられていますが、これが一風変っており、川下りの和船をそのまま浴槽に仕立てているのです。まぁ浴槽としてはあんまり入って落ち着けるような形状ではないのですが、いかにも球磨川流域らしくて面白いですね。お湯も内湯よりは露天の方が冴えているように感じられました。
単純温泉 52.6℃ pH7.97 溶存物質666.4mg/kg 成分総計684.4mg/kg
(気温の高いときに加水。加温循環消毒なし)
熊本県人吉市中神町城本1044 地図
0966-24-6271
8:00~22:00
300円
ドライヤー有料(20円)、石鹸・シャンプーなどは販売
私の好み:★★
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