昨年(2014年)夏の記事が連続し、鮮度に欠ける内容ばかりで申し訳ございません。私が草津を訪れる場合は日帰りが多いのですが、この時の訪問では、温泉巡りはもちろん、熱帯夜続きの首都圏から避暑すること、そしてその年の春に開館したばかりの「重監房資料館」見学という3つの目的があり、さすがに日帰りでは疲れてしまいそうだったので、温泉通の間で人気の高い「ペンションはぎわら」で一晩お世話になりました。
お部屋は和室と洋室の2種類があるそうですが、ベッドの方がよく寝られる私は迷うこと無く洋室を選択しました。人によって就寝スタイルには好みがあるでしょうから、どちらか選べるというのは、客にとってありがたいものです。洋室はツインルームで、トイレこそ共用ですが洗面台は備え付けられており、テレビもありますから退屈しません。この時の旅の目的として避暑を挙げましたが、さすが草津は標高が高いために、都内が猛暑で呻吟しているような日でも、日没後は涼しく爽やかで過ごしやすくなります。お部屋にはクーラーが無いのですが、そのような環境ですのでエアコンなんて不要なんですね。寝入りばなに扇風機を軽く回しておくだけで、快適に熟睡できました。毎年猛暑の時期には電力供給が逼迫するというニュースが報じられますが、お休みの日にみんなで標高の高いところへ避暑するだけでも、相当な節電になるかもしれません。
お風呂は大きさの異なる2室があり、出入口には紺と紅の暖簾がかかっていますが、特に男女に分けているわけでもなく、いずれも貸し切りで使用できました。このブログをご覧の方ならご存知かと思いますが、こちらのお宿が温泉ファンの間で誉れ高い理由は、草津でも僅かな施設にしか供給されていない「わたの湯」源泉に入れるからなんですね。「冬の間は温泉が少々ぬるく成りますので・・・」という文言は、ひとつの源泉だけで勝負しているからこその悩みなのかも。
●大きな浴室
まずは大きな方の浴室から。大きいと言っても、あくまで2つの浴室を比較した表現であって、両方とも民宿らしいコンパクトな造りですが、貸切利用ですし、大挙して利用することもありませんから、これで問題ないでしょう。硫黄臭の漂う室内はモルタル塗りの白いペンキ塗りで、床はタイル貼り。洗い場にはカランが2基設置されています(うち1基はシャワー付き。スパウトのみの水栓は最近交換されたものと推察されます)。四角い浴槽は2~3人サイズといったところ。浴槽内も白く塗装されているのですが、イオウの付着によってうっすら黄色くコーティングされているように見えました。
積み上げられた岩の間からパイプが突き出ており、「わたの湯」源泉が滔々と注がれています。上述の張り紙にあったように、冬期はもうひとつの配管のバルブを開けて熱いお湯で温度調整をするようですが、この日はそんな必要も無く、加水することもなく、100%「わたの湯」だけで42~3℃というちょうど良い湯加減になっていました(真夏でこの温度ですから、たしかに冬だとぬるくなっちゃうかも)。もちろん完全放流式の湯使いであり、浴槽を満たしたお湯は手前側の切り欠けから溢れ出ているのですが、オーバーフローが流れる箇所は、温泉成分の付着によって白く厚く塗り固められており、イオウの濃さがビジュアル的にも伝わってきました。
槽自体の色に影響されるのか、湯船のお湯は薄い黄色(見方によっては緑系)を帯びているように見えるものの、入浴前の浴槽は底がはっきり確認できるほど、高い透明度が保たれていました。しかし実は底には湯の華が沢山沈殿しており、私が湯船に入ると湯華が舞い上がって、一気に白濁しました。左(上)側の画像は入浴前、右(下)画像は入浴後の、浴槽の様子です。小さい画像だと分かりにくいかもしれませんが、前と後では濁り方がはっきりと異なっており、入浴中は白濁をもたらす無数の白く細かい湯華に包まれました。
●小さな浴室
小さな浴室にも入ってみました。室内空間も浴槽の容量も大きな浴室より一回り小さく、しかも浴槽は台形の右上を潰したような変則的な形をしています。槽には青く小さな円形タイルが貼られているのですが、その大部分はイオウの付着によって白や黄色に染まっていました。
洗い場に設けられているカランは2基ともシャワー付き。
こちらの湯口は装飾性が無く、壁から直接突き出ていますね。タイルの目地のみならず、全体的に覆っている黄色い硫黄が、温泉の濃さを物語っているようです。
こちらの浴槽でも底には湯の華が沈殿しており、入浴するとお湯は一気に白濁しました。画像左は濁る前、画像右は濁った後の様子ですが、白濁した湯船は底のタイルがすっかり目視できなくなっていますね。
強い酸性のお湯に特徴的な、少々のヌルヌルを伴うツルツルスベスベの浴感を有しており、どことなく柔らかで優しいフィーリングです。また、両浴室も浴槽の容量に対して源泉の投入量が多いため、お湯の鮮度感が抜群で、極上な入り心地でした。お湯を口に含むと、余計な雑味のないストレートな収斂酸味が感じられた他、イオウ臭に関しては草津の他源泉より強く香っているように思われました。たくさん湯の華が舞い上がって白濁を呈している湯船に浸かっていると、あたかも綿に抱かれているような気分。源泉名の由来は存じ上げませんが、柔らかな浴感といい、大量の湯の華といい、「わたの湯」とは言い得て妙なネーミングです。
私の訪問時、玄関では老犬がソファーに横たわりながら、来客を出迎えていました。16歳という高齢のため、目は白内障を患い、四肢もすっかり衰え、下半身にはオムツがあてがわれ、体を動かすのが大変辛そうな様子でしたが、それでもペンションのワンコとして接客の心得があるのか、懸命に目を動かして客を意識していました。犬は飼い主に似ると言いますが、物腰が柔らかいご主人にそっくりな、穏やかな表情が印象的でした。
しかしながら、お宿のホームページによればこの3ヶ月後にあの世へ旅立ってしまったそうです。ご主人は「スキーでお越しになる常連のお客様と再会できれば良いのですが…」とおっしゃっていましたが、残念ながら間に合わなかったかもしれません。
看板犬は冥土へ行ってしまいましたが、その後も「わたの湯」のお湯は絶え間なく湧き続けています。草津という観光地にありながら大変リーズナブルであり、且つ近くにコンビニなどもあるため、滞在中に不自由を感じることもありませんでした。極上な浴感の「わたの湯」を完全掛け流しで堪能できる、素敵なお宿でした。
わたの湯源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 56.0℃ pH2.05 蒸発残留物1.46g/kg 成分総計1.61178g/kg
H+:8.98mg, Na+:53.0mg, Mg++:38.5mg, Ca++:73.6mg, Al+++:40.0mg,
F-:10.5mg, Cl-:309mg, SO4–:601mg, HSO4-:180mg,
H2SiO3:240mg, H2S:13.6mg, H2SO4:4.0mg,
群馬県吾妻郡草津町草津464-279 地図
0279-88-2363
ホームページ
日帰り入浴不可
シャンプー類あり、ドライヤー貸出
私の好み:★★★
コメント
Unknown
ここは我々も宿泊しました~
珍しい源泉ですもんね
犬が可愛い~ですよね
Ronは草津の共同浴場連湯して
顔が真っ赤になりまして(>_
Unknown
ここは我々も宿泊しました~
珍しい源泉ですもんね
犬が可愛い~ですよね
Ronは草津の共同浴場連湯して
顔が真っ赤になりまして(>_
Unknown
ここは我々も宿泊しました~
珍しい源泉ですもんね
犬が可愛い~ですよね
Ronは草津の共同浴場連湯して
顔が真っ赤になりまして(>_
Unknown
>Danさん
万代鉱を筆頭に、共同浴場へ引かれるお湯は強いタイプが多いので、「草津はちょっと苦手…」というお話をたまに耳にしますが、たしかにデリケートなお肌ですと、あの酸性に負けちゃいますよね。
私は、面の皮は大して厚くないのですが(認識不足?)、おかげさまで温泉に関しては熱さにも強酸性にも耐えられるようになりました(笑)。
その点、こちらのお宿のお湯は、湯加減もフィーリングも(草津の中では)優しいので、何度入っても気持ち良いですね。
この記事のワンコは残念ながら命を引き取ってしまったそうですが、お宿は便利な立地ですし、リーズナブルなので、あのお湯に改めて入るべく、再訪したいなと思っています。
Unknown
>Danさん
万代鉱を筆頭に、共同浴場へ引かれるお湯は強いタイプが多いので、「草津はちょっと苦手…」というお話をたまに耳にしますが、たしかにデリケートなお肌ですと、あの酸性に負けちゃいますよね。
私は、面の皮は大して厚くないのですが(認識不足?)、おかげさまで温泉に関しては熱さにも強酸性にも耐えられるようになりました(笑)。
その点、こちらのお宿のお湯は、湯加減もフィーリングも(草津の中では)優しいので、何度入っても気持ち良いですね。
この記事のワンコは残念ながら命を引き取ってしまったそうですが、お宿は便利な立地ですし、リーズナブルなので、あのお湯に改めて入るべく、再訪したいなと思っています。
Unknown
>Danさん
万代鉱を筆頭に、共同浴場へ引かれるお湯は強いタイプが多いので、「草津はちょっと苦手…」というお話をたまに耳にしますが、たしかにデリケートなお肌ですと、あの酸性に負けちゃいますよね。
私は、面の皮は大して厚くないのですが(認識不足?)、おかげさまで温泉に関しては熱さにも強酸性にも耐えられるようになりました(笑)。
その点、こちらのお宿のお湯は、湯加減もフィーリングも(草津の中では)優しいので、何度入っても気持ち良いですね。
この記事のワンコは残念ながら命を引き取ってしまったそうですが、お宿は便利な立地ですし、リーズナブルなので、あのお湯に改めて入るべく、再訪したいなと思っています。
Unknown
こんにちは。
草津のペンション情報ありがとうございます。
なかなかペンション情報はないのでありがたいです。
しかも綿の湯源泉なんですね。
これは是非次回訪問時の候補に入れたいと思います。
草津のお湯は、私にはちょっときついのですが、でも好きです。体中が硫黄くさいのがたまりません。
Unknown
こんにちは。
草津のペンション情報ありがとうございます。
なかなかペンション情報はないのでありがたいです。
しかも綿の湯源泉なんですね。
これは是非次回訪問時の候補に入れたいと思います。
草津のお湯は、私にはちょっときついのですが、でも好きです。体中が硫黄くさいのがたまりません。
Unknown
こんにちは。
草津のペンション情報ありがとうございます。
なかなかペンション情報はないのでありがたいです。
しかも綿の湯源泉なんですね。
これは是非次回訪問時の候補に入れたいと思います。
草津のお湯は、私にはちょっときついのですが、でも好きです。体中が硫黄くさいのがたまりません。
Unknown
>雨のち晴れさん
リーズナブルでアットホームな、居心地の良いお宿でしたよ♪
この時は素泊まりでしたが、湯畑まで行けば食事には困りませんし、
コンビニも近いので不自由しませんでした。
そして、綿の湯源泉は、本当にコットンのような優しさで、とても魅惑的でした。
特定のお宿しか引かれていない源泉や自家源泉にはやっぱり惹かれますし、
共同浴場の湯には無い優しさがあるんですよね。
Unknown
>雨のち晴れさん
リーズナブルでアットホームな、居心地の良いお宿でしたよ♪
この時は素泊まりでしたが、湯畑まで行けば食事には困りませんし、
コンビニも近いので不自由しませんでした。
そして、綿の湯源泉は、本当にコットンのような優しさで、とても魅惑的でした。
特定のお宿しか引かれていない源泉や自家源泉にはやっぱり惹かれますし、
共同浴場の湯には無い優しさがあるんですよね。
Unknown
>雨のち晴れさん
リーズナブルでアットホームな、居心地の良いお宿でしたよ♪
この時は素泊まりでしたが、湯畑まで行けば食事には困りませんし、
コンビニも近いので不自由しませんでした。
そして、綿の湯源泉は、本当にコットンのような優しさで、とても魅惑的でした。
特定のお宿しか引かれていない源泉や自家源泉にはやっぱり惹かれますし、
共同浴場の湯には無い優しさがあるんですよね。