都留市 より道の湯

山梨県


山梨県は知る人ぞ知る温泉の宝庫であり、拙ブログでも甲州地方の温泉は数多く取り上げておりますが、東京から近い富士急沿線や富士五湖エリアといった所謂「郡内地方」は温泉資源に恵まれておらず、あっても冷鉱泉であるため、なかなか拙ブログに登場する機会がありません、昔から「富士が見えるところに温泉は湧かない」という表現があるようですが、郡内地方はまさにその典型と言えるでしょう。しかしながら、近年の温泉掘削技術向上が旧来を思い込みを打ち破っています。今回取り上げる都留市の「よち道の湯」もそんな新しい温泉のひとつ。
富士急行線の都留市駅から歩いてすぐの好立地にあり、広い駐車場も完備しているため、比較的新しい施設にもかかわらず人気を博しています。。


建物の壁面に絵かがれた大きな温泉マークが印象的ですね。富士五湖エリアから東京へ戻る観光客の通り道にもかかわらず、このあたりには温泉施設が少ないため、帰りにひとっ風呂浴びたいお客さんがネット検索を元に集まってくるようです。またここでは宿泊もできるため、温泉に入りながらゆっくり行動したい方の需要もしっかり取り込んでいるようです。


出入口の真っ白な自動ドアは、温泉施設というよりも科学館や博物館を連想させます。
入口を入って右手にある下足箱に靴を預け、その鍵は退館時まで自分で保管します。そして、その先にある受付では利用したいプラン(例えば「入浴のみ」や「入浴と岩盤浴を合わせて」など)を告げ、ロッカーキーを受けとります。支払いは退館時に入浴料金や館内各種サービス利用料などをまとめて精算します。なお温泉niftyなどにクーポンがありますから、もしこちらを利用する際には、うまく活用してはいかがでしょうか。


1階はレストランや休憩ゾーンが配置されています。レストランは広いので、多くのお客さんを収容できるでしょう。実際に私もお風呂あがりにご飯を美味しくいただきました。レストランの奥にある休憩ゾーンには、大きなビーズクッションやハンモック、そして書籍など、今時の温泉施設らしい備品が揃っています。親子連れも多く見られ、大人のみならず子供も楽しめるでしょう。


お風呂は2階ですので、階段かエレベーターを利用します。私は当初お風呂の場所がわからず、しかもお風呂は1階にあるものだと思い込んでいたので、1階をウロウロ徘徊して迷子になり、軽く泣きそうになってしまいました。なお3階には有料に岩盤浴があります。

白色基調の更衣室はで明るく綺麗で快適。室内のロッカーキーはICチップによるタッチセンサー式なので、鍵を鍵穴に刺してガチャガチャと回すといった動作は不要です。ロッカーの中にはハンガーも用意されています。更衣室の奥の方にはパウダーゾーンや洗面台が配置され、使い勝手も良好です。


ここから先の自前画像はありません。文章による説明のみになりますが、多少なりとも分かりやすくするため、更衣室に掲示されていた配置図を掲載致します。
こちらの入浴設備は内湯と露天に分かれ、それぞれに複数の浴槽が設けられています。


まず内湯に入りますと、(男湯の場合は)左手に洗い場が配置されており、シャワー付き混合水栓23基が、一つ一つ袖板で仕切られています。仕切り板があると隣のお客さんと干渉しないので、安心して使えて良いですね。
この洗い場側にはサウナがあり、老いも若きも全身を赤くしながら玉のような汗をかいていらっしゃいました。サウナは地方を問わず、どこでも人気の設備ですね。

一方、出入口の右側に4つの浴槽が据え付けられています。いずれも白木の木目調タイルが採用されており、窓からの採光も相まって明るい入浴環境が保たれています。4つのうち温浴槽は3つで、いずれも10人サイズでしょうか。窓に面した浴槽には循環の温泉が張られており、その隣は炭酸風呂。壁側の浴槽は温泉のジェットバスです。この中でもぬる湯にじっくり浸かれる炭酸風呂は人気を集めていました。


温泉ジェットバスの隣にある水風呂はただの水風呂じゃありません。非加温で循環や消毒もされていない源泉が井水とミックスされているのです。30度以上ある源泉が含まれているのですから、一般的な水風呂よりはぬるくなっているのかと思いきや、実際に入ってみますと、温泉らしい温かさは微塵も感じられない、ごくごく普通の冷たい水風呂でした。とはいえ、この施設で手付かずの源泉に入りたければ、この水風呂以外にありませんから、温泉マニアの好事家でしたら、入ってみる価値あるでしょう。


屋根上テラスのような空間に設けられた露天風呂ゾーンもなかなか広く、ベンチやデッキチェアーなどクールダウン対策も取られています。
露天ゾーンで特筆すべきは主浴槽の岩風呂でしょう。上画像で写っているようになかなか大きなもので、一部に屋根が掛かっており、また部分的に富士山の溶岩を思わせるようなゴツゴツとした玄武岩が設えられています。周囲には高い建物が無いため、露天に入って上を仰ぐと空が広く感じられ、また空気も良いために気持ち良いのですが、この岩風呂では加温された温泉がかけ流されているので、入浴環境のみならずお湯自体も良質なのです。私の訪問時は加温も程々に抑えられていたため、短時間で火照るようなこともなく、じっくり長湯を楽しめました。
なおかけ流し浴槽の隣には屋根が無い循環浴槽もあり、かけ流し槽から流れてくるお湯を受けつつ、槽内でもお湯を循環しています。これは東京近郊の温泉スーパー銭湯でよくある造りですね。
この他、露天ゾーンには壺湯が3つ、そして奥に寝転び湯と「より道の窯」と称する窯風呂が設けられています。「より道の窯」は男湯のみで、女湯ですと「より道の蒸気浴」というミストサウナになるようです。

さて最後にお湯に関するインプレッションを。
かけ流し槽のお湯は無色透明で、かなり薄い塩味と芒硝味が感じられ、湯口からは何と言うべきか表現に悩む香ばしい匂いが漂ってきます。湯中では硫酸塩泉らしい引っ掛かる浴感が得られ、お湯の鮮度感もまずまずなので、本格的な温泉入浴を堪能できました。なお炭酸イオンが15.3mgも含まれていますが、実際にはその数値が示すようなツルスベ感は得られず、どちらかと言えば硫酸塩泉的な引っ掛かり浴感の方が勝っていたような気がします。

上述したように甲州の郡内地方はこれまで温泉不毛地帯であり、かけ流しの温泉とは縁遠かったのですが、このような施設が生まれ、しかも綺麗で使い勝手が良いとなれば、人気を集めるのは当然と言えますね。私も今後しばしばお世話になるかと思います。

よりみちの湯
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 32.9℃ pH9.4 176L/min(動力揚湯) 溶存物質1.433g/kg 成分総計1.433g/kg
Na+:264.1mg(57.31mval%), Ca++:169.1mg(42.09mval%),
Cl-:99.4mg(13.40mval%), SO4–:838.3mg(83.49mval%), CO3–:15.3mg,
H2SiO3:37.2mg,
(平成28年9月30日)
源泉かけ流し槽(「より道の湯」):加温あり、加水循環消毒なし
他の温泉槽:加水無し、加温循環消毒あり
水風呂(「より道の冷水」):源泉+井水。源泉は加水加温循環消毒なし

山梨県都留市つる1-13-31
0554-56-8600
ホームページ

10:00〜23:00(最終受付22:00)
1300円(館内着・タオル付き)、1000円(館内着・タオル無し)、岩盤浴550円

私の好み:★★+0.5

コメント

  1. ぬる湯マスター より:

    Unknown
    こんばんわ^^。
    あら~、嬉しい!私のオススメ、寄り道の湯ですね!
    ここは偶然にも、オープン直後に見付けまして、、、
    当時はお客さんも少なく、掛け流し露天に2時間ほどウトウト、、、
    部屋も快適で、お値段もリーズナブルですよね^^b
    何より、都留ICを下りたらすぐ、目の前にはコンビニに、ほっともっと。
    完璧ですよ。今はお客さんに大人気で混雑しておりますが、、、。
    山梨県も、中々やるな、、、と思います。

  2. K-I より:

    Unknown
    ぬる湯マスターさん、こんにちは。
    昨年ですがおすすめの施設を利用させていただきました。いままで、このエリアの温泉施設にはあまり期待していなかったのですが、良い意味で裏切られました。ここでしたら通いたくなりますね。教えてくださりありがとうございます。

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