(2023年1月訪問)
近年は観光客が戻りつつある熱海。需要が高ければ相場も上がるため、最近熱海で温泉に入ろうとすると料金が比較的高めに設定されており、その金額を目にしてたじろぐこともしばしばです。また慎重に施設を選ばないと高いばかりか、お湯もいまいちだったりしますから、熱海での入浴は施設数の割りに意外と難しかったりします。そんな中で、昔から鉄道利用者にとっての有難い見方が「熱海駅前温泉(田原浴場)」です。
拙ブログでは今まで「既に取り上げているはず」と私が勘違いして紹介から漏れてしまっている施設がいくつもありますが、この「熱海駅前温泉」もそんな紹介漏れ施設のひとつ。とっくにブログでご紹介していたかと思っていましたが、調べてみたら今まで一度も触れたことが無かったため、ようやく今回取り上げさせていただきます。私は今までこちらのお風呂に何度かお世話になっていますは、今回ご紹介するのは2023年1月に利用した際の記録です。この時は湯船のお湯の色がいつもと変わっていたため、そのことも含めてご紹介させていただきます。
上画像は熱海駅の外観です。この新しい駅ビルがオープンしたのは2016年の秋ですから、早いものでもう7年以上も経っているのですね。
駅から歩いて2分もしないうちに「熱海駅前温泉」へ到着です。熱海駅前振興会館の1階。本当に駅前なんですよね。学生時代など青春18きっぷで貧乏旅をしていた頃には、ここで何度もお世話になり、その都度旅の垢を落としました。外観は昔から変わっていません。玄関入ってすぐのところにある番台で湯銭を支払い、領収証をもらって・・・
貴重品をロッカーに収めつつ、左側の通路を進みます。この通路の奥にはいわゆるパウダールームと称したら良さそうなスペースがありますので、お風呂上がりに身支度を整えたい方は活用すると良いでしょう。
脱衣室へ向かいます。脱衣室にはいかにも昭和の銭湯という風情を強く漂わせる手書きの広告が掲出されており、また、荷物を納めるロッカーはアルミ板の松竹錠で施錠します。昭和を舞台にしたドラマや映画の撮影にもってこいかもしれませんね。なお室内には扇風機の他にエアコンも設置されていますので、四季を通じて快適に利用できます。ドライヤーが無料で使えるのはありがたいところです。
2023年1月に利用した際には、脱衣室へ入るドアに「温泉に濁りがありますが成分には問題ありません」と書かれた紙が貼り付けられていました。温泉は生き物ゆえ、その時々によって温度のみならず色合いや匂いなどが常に変化するものですから、多少の変化は当然のことと捉えたいものです。
こちらが浴室。昭和の面影を強く残すタイル張りの渋い温泉銭湯です。
右の壁に沿ってL字型にシャワー計7基設置されています。シャワーから出るお湯はボイラーの沸かし湯で、吐出圧力は良好です。なお石鹸類の備え付けはありませんので、事前に用意するかあるいは番台で購入することになります。
浴槽はごくごく普通の四角形。右手前の柱がちょっと邪魔ですが、でも柱の右奥からも入れますので、3~4人でしたら問題なく浸かれるでしょう。湯船の湯加減はちょっと熱め。この熱さにおののくお客さんを私はここで何度か目撃しています。今回の利用時も、後から来た若いお客さんが湯船に入ろうとしたら、彼にとってこの湯船はかなり熱かったらしく、つま先だけお湯に入れただけで湯船に入ることができずに出ていってしまいました。
温泉が出るの蛇口の先には火傷防止のためなのかパイプが被せられています。源泉温度が高めなので加水されていますが、循環消毒は行われていない無いかけ流しの湯づかいです。
さてこちらのお湯は、いつもでしたらほぼ透明ながら僅かに茶色を呈して薄い茶色の浮遊物が舞う貝汁濁りのお湯なのですが 、この日は源泉の事情によるのか赤く濁っていました。しかも底が全く見えないほどの濃い濁りです。たしかに脱衣室入口ドアには「温泉に濁りがあります」と案内されていましたが、ここまで濁っているとは予想だにせず、こんな現象が起きるとは知りませんでした。
お客さんによっては施設の古さや湯船の熱さに腰を抜かして出て行ってしまうこともありますが、私にとってはこの熱さがとても気持ちよく、肩までしっかりと、そしてじっくりと湯あみさせていただきした。いかにも熱海のお湯らしく、温泉を口に含むとしょっぱく且つ苦汁味を含み、ほのかな磯の香りが感じられます。また湯中では引っかかる感触とトロミが同時に感じられ、特に入りしなはお湯が肌に染み込んでくるような感覚を得られます。硫酸塩泉と塩化土類泉の両方の特色を兼ね備えたような泉質と表現したらよいのでしょうか。なお赤い濁りですが金気はあまり感じられませんでした。
濃い食塩泉なので非常に火照るのですが、お湯の良さゆえに後を引き、ついつい湯船に長く浸かってしまいました。お蔭様で心身がよく温まり、厳冬期なのにしばらくは外套要らずで外を歩けたほど。
駅前のという便利な立地でワンコインでかけ流しの温泉に入ることができる、熱海の良心と言うべき公衆浴場です。
熱海389号
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 74.3℃ pH7.09 成分総計6.227g/kg
Na+:1244mg, Ca++:781.6mg, Fe++:2.2mg,
Cl-:2917mg, SO4–:1016mg, Br-:5.9mg, HCO3-:46.2mg,
H2SiO3:84.9mg, HBO2:12.0mg, CO2:10.1mg,
(平成20年3月24日)
加水あり(源泉の温度が高いため)
加温・循環・消毒なし
静岡県熱海市田原本町8-16
0557-81-3417
14:00~21:00 水曜定休
500円
ロッカー・ドライヤーあり。石鹸類の備え付けはなし(番台にて販売)
私の好み:★★★
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