前々回記事に引き続き熊本県北部の温泉を巡ってまいります。今回訪れるのは菊池市の「亀の甲温泉」です。この付近には温泉ファンから熱く支持されている名湯「熊本不二コンクリート工業 不二の湯」があり、また同じく名湯の誉れが高い「辰頭温泉」や「宝田温泉 宝の湯」も半径1~2km圏内に位置している名湯の集中地帯であります。この「亀の甲温泉」は県道37号線から細い路地に入った先の丘の上、畑や民家がモザイク状に散らばる集落の中にあるのですが、路地の狭さから覚える不安とは裏腹に駐車場は広く、周りを畑で囲まれる長閑な環境です。
九州の温泉施設では貸切(家族)風呂を併設しているところが多いのですが、ご多分に漏れずこちらにも別棟に家族風呂があり、本棟と家族風呂棟の間には貯湯用の大きな高架タンクが設置されていました。各個室の入口脇にはエアコンの室外機が置かれていますから、室内は空調が完備されているんですね。私がこの画像を撮影しているときにも、ご夫婦と思しき男女ペアが利用さなっていました。私が暮らす東京圏にはこのような温泉の家族風呂が極めて少ないので、気軽に利用できる地元の方がとても羨ましい!
館内に入り、券売機で料金を支払い、玄関ホール正面にある受付カウンターで剣を差し出します。玄関ホールの中央では農産物や化粧水などが販売されており、その奥には休憩のお座敷が設けられていました。
板の間の床上に茣蓙が敷かれている脱衣室。窓から外光がたっぷり差し込むために明るく、手入れもよく行き届いていて綺麗に維持されています。中央にベンチが置かれ、壁に沿って有料(10円)ロッカーと籐の籠が並ぶ棚が並んでいました。洗面台は2台設けられています。
浴室は全面タイル張りで、壁がライトグレー、床が茶色という配色。実用本位の造りですが、脱衣室同様に窓から差し込む陽光のおかげで、室内は明るく心地良い環境が保たれています。男湯の場合は左側に浴槽が、右側に洗い場が配置されています。洗い場にはシャワー付きカランが5基並び、カランから出てくるお湯は源泉使用です。なおボディーソープ類の備え付けはないので、あらかじめ持参するか番台で購入することになります。
浴槽は1.8m×3.5mで、おおよそ6人サイズ。縁には石材が用いられ、槽内はタイル張り。脱衣室側の角がちょっと面取りされたようにカットされています。
獅子の湯口からドバドバ大量にお湯が注がれ、湯面を波立てながら浴槽を満たした後、縁から惜しげも無くザバザバと溢れ出ていました。浴槽の容量に対して源泉の投入量が多く、湯船のお湯は高い鮮度がキープされていました。
屋外には農業用ビニールハウスに囲まれた露天風呂がありました。いや、建物の外ですが、がっちりとした骨組みとビニールで覆われており、風は全く入ってきませんので、厳密には露天風呂とは言わないのかな。
露天の浴槽は2~3人サイズの岩風呂。最奥部には造花が飾られていましたが、見方によっては仏様にお供えしているお花みたい…。お湯の投入口は槽内に設けられているため、内湯のように湯面が波立つようなことはありませんが、お湯の投入量はまずまずであり、手前側の流路からしっかりと溢れ出ていました。
お湯は薄い山吹色を帯びながらわずかな濁りを呈しており、内湯では黄緑色に、露天ではやや赤茶色に傾いているように見えました。湯中では赤茶色の細かな浮遊物がチラホラ舞っており、特に露天風呂では顕著でした。なお湯使いに関しては、源泉温度が40℃に満たないため加温されており、内湯・露天ともに41~2℃の湯加減となっていましたが、加水循環消毒などは行われていない放流式となっています。
お湯を口にすると、ふんわりとしたタマゴ的な味と匂いが感じられる他、弱い金気感や弱い土類泉的な感覚が得られました。内湯では芒硝のような風味もあったように記憶しているのですが、私の記憶違いでしょうか。湯中における泡付きは少ないのですが、重曹の効果がしっかり働いているためツルツルスベスベ浴感が大変気持ち良く、湯上がり後もサッパリとした爽快感が持続しました。また爽快だけでなく、程よい温浴効果も並行して効き続けたので、清涼感が欲しい夏のみならず、冬でも温泉の恩恵を受けられるのがありがたいところ。さすが九州の温泉ファンが熱く支持するだけあって、素晴らしいお湯でした。
分析表見当たらず
ナトリウム-炭酸水素塩温泉 39.2℃ 67L/min
加温あり(入浴に適する温度に保つため)
熊本県菊池市泗水町田島1773 地図
0968-38-6510
9:30~22:00
300円
ロッカー(有料10円)あり、他備品類なし(販売あり)
私の好み:★★★
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