(2023年11月訪問)
これまで拙ブログで取り上げた韓国の温泉はほとんどが無色透明であり、温泉趣味的には正直なところ面白みに欠けるのですが、ご当地では珍しい赤く濁る温泉がソウル近郊の金浦市にあるらしいので実際に行ってみることにしました。その温泉がある場所は、金浦市といっても空港からかなり離れた江華島の手前です。まずはソウル中心部から空港鉄道(A’REX)の各停に乗って金浦空港で降り、金浦都市鉄道(ゴールドライン)に乗り換えて・・・
終点1つ手前の九来(クレ)駅まで乗車します。
九来駅前は多くの商店や立派な高層マンション等が建ち並んでおり、人通りも多く、新興の郊外ニュータウンといった街並みが広がっています。
事前の調査によれば、駅前の大通りにあるバス停から「60-3」番の路線バスに乗って「薬岩ホテル」という停留所で降りれば目的地の温泉へ行けるらしいのですが、どうやら30分以上待つ必要があるらしいので、仕方なく流しのタクシーをつかまえて目的地まで向かうことにしました。
タクシーに乗って15分ほどでしょうか(もうちょっと乗ったかな)。料金メーターに表示された12700ウォンを支払って目的地に到着。
今回の目的地「薬岩温泉ホテル」は古色蒼然とした外観で、タクシーの中からその煤けたように汚れた建物を見た時には営業しているのか不安を覚えたのですが、歩いて正面玄関へ廻ってみるとエントランスに照明がついていたため、ひとまず営業中であることを確認。
今回は入浴のみの利用ですので、入館してフロントで「モギョ(沐浴)OK?」と聞いたところ、湯銭は10000ウォンとのこと。
フロントで湯銭を支払って入浴券をもらい、すぐ前のこの階段で浴場がある地下へ。
階段の踊り場には、いままで受けたテレビ取材を紹介し、以て鉱泉の効能をアピールしていました。韓国で唯一とされるこの赤湯は地下460mから汲み上げられており、海水の1割ほどの塩分ほかミネラル分が含まれ、湧出時は無色透明ながら数分経過すると赤く濁るんだとか。
このドアの向こう側にいるおじさんに券を渡します。更衣室はとても広く、ロッカーの数もたくさん。アメニティ類もそこそこ揃っており、タオル類は積んであるものを自由に使えます。
浴室も広く、洗い場の水栓もたくさん。韓国の温泉施設ですから当然のようにアカスリ台もありますよ。
浴室内には中央や窓側などに複数の浴槽が設けられていますが、いずれも無色透明の普通のお湯です。赤湯ではありません。
韓国では珍しい露天風呂もあるのですが、こちらも赤湯ではない普通のお湯で、しかも訪問時はぬるかったので、私は入りませんでした。さて、赤湯の浴槽はどこにあるのかな。
広い浴室内をウロウロしていたら、奥の方に杉材で作られた小さな木造の入浴ゾーンがあり、木造の浴槽に赤い濁り湯が張られていました。これが韓国唯一の赤湯なんですね。この鉱泉と逢うため、わざわざソウル中心部から交通機関を乗り継いで長い時間をかけてやってきたのです。
木造の入浴ゾーンには3つの浴槽があり、うち2つに赤湯が張られていました(残り1つは空っぽでした)。
2つのうち、一方はやや熱めの湯加減に加温されており、他方は非加温の冷鉱泉です。加温浴槽では給湯配管がパンパンと大きな音を立てており、いまにも配管が破裂しそうな不安感を漂わせていました。蒸気圧力の逃し弁が機能していないのかな。非加温の冷鉱泉は震え上がるような冷たさではなく、むしろ一般的な水風呂より若干入りやすい水温でした。私はまず加温された熱めの赤湯に入り、火照ったところで冷鉱泉へ移って、体が冷えたらまた加温浴槽へ戻る…というサイクルを何度も繰り返しました。
海水の1割ほどの塩分が含まれるという説明の通り、この鉱泉からは塩味が感じられ、ミネラル分の多さゆえかキシキシと引っかかる浴感が得られます。このすぐ近くに黄海が広がっているので塩味が強いのかと思いきや、それほど塩辛くなかったのは意外でした。また赤く濁るお湯なので金気、とりわけ鉄分が多いのかと想像していましたが、こちらについても然程感じられませんでした。塩味も金気も元々濃くないのか あるいは加水により薄まっているのか、その辺りはよくわかりません。
でも塩気のお湯ですから、温浴効果はとても強く、体の芯までしっかりポカポカ温まり、湯上がり後はしばらく汗が引きませんでした。あっさりとした温泉や鉱泉が多い韓国で、こうした温浴効果が得られるお湯は珍しいかと思います。塩味の温泉といえば他に釜山の海雲台温泉もありますが、金浦の薬岩温泉は金気も含んでいるため、鉱泉としての面白さや個性の強さはこちらに軍配を上げたくなりました。アクセスにはちょっと難がありますが、韓国で温泉巡りをする際には、こちらの施設へ立ち寄る価値が十分あるかと思います。
さて帰りは路線バスを利用することにしました。施設から最寄りのバス停まで徒歩3~4分だったかな。
最寄りの「薬岩ホテル」バス停です。
このバス停に来る路線バスの系統は上画像の4系統のようです。
屋根に設置された発車案内によれば、9分後に「60-5」番バスが来るようです。 事前に調べた「60-3」番ではありませんが、このバスに乗れば金浦空港まで行けます。
案内表示が示した通りの時間に「60-5」番バスが来ましたので、これに乗り込み・・・
約1時間ほど乗り続けて終点の金浦空港ロッテモール前で下車。空港鉄道(A’REX)でソウル中心部へと向かいました。
ちなみに「60-3」番バスでしたらソウル市内の永登浦にある新世界百貨店タイムズスクエアまで行けるようです。
連続して取り上げてまいりました韓国の温泉は、ひとまず今回記事で終了です。
次回記事からはどこを取り上げようかしら。
乞うご期待!
京畿道金浦市大串面薬岩里450-2
日帰り入浴6:30~19:30(受付18:30まで)
10000ウォン
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
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