泣く子も黙る超人気温泉地「黒川温泉」に宿泊した某日、観光客へのお誂え向きバッチリな黒川温泉の雰囲気に酔いしれながらも、リアリティのある鄙びを求める私の心の片隅には明らかに残尿感的なもどかしさがこびりついていたので、それを払拭すべく向かったのが満願寺温泉です。
満願寺川に開けた小さな集落に旅館や共同浴場が数軒点在するだけの鄙びた温泉地「満願寺温泉」。こういう場所には曇天の空がよく似合う。
まずは温泉名の由来である満願寺に参拝。鎌倉時代の文永11年(1274年)に当地を所領としていた北条時定が国土安泰を祈願して建立した古刹であります。
満願寺から川に沿って遡ると、途中に気になる物件がいくつかあるのですが、今はとりあえず目を瞑ってそれらを通過。まずやってきたのは川沿いに建つご覧の小屋。
小屋の中に入ると、そこは浴槽が1つあるだけのお風呂でした。管理人がいない無人のこの施設は、地域民のための温泉共同浴場でして、外来者が利用する場合は300円を料金箱に入れればOK。浴槽が一つしか無いということはつまり混浴。コンクリ打ちっぱなしで、水の蛇口以外にカランは無く、至ってシンプルな造りです。
階段を降りた位置に浴槽が据えられているのが、いかにも昔ながらの温泉らしい風情を感じさせてくれますね。津々浦々の名湯は大抵階段を降りたところに湧いているものです。お湯はふんだんに浴槽へ投入されており、浴槽縁の切り欠けから大量に排湯されています。無色透明無味無臭で非常に当たりが柔らかい優しいお湯です。ただ、何故か浴槽自体が浅めにできており、寝そべらないと肩までお湯に浸からないのがもどかしいところ。
余計な物が一切無い素朴なお風呂で澄んだ優しいお湯に浸かって、何とも言えない恍惚の時間を過ごせました。
さて共同浴場から川を下る形で満願寺の方へ戻ると、その途中の川岸にこんな気になるものを発見。これぞ、温泉ファンの間ではつとに有名な露天風呂「川湯」であります。屋根がかかっているだけで、脱衣所も何にもありません。道路や周囲の家からは思いっきり丸見え。訪問時は地元の方がお湯で洗濯をしていたので、それが終わってからいざ入浴。お風呂を目の前にすると羞恥心が一切消えてしまう私は、少しの臆面も無くスッポンポンになって湯浴みしました。ま、そんなに人通りが多い場所じゃないので、男性だったら気にならないかも。
湯面と川面が同じレベル(高さ)なので、お湯に入りながら川を泳ぐ魚をまじまじと眺めることだってできちゃいます。コンクリ造の浴槽が二つあり、いずれもややぬるめの湯加減。おそらく足元(浴槽の底)から湧出しているものと思われ、浴槽から川へふんだんにお湯が溢れ出ていきます。共同浴場と同じく無色透明無味無臭でとっても優しいお湯です。この露天風呂のように、人目に触れるような場所でお風呂に入る文化は世界的に見ても非常に稀ではないでしょうか。いつまでも残しておいてほしいものですね。
分析表の掲示なし(単純温泉)
熊本県阿蘇郡南小国町満願寺志津
・共同浴場 地図
300円
備品類なし
・露天風呂 地図
300円
備品類なし
私の好み:★★★
コメント
素晴らしい
九州にも行きたいですねぇ、しかし予算的に厳しいのが実情です!
すぐにでも行きたい!
こんばんは。九州の温泉は量質ともに素晴らしく、入湯したいところだらけで目移りして困っちゃいます。私も時間とお金があればすぐにでも飛行機に乗って行きたいんですが…。