鉄道の旅が好きな私は、国内外問わず旅程に鉄道を組み込むように心がけていますが、2025年3月のインド旅行では日程がタイトで移動距離も長いため、地点間の移動には飛行機に頼らざるを得ませんでした。でも世界最大規模であるインド鉄道には是非とも乗ってみたかったので、多少無理をしても鉄道に乗れるようなスケジュールを組んでみました。
利用に際してどのように予約し、いかに乗車したのかを今回の記事で述べてまいります。わずかな乗車体験でインド鉄道の全てを語るつもりは毛頭ありませんが、初めての利用だからこそ得た経験もありますので、もしよろければ今後の旅の参考にしてください。
●公式サイトで時刻を調べる
鉄道を利用した旅程を練るには、列車の運行形態や時刻を調べないと話が始まりません。
インド鉄道のオンライン予約サイト(IRCTC)で検索します。英語表記ですから、列車を調べる程度でしたら専門用語を知らなくても大丈夫。乗る駅、降りる駅、乗車年月日などを入力して「Search」をポチっとすればOKです。
ただし、例えば東北方面の上野、中央線方面の新宿、東海道方面の東京駅など、東京の鉄道駅は方面別にターミナル駅が分かれているように、インドも大きな都市はターミナル駅が複数ありますので、ガイドブックやネットで旅行先のターミナル駅を確認しておくと、検索がスムーズです。

こんな感じで検索結果が表示されます。例として11月4日のバラナシからアグラへ向かう全列車を検索し、その中から2列車分のスクリーンショットを貼り付けました。列車名(列車番号)、出発及び到着の駅名と時刻(所要時間)、運転される曜日、連結される車両の種類や等級、検索日とその先4日分の車両の種類や等級別残席数、料金が表示されます。調べたいクラス(等級)をクリックすれば、そのクラスの残席数に表示が変わります。赤字で「WL」と表示されているのは”waiting list”つまり空席待ちの数であり、言い方を変えれば現在満席ということです。インドでは空席待ちの状態で予約を申し込むことができるらしいので、その点については詳しいサイトをご覧ください。
なお残席数が”reflesh”と表示されたら、そこをクリックすれば残席数が表示されるようになります。
●公式サイトの予約で挫折 → 12GOを利用してチケット確保
乗るべきターミナル駅、列車、時刻が分かれば、次は予約ですね。予約には公式サイトのIRCTCでアカウントを作る必要があるのですが、これが非常に難しく、ネット上でも皆さん相当難儀なさっている様子。実際に私も途中から進めなくなってしまいました。レギュレーションが頻繁に変更されるらしく、ネット上で紹介されている過去の成功事例通りに入力しようとしても、途中でエラーが出たり、そもそも紹介サイトで説明されていない謎の画面が出てきたりします。自分で予約できないとなれば、高い手数料を支払って旅行会社へ手配を依頼すべきか・・・そう諦めつつネットを検索していたら「12GOを利用すると良い」という情報が目に入ってきました。「12GO」とはタイ資本のオンライン旅行代理店で、特に東南アジア各国の交通機関を予約する際には非常に便利です。インド鉄道とも提携しており、手数料が上乗せされるのでIRCTCで予約するより若干割高ですが、事前に予約を確保できるため、私のようにIRCTCのアカウント作成を失敗した人にとっては、利用価値が十分にあるかと思います。席があると無いとでは、旅の安心感が雲泥の差ですからね。
ということで、私は時刻検索や空席状況はインド鉄道の公式サイトで確認しつつ、実際の予約は12GOを利用しました。1円でも安く買いたい、もしくは意地でも代理店に頼りたくないという方には不向きな方法ですが、確実性を担保しつつ多少の利便性には対価の支払いもやむを得ないとお考えの方に相応しいかと思います。
●チケット
12GOで予約してカード決済を済ませると、しばらく経ってからメールでPDFのバウチャーが送られてきました。私は2つの列車を予約したのですが、1つ目の列車のバウチャーはすぐに届いたものの、2つ目の列車については予約時から料金が変わったとのメールがあり、追加で料金を支払うことでようやく届きました。鉄道なのに料金が変動制なのかしら。なんだかモヤモヤしますが、わずかなので仕方ないか・・・。

これが送られてきた電子発券のバウチャーです。どうやらインド鉄道でオンライン予約した際に発行される正式なバウチャーの様式のようです。
乗車と降車の駅名や時刻、列車番号や列車名など、切符には欠かせない情報の他、インドの鉄道ならではの表記が見られます。
まず”Current Status”つまり現在の予約状況ですが、ここでは指定された号車や座席番号とともに予約ステータスなども記載されています。私へ届いた2列車分のバウチャーには両方とも”CNF”と記載されており、これは「予約確定」の意味。この部分が”RAC”だと具体的な座席の割り当ては未確定だが席自体は確保できている状態、”WL”だと空席待ち(乗れないかも)、といった意味になるんだそうです。窓側か通路側かという表記も独特で、Windowsideならば言わずもがなですが、私のバウチャーには”No Choice”と記載されており、これは通路側を意味するんだとか。なぜノーチョイスが通路側になるんだろう? ちなみに別の列車のチケットでは通路側を意味する一般的な英語”AISLE”が記載されていましたので、列車によって表現が異なるのかしら。
また、バウチャー左側の”PNR”という10桁の数字が非常に重要。これは予約番号であり、キャンセルや変更、予約状況の確認、そして車内検札など、様々な場面で使われます。
なお実際に乗車する際には、日本のようにバウチャーを正式な乗車券へ引き換えるような必要はなく、バウチャーそのままの状態で大丈夫。私はバウチャーのPDFをスマホに保存するとともに、念のため印刷した紙も持参しましたが、車内検札の際は車掌さんにスマホでPDFを見せるだけで全く問題ありませんでした。
●アプリ
Google Play版
apple版
インドの鉄道でとても便利だったのが公式アプリ”ixigo”でした。当然無料でダウンロードでき、インド鉄道のアカウントを持っている人はアプリから予約もできるそうですが、アカウントの作成に失敗した私でも、たとえば予めアプリにチケットのPNR(予約番号)を入力しておけば、自分の予約に関する様々な情報が表示されます。たとえば・・・

左画像は実際に私が利用したアプリ画面のスクリーンショットです。乗車する列車の名前、列車番号、発車及び到着の駅・日時、所要時間、入線する予定のホーム番線、指定の号車と座席番号、車種(クラス)、PNR(予約番号)などが表示されるほか、予約した列車の現在の状況をトラッキングしてくれます。画像の下にその様子が表示されていますが、この時は13分遅れており、目的地には19:43着予定である旨が記載されていますね。

画面を切り替えると、列車の走行速度、現在の走行位置、途中駅の名前、始発駅からの距離、到着・発車・通過時刻、遅延時分や目的地の到着予想時刻など、乗車中の列車に関する細かな情報がリアルタイムで表示されます。
初めて旅行する国で初めて乗る鉄道ですから、いま自分の乗る列車がどこを走っているのか、そもそも方向は正しいのか、オンタイムで走っているのか、どのくらい遅れているのかなど、不安でいっぱい。でも細かな情報はそうした不安を解消してくれますから、十分に利用価値がありました。もちろんアプリの便利な機能はこれ以外にもまだまだたくさんあるかと思いますので、詳しく知りたい方はお手数ですがご自身でお調べください。
次回記事では実際に利用したインドの鉄道について取り上げます。
次回に続く


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