(2025年5月再訪)
台湾に数ある野湯の中でも、車があれば比較的アクセスしやすい箇所の一つとして台東県の金峰温泉が挙げられるかと思います。かつて当地には公営の温泉公園が存在していましたが、2008年に台湾各地を襲った水害(いわゆる八八水災)により壊滅的な被害に遭い、2016年にも台風被害を受けて、ほぼ再起不能な状態になってしまいました。しかしながら非常に熱い温泉が噴出する源泉は残っていたため、一時はその源泉を活用するのではないかと推測される動きが見られました。私は2017年に当地を訪問してその様子を取り上げていますが(当時の記事はこちら)、それから8年が経過して現地はどのようになっているのでしょうか。
太麻里で台9線から分岐する台東県道64号線(以下東64線)を西へ進んで嘉蘭集落を抜けると、やがて垃冷冷大橋に行き着きます。東64線は本来直進(上画像の右手)へ伸びているのですが、この先は工事区間であり、進んでも行き止まりになってしまうので、普通の車だったらここを左折して垃冷冷大橋を渡ることになるかと思います。でも金峰温泉へ行きたければ、橋を渡らず直進しちゃいましょう。途中で路面状況が悪い未舗装区間を通りますが、特にバリケード等は無いので、気を付けて走行すれば問題ないはずです。
乗用車で行けるところまで行くと、東64線の路盤が途切れ、川へ向かってガクンと落ちるようなポイントへ到達します(上画像)。東64線は水害によってここから先の区間が喪失してしまったため、行政によって復旧工事が行われています。右側に青いアコーディオン式のゲートが見切れていますが、この先は工事区間となりますし、工事車両や重機がここを行き来することもあるかと思いますので、邪魔にならないよう、私はこのポイントからちょっと手前にある広い路肩に車を停めました。
なお私が訪問した時はちょうど休工中で、画像に写っているクレーンの下には道路の高架支柱に用いる鉄骨が横たわっていましたが、前回訪問してから8年が経過しているにもかかわらず、復旧工事は全くと言ってよいほど進んでいません。
工事現場の目の前には東64線道路復旧工事の概要に関する看板が立っています。これによると、施工期間は2026年11月8日となっていますが、整地もままならず、橋脚が1本も立てられていない状況で、2026年11月までに工事が終わるとは思えません。このあたりの適当な感覚はいかにも台湾らしいところです。
工事現場を過ぎて、荒涼とした礫の河原を上流に向かって歩きます。川の左岸(上流に向かって右側)を進めば大丈夫。
やがて温泉公園の跡地にたどり着きます。河原を歩いていれば前方に立ち上る白い湯気が目に入ってきますので、その湯気を目指せば問題なくたどり着けるはず。
公園跡と言っても、源泉を囲う錆びたフェンスに「温泉公園」と書かれた看板が掲示されているのみで、8年前には残っていた浴槽跡など公園の痕跡と思しき構造物は全く残っていません。解体されたのか、その後発生した土砂崩れなどで埋もれてしまったのか、その辺りはよくわかりません。
フェンスで囲まれた源泉では、ふつふつと煮え滾った高温の温泉が湧き上がっています。
湧出温度はなんと88℃。こんなところに入ったら、忽ち茹で上がっちゃいますね。
源泉の下流側には、ビニールシートを敷いて作った簡易的な湯溜まりがありました。どなたか先人が作ってくれたのでしょう。
88℃の熱湯を少しだけ引いてお湯を張っているのですが、そもそも高温なのでなかなか冷めず、湯溜まりでは52.7℃でした。これでも入浴するには熱いですね。
これまた先人の努力の賜物なのですが、簡易的なビニールシートの湯溜まりには、なんと川から加水用のホースが引かれているのです。そこで私はお湯のホースを一旦外して、ひたすら川の水だけを加えることで、入浴に適した温度まで下げたのでした。
この湯溜まりは浅いため、しっかり寝そべらないと肩まで浸かれませんが、開放的なロケーションの中で入る野湯の気持ち良さを存分に楽しむことができました。
音を立てて湧き上がる高温の温泉と、野湯ができる湯溜まりを動画に撮ってみました。フツフツと湧き上がる音を聞くだけでも、いかに高温であるかを想像することができるかと思います。
東64線の罹災区間が復旧した暁には、この金峰温泉も何らかの形で観光資源として再活用されるものと想像されますが、道路工事がいつ終わるか全く見通せない状況ですから、温泉はしばらく現状のまま放置され続けるのでしょう。

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