今回の記事で取り上げる「ラフォーレ」は、「原宿のラフォーレが遂にみちのく天童へやってきた!」といった手のものではなく、地元の医療法人が運営する温泉利用型の健康増進施設です。広大な土地に建つスッキリとした現代的なデザインの建物は、周囲の田園風景と相当かけ離れた極めて異質な存在感を放っていますが、ネットで調べてみると、一見は敷居が高そうな施設でありながら外来者でも気軽に利用することができ、しかもそこで入れる温泉のクオリティも高いとのことなので、近所の東根で湯めぐりをしたついでに立ち寄ってみることにしました。
訪問したのは平日の午後3時だったのですが、駐車場には沢山の車が止まっており、私の後からも次々に利用客の車が続いてきます。相当な人気を集めているんですね。満車に近い駐車場の隣には、屋外の足湯&飲泉コーナーが設けられているのですが…
残念ながら冬季はお休みのようでして、各設備類にはしっかりとシートが被せられていました(この記事がアップされる時点では、運用が再開されているものと思われます)。
全体が大きな弧を描く建物の館内は、天井を高くしたりガラスを多用して積極的な採光を図ったりと、実に開放的な造りです。健康増進を目的にしている施設であり、会員向けのフィットネスやスポーツジムがメインなのですが、ふらりとやってきた外来者が温泉入浴のみで利用することも可能ですし、上画像のように軽食が摂れる食堂も併設されています。
料金は受付前の券売機で支払い、その券と引き換えにカウンターで脱衣室の赤いロッカーカードが手渡されます。
脱衣室も綺麗で明るく、木目を多用してるのでぬくもりも感じられます。利用客に老人が多く、ウイルス性の感染症を忌避するためか、訪問時にはスタッフの方がこまめに消毒を実施していました。
ロッカーはコの字状にたくさん並んでいますが、特に場所の指定はなく、空いている任意の箇所が使えます。使用の際は、受付で受け取ったカードを裏手の装置に差し込むと施錠できる仕組みになっています。なお使用中のロッカー小窓にはカードの色が表示されますので、それによって使用中か空きかを確認することができます(赤いカードはビジター利用者の意味かと思われます)。
アトリエのような瀟洒で爽快な浴室入口。
入口と浴室のバッファゾーンには洗面台も設けられていました。
浴室も天井が高くて上部には採光窓も設けられているため、室内では快適な照度が保たれており、しかも湯気篭もりが全く無いため、温泉浴室にありがちな息苦しさや視界不良とも無縁です。
洗い場に設置されている各カランには仕切り板が取り付けられており、隣の利用者と干渉することなくシャンプー等ができるばかりか、各ブースに割り当てられているスペースにもゆとりがあるので、ストレスを感じること無く利用することができました。かなり贅沢な造りに、私は感心しっぱなしです。
浴室内にはいくつかの浴槽がありますが、大きなガラス窓に面している上画像は主浴槽でして、黒い石板貼りの浴槽は15~6人は余裕で同時入浴できそうな容量を擁し、一部は半身浴用に浅くなっています。大きな窓からは中庭や塀越しに山々の稜線を眺めることができ、シックでスッキリとした現代的なデザインが落ち着いた空気感を醸し出していると同時に、窓の外に映る景色が開放的な爽快感をもたらしていました。
硫酸塩と思しき白い析出が付着している湯口からは絶え間なくお湯が注がれており、湯船のお湯は窓下の溝へと溢れ出ています。館内表示によれば、入浴に適した温度にするため熱交換による温度調整は行われていますが、加水循環消毒などが無い放流式の湯使いを採用しているんだそうでして、確かに槽内には循環装置の吸引&投入口などは見当たらず、実際にお湯から得られる鮮度感もしっかりしていました。
主浴槽の他、かけ湯やぬる湯などもあり、各槽の傍にはそれぞれの用途・使用方法を説明したプレートが掲示されていました。さすがに健康増進施設だけあって、その辺りの配慮はしっかりしています。
続いて露天風呂へ。内湯よりも数段高いところにセッティングされており、目隠しの塀こそ立てられているものの、塀までに確保された広いスペースには笹原や植栽が施されているため雰囲気良く、寧ろ塀の向こうは乱川の広い河原ですし、屋根なども無いため、上方視界を遮るものがなくてとても開放的です。
浴槽自体は内湯の主浴槽同様に黒い石板貼りの15~6人サイズであり、湯口に白い析出がこびりついている点も共通していますが、排湯に関しては浴室側の縁に設けられた切欠より溢れ出されています。この時は氷点下近い冷え込みでしたが、湯口から落とされるお湯はその寒さに負けないほど熱かったので、湯船でも43℃くらいの温度がキープされていました。
さてお湯に関するインプレッションですが、見た目は無色澄明で、湯中には細かなグレーの湯の華がチラホラ浮遊しており、薄い塩味と芒硝味に弱タマゴ味、そして弱タマゴ臭と弱アブラ臭(東根温泉に近い匂い)が感じられます。食塩泉なツルスベと硫酸塩泉的なキシキシという相反する浴感が混在しているのですが、私の実感では前者のほうが優っているように感じられました。
既に本文中で述べておりますが、各浴槽とも入浴に適した温度にするため熱交換による温度調整は行われているものの、加水循環消毒などは行われておらず、れっきとした放流式の湯使いとなっています。新しくて規模の大きな入浴施設にもかかわらず、このような湯使いが実践されているとは素晴らしく、そのおかげで湯船に浸かるとなかなかの鮮度感が得られ、後を引くほどの気持ちよさが楽しめました。また利用客が多かったのですが、入浴スペースが広いので混雑もほとんど気になりませんでした。
湯上がりに裏手に流れる乱川の土手に上がって、山々を眺めながらクールダウン。向こうに聳える稜線は黒伏山に連なる山でしょうか。施設は綺麗だしお湯も良好という、非常に素晴らしい施設でした。
道満源泉
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 91.6℃ pH8.4 蒸発残留物1370mg/kg 溶存物質1508mg/kg
Na+:420.4mg/kg, Ca++:42.6mg,
F-:8.2mg, Cl-:444.9mg, Br-:1.3mg, HS-:0.9mg, SO4–:334.9mg, HCO3-:105.1mg,
H2SiO3:105.7mg, HBO2:30.6mg,
JR奥羽本線(山形線)・乱川駅より徒歩20分(1.5km)
山形県天童市道満197-2 地図
023-656-8322
ホームページ
10:00~22:00(受付21:00まで) 月曜定休
入浴のみ480円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
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