山川温泉 山川部落温泉入浴場(改装前)

熊本県

今回取り上げる「山川部落温泉入浴場」は昨年(2010年)に内部が改装されました。ここでは改装前の様子を紹介しますので、内部構造などは現状と異なります。ご了承ください。


湧蓋(わいた)山の周辺にはたくさんの温泉が湧いていますが、そのひとつである山川温泉に渋い雰囲気の共同浴場があると聞いたので、行ってみることにしました。集落の道を歩いていればわかるだろうと高を括って、事前に場所を調べずに出かけてしまったのですが、予想に反してどこにあるのかわからず迷ってしまい途方に暮れていると、道沿いに湯気抜きが設けられた古びた屋根を発見。よく見ると「共同湯入湯料大人200円」と書かれた小さな札が立っているではありませんか。なんだ、ここだったのか。何度も目の前を右往左往して通り過ぎながらちっとも気づきませんでした。私の修行もまだまだです…。

 
通りから取り付け坂路を下ると、その建物には「山川部落温泉入浴場」と書かれた看板が掲示されていました。ここで間違いありませんね。外観からして滅茶苦茶渋い。これは期待大です。看板には「入浴時間午後10時まで」の下に「部落民の安眠に御協力下さい」と注意喚起しているのが、ちょっとホノボノしていて微笑ましいところですね。


この施設は常時無人。ドアを開けたらいきなり浴室が目に入ってきます。脱衣所と浴室が一体型になっている、昔ながらの共同浴場なんですね。先に入っていた地元のお爺さんにご挨拶をしてからお湯に入らせていただきました。ここに限らず、九州の方は皆さん温かく接してくださるので、旅の思い出がより一層心に残ります。
男女別の浴室には浴槽がひとつずつ、確かカランは無かったはずです。無色透明ながらごく僅かに白く靄っているように見えます。底には灰色の綿埃のような湯の花が沈殿しており、お湯に動きがあるとボワッと舞い上がります。


湯口にコップがあるので飲んでみると、弱い硫黄味と硫黄臭が感じられます。湯口のお湯は一旦小さな源泉溜りに落とされた後、浴槽に注がれていました。源泉温度はやや熱めなので、こうすることによって湯温を調整しているのかもしれません。この源泉溜りにも湯の花沈殿がたっぷり。


上画像は脱衣スペース上に掲げられている注意書きなのですが、その下をよく見ると「入浴料金箱」という語句ともに矢印が描かれていますね。ではその料金箱はどこなのかと言えば、ちゃんと画像に写っているのですよ。画像左下に「小供(ママ)100円」と書かれており、その右側の塗装が剥がれて茶色っぽくなっていますが、その部分が現金投入口なのです。つまり壁埋込み型なんですね。

古くて渋い素朴な湯屋で、硫黄感のある掛け流しのお湯に浸かる幸せは、温泉ファンの方ならどなたでも共有していただけるものと思います。素晴らしい湯屋です。
なお冒頭で申し上げたように、この浴場はつい最近改装されたんだそうです。脱衣所と浴場が分割され、浴槽も石板タイル貼りの綺麗なものに造り替えられて、源泉溜りは取り払われたようです。でも渋い外観はほとんどそのまんま。お湯も昔のまま源泉掛け流しですから、新しくなったとはいえ、温泉ファンを魅了し続けることに違いはなさそうです。

単純硫化水素泉

熊本県阿蘇郡小国町大字北里字山川  地図
駐車場は北里川を渡ってすぐのところにある(左岸側の)公民館前です。

入浴可能 不明~22:00
200円
備品類なし

私の好み:★★★

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