たらポッキ温泉

青森県

青森県の青森市と旧浪岡町の境の峠に当たる羽州街道の鶴ヶ坂は、その昔には津軽坂と呼ばれていたそうで、時代が下るに従い発音が転じて鶴ヶ坂になったようなのですが、一説には近世になり津軽藩を確立した津軽氏が弘前に築城するに当たり、津軽の縁辺にも関わらず津軽坂なんて名乗るのは宜しくないということで、「る」と「が」を逆転させて鶴ヶ坂に改名したとも言われています。この地には傷ついた鶴が湯あみしていたために温泉が発見されたという言い伝えが残っており、かつては湯治場として温泉宿が何軒か存在していたそうですが、その後それらは廃れてしまい、昭和59年に海産加工食品を製造する三幸食品が工業用水を求めてボーリングしたところ、高温かつ豊富な温泉が掘削自噴したため、これを機に公衆浴場が建設されました。それが今回紹介する「たらポッキ温泉」です。

「たらポッキ」とは一風変わった名前の温泉ですが、これは上述の三幸食品が製造している海産珍味(いわゆるチーズたら)の名前のことで、商品名をそのまま温泉施設の名前に採用したわけです。当浴場は旧国道沿いに建てられており、一昔前のドライブインのような三角屋根が特徴的な外観で、周囲には建物が少ないため、道沿いに突然現れたような印象を受けます。

お風呂の造りは至ってオーソドックスで、中央に大小にわかれた浴槽がひとつずつ、それを取り囲むようにカランがズラっと並んでいます。ほぼ無色透明であまり匂いは感じられませんが、湯口のコップでお湯を飲んだらマイルドな塩味が確認できます。また重曹分の影響か、はっきりとしたヌルヌルすべすべ感が楽しめます。訪問時は昼前なのに土曜だからかお客さんで大賑わい。カランはほぼ全て埋まっていました。湯口の上には鶴ヶ坂の沿革が記されたプレートが掲げられていて、ここがかつて湯治場だったことなどが説明されています。なおカランから出てくるお湯も源泉です。
湯上りは重曹のお蔭でさっぱりし、なおかつ食塩の力により湯冷めしません。奥羽線の鶴ヶ坂駅から近くで、青森市営バスや弘南バス路線バスの鶴ヶ坂田川バス停目の前ですので、交通機関の利用も可能です。

JR奥羽本線・鶴ヶ坂駅 徒歩7分(550m)
青森県青森市大字鶴ヶ坂字田川88-3 地図
017-788-1347

9:00~22:00
420円

ドライヤーあり(100円)

私の好み:★★

コメント

  1. MR.A より:

    Unknown
     タラポッキ温泉は二、三回入ったのみですが、とても肌触りの良い、良い温泉ですね!私も好きな温泉です。
     さて、浴室の説明文にあるかつての『鶴ヶ坂温泉』ですが、今のタラポッキ温泉からは少し離れていて、街道から細~い路地を入って踏み切りを渡り、東北道も潜って更に東に行った先の小さな谷合にあります。殆んどの温泉宿や客舎は撤去されて既に在りませんが、ただ一軒、かつて温泉宿だった建物が残っていて、浴室だったであろう部分も、温めの源泉を加温した名残の煙突も残っています。
     現在は個人宅らしく、中には入れませんが、小さな庭の池に注ぐ湧水?に手を浸けると、今でもほんのり温かく、これが鶴ヶ坂温泉なのかと実感させられます。
     更に、この旧旅館の隣には畑やビニールハウスがあり、ここにも古いポリバスに注がれる旧源泉を見ることが出来ます。
     旧旅館の建物はかなりの年代物ですので、いつまであの場所に建っているかは知れません。次回K- 1さんが鶴ヶ坂を訪れる際には、是非旧鶴ヶ坂温泉にも寄ってみて下さい!

  2. K-I より:

    Unknown
    >MR.Aさん
    そういえば暫く「たらポッキ温泉」とはご無沙汰でしたので、また鶴ヶ坂を通過する機会があれば、今度はバイパスではなく敢えて旧道を走って、久しぶりに再訪してみます。

    >かつての『鶴ヶ坂温泉』
    初めて知ることばかりで大変勉強になります。いまでも源泉が残っているんですか。しかも旧旅館の建物が辛うじて残っているとは…。「たらポッキ」を再訪した際には、是非とも地図を片手に、昔日の湯治宿の面影を追ってみます。
    ありがとうございます。

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