十勝岳温泉 湯元凌雲閣

北海道

ここは北海道で最も高い所にある温泉宿なんだとか。でも大雪山の中岳温泉はもっと高いところで湧いているはずですから、温泉「宿」として最高地にあるという意味なのでしょう。
十勝岳温泉の中では一番奥、道道291号線の坂を登りきったどん詰まりにあり、標高1280mなんだそうです。建物は全体的にお年を召してやや草臥れている様子。玄関はちょっと雑然としていたものの、訪問時には他にお客さんの姿は見られませんでした。

さてお風呂ですが、浴室に入ってまず目に飛び込んでくるのが、室内に思いっきりせり出しているデカい岩。わざわざ別の場所から持ってきたとは考えにくく、宿を建設する以前からこの位置にあって、ワイルドさを醸し出すためにそのまま活かして浴室を作ったのかもしれません。その岩の下に内湯が設けられています。

源泉は2種類あって、橙色に濃く濁るお湯がメインの浴槽に注がれており、その隣にある小さな浴槽には本来ならば透明のお湯が注がれているはずでした。というのも、成分表を見ると小さい方のお湯は酸性泉のようですが、残念ながら訪問時は小さい浴槽が空っぽだったのです。温泉槽の他に真湯と思しき泡風呂もありましたが、あまり興味なかったのでこちらはパス。
 

主浴槽のオレンジ色のお湯は、弱いながらも金気の匂いと味が感じられ、加えて芒硝と石膏の知覚も伝わってきます。濁り方が強く、透明度はわずか5センチほどで、底の方には湯の花が滓のように沈澱しており、攪拌するとモワっと沈殿物が舞って更に濃く濁りました。硫酸塩やカルシウム分の影響か、ギシギシとした浴感です。

内湯は湯気がこもって息苦しかったので、掛け湯をして早々に露天へ。この露天が素晴らしかった! 眼前には十勝岳や上富良野岳などの山々が聳え、一大パノラマを眺望することができるのです。目の前に視界を遮るものは無し、視野がとても広く、この上なく壮大な気分です。この日はあまりよい天気ではありませんでしたが、それでも稜線が遠くまではっきりと見え、山肌にはまだまだたくさんの雪が残っており、普通は山登りしないと体験できないような高地らしい美しい景色が望めました。
あまりに景色が良いので、お湯に入ったり出たりを繰り返しながら、長い間景色を見つめていました。すっぽんぽんでここのような眺望を楽しめる露天風呂は、日本各地を探してもそうはないでしょう。
露天の浴槽は2段に分かれ、上段は熱めで下段はぬるめ(たぶん37度くらい)、内湯のメイン槽と同じくオレンジ色のお湯ですが、外気に触れているせいかより濃く濁っているように見えました。

なおこのような絶景が堪能できるのは男湯の露天だけで、女湯は高い壁に視界を遮られて大した眺めが得られないんだとか。また全体的に古いだけでなく、清潔感というか「ちゃんとこまめにお手入れしてますよ」感がいまいちなので、女性客のウケはあまり期待できないかもしれません。にもかかわらず日帰り入浴の料金が800円とちょっと高めの設定なので、その点もちょっと引っかかるところではあります。ここは単なる温泉宿としてではなく、登山基地として利用することに意義があるのかもしれません。

凌雲閣2号井(オレンジ色の湯):カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
53.0℃ pH6.2 69L/min(動力) 成分総計2.222g/kg 

凌雲閣1号井(透明のお湯)
36.7℃ pH2.4 116L/min(自噴) 成分総計1.631g/kg

北海道空知郡上富良野町十勝岳温泉
0167-39-4111
ホームページ

8:00~20:00
800円
ドライヤー有り

私の好み:★★

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