湯泉地温泉 泉湯 (および谷瀬の吊り橋)

奈良県

十津川村・湯泉地温泉にある共同浴場のうち、前回取り上げた滝の湯が観光客向けだとすれば、今回の泉湯は地元向けの浴場といえるかと思います。


国道の路傍に立つ大きな「湯泉地温泉」の看板のところで集落へ伸びる路地に入ります。おそらくこの小路は国道の旧道でしょう。


泉湯は温泉旅館が建ち並ぶ手前、ちょうどNTTの小さな交換局の斜前に位置しています。並びには商店や郵便局もあるので、この辺りが昔からの集落の中心だということがわかります。木造で湯気抜きがあるところがいかにも湯屋って感じ。


入口には湯使いに関するデータが掲示されていました。細かいところまで正直に答えてくれているので好感が持てますね。十津川村のお湯に対する自信が窺えます。なお同様のものは滝の湯にも貼ってありました。


日常的な入浴を目的にして設けられている浴場のため、内部構造はこじんまりとしておりシンプルです。湯あがりに寝っ転がるようなスペースなんか無いので、その点はご留意を。
内湯も4人入ればいっぱいになるサイズ。塩ビのパイプからお湯が掛け流しですが、手で触れないほど熱いために水も一緒に投入されています。だいたい水:お湯=1:4ぐらいの比率でしょうか。1.7kmも離れたところから引湯していながら結構熱いんですね。お湯は滝の湯と同様に1号泉と2号泉の混合で無色透明。タマゴのような硫黄の匂いと味がしっかり感じられます。ただ水で薄めているためか、滝の湯よりは若干知覚が弱めだったように感じられました。つるつるすべすべした浴感は気持ちよいですね。


公衆浴場なのに露天も用意されています。一応十津川の河原に向かって開けているのですが、木の枝が茂っているので、あんまり眺望は期待できません。でも内湯よりは大きな浴槽ですから、のびのび入るにはこちらをチョイスしたくなります。

アルカリ性単純硫黄泉
(1号泉と2号泉の混合)
 1号泉:59.2℃・pH8.6・180L/min
 2号泉:53.6℃・pH8.8・454L/min
 混合:51.4℃・pH8.8 成分総計274.5mg/kg(混合)

奈良県吉野郡十津川村武蔵28-4
07466-2-0090
十津川村観光協会・湯泉地温泉紹介ページ

10:00~21:30(受付は21:00まで) 火曜定休
400円
コインロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★

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・谷瀬の吊り橋

十津川村といえば谷瀬の吊り橋。長さ297.7m、川からの高さ54m、1954年に架けられた日本最長の鉄線の吊り橋です。無料で渡れますが、観光名所だけあって駐車場は有料です。また混雑時には一方通行となり、対岸へ渡ったら村営バス(有料シャトルバス)でスタート地点に戻ってくるルートをたどることになります。


訪問時は連休中で混雑していたため、駐車場がある上野地側からの一方通行でした。みなさん吊り橋の高さを見て驚きの声を上げています。


さぁ渡りましょう。安全面を考慮して、一度に渡れるのは20人まで。橋のたもとには係員がいて、ちゃんと頭数をカウントして、通行人の整理をしています。


橋に掲示された注意書き。しっかり読んで守りましょう。


橋の上から河原を見下ろした様子。やけに河原が広いのは、明治22年に発生した大水害でそれまで川沿いにあった集落や耕地が一気に流されてしまったためです。多くの人が罹災し、生存できた人も生活拠点を奪われてしまったため、集団で北海道へと移住していきました。それが滝川市に近い新十津川村です。

 
渡り終えてスタート地点を振り返った様子。一方通行実施時には通路の上にその旨を知らせる横断幕が張られます。


臨時のシャトルバスでスタート地点に戻ります。大人160円(こども半額)

この吊り橋は今でこそ観光名所ですが、そもそもは地元の方々が対岸との交通を改善するためにお金を出し合って作られたもので、1戸あたり20万円近くも拠出したんだそうです。当時の20万円といったら相当な金額ですね。みんなで私財を投げうって公共のために尽くそうとする村の人々の心意気には頭が下がる思いです。

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