※残念ながら廃業してしまいました。
八幡平の秋田県側、明媚で静寂な湿原が広がる大沼の畔に建つ、八幡平アスピーテライン沿いのドライブイン兼宿泊施設です。私はいままで何度も目の前を通り過ぎていながら、いかにも昭和後半の観光施設らしい外観を敬遠してしまい、立ち寄ったことはなかったのですが、ここで温泉に入浴できるということを知り、某日アスピーテラインを走行している時に訪れてみることにしました。
駐車場入口付近には檻が置かれており、中ではクマさんが飼われていました。お名前は「じゅん」君で、御年21(2010年時点)。Wikipediaの記事によればツキノワグマの寿命は24年で飼育下なら33年とのことですから、いずれにせよご高齢でありまして、この時も動かざること山の如しと言わんばかりで、目は開けているのですが、気怠いのか、ちっとも動こうとしませんでした。尤も、本来は山の中を縦横無尽に行動する生き物ですから、こんな檻の中に入れられたら心身ともに鬱屈しちゃいますよね。
建物1階は食堂になっており、その受付で料金を支払って、階段を上がって2階の浴室へと向かいます。お風呂には男女別の内湯と混浴の露天風呂があり、双方は直接行き来できませんので、両方に入浴する場合は一旦着衣する必要があります。
内湯は、造りこそ昭和の香りが強く漂いますが、窓からは大沼が望め、結構広々しています。
洗い場のカランはシャワー付き混合栓が4基設置されています。タイル貼りの浴槽にはお湯が大量に投入されており、見ていて気持ち良いほど縁からザブザブと豪快にオーバーフローしていました。お湯は無色透明の単純泉ですが、浴室へ入った途端に油臭が鼻孔をくすぐり、さらに湯口でクンクン嗅いでみると、油臭の他に金気臭や臭素臭のような匂いが僅かに感じられました。味に関してはほぼ無味ですが、僅かに苦みのようなものがあったような気がします。湯中には赤茶色の浮遊物がちらほら見受けられました。弱めですがツルスベ感があり、肌への当たりが柔らかく、40℃程度という湯加減も手伝ってか、いつまでも長湯していられるような、優しいお湯でした。建物も浴室も地味ですが、まさかここで、こんな優しく柔らかいお湯に出会えるとは思っておらず、ちょっとびっくりしてしまいました。
こちらは露天風呂です。専用の扉から屋外へ出て、建物の裏手に回っていくのですが、そのロケーションといい、全体的な造りといい、後から取ってつけたような感が否めません。浴槽は2分割されており、湯口のある手前側の方が若干湯加減が高めでした。
お湯自体は無色透明無味無臭で、浴感なども特に個性的な主張を有するものではありませんが、お風呂が緑色掛かって見えるのは、浴槽内に苔が生えているからでして、泉質由来ではありません。また訪問時には湯口の湯溜りには虫がたくさん浮いていて、残念ながらあまり気持ち良く湯浴みすることはできませんでした。たまたま清掃時間から外れたタイミングで訪問してしまったのでしょうね。
露天風呂からも 梢の向こうに大沼が眺められます。景色は良く、とても爽快な環境です。夏は虫が鬱陶しいのですが、秋には露天風呂からの紅葉がさぞかし美しいことでしょう。
ところでこちらの施設では大沼温泉と八幡平温泉の2源泉を使用しているようですが、どのように使い分けされているのか、あるいは混合されているのか、よくわかりません。しかしながら、お湯の特徴から考えるに、元々この施設にあった内湯には大沼温泉を、後から増設した露天風呂には成分がとっても薄い八幡平温泉を引いているのではないかと、私は勝手に推測しています。間違っていたらごめんなさい。
設備面のみならず、お湯の質から捉えても、私個人としては露天よりは内湯の方が好みです。
大沼温泉
単純温泉 45.1℃ pH7.3 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質439.4mg/kg 成分総計480.7mg/kg
Na:48.5mg(54.81mval%), Ca:17.0mg(22.08mval%), HCO3:216.4mg(91.73mval%)
八幡平温泉
単純温泉 73.0℃ Ph7.2 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質101.9mg/kg 成分総計108.0mg/kg
Na:5.8mg(30.12mval%), Mg:2.2mg(21.69mval%), Ca:7.6mg(45.78mval%), SO4:10.8mg(23.66mval%), HCO3:35.2mg(62.37mval%)
秋田県鹿角市八幡平熊沢国有林第33林班イ小班内 地図
0186-31-2211
ホームページ
立ち寄り入浴時間:不明
400円
貴重品帳場預かり・内湯にシャンプー類とドライヤーあり
私の好み:★★
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