京町温泉郷 山麓温泉

宮崎県

 
宮崎県えびの市から鹿児島県湧水町にかけて広がっている加久藤盆地は、カルデラを起源としている地形であるためか温泉の宝庫でありまして、温泉浴場の密度がかなり高い地域でもあります。その上、そこで湧いている温泉が私の好きなモール系であるため、個人的にはかなり推したい地域でもあります。
今回は京町温泉駅の裏手に位置している「山麓温泉」という共同浴場を取り上げてみます。駅裏といっても道を大きく回らなきゃいけないため、直線距離に反して実走(というか実歩?)距離は結構あります。県道沿いには看板が立っているものの、建物はそこから奥まった民家の庭先にあるため、温泉の存在に気付かずここを通り過ぎる人も多いでしょう。私が訪れたのは午後3時半頃だったのですが、ちょうどお風呂が混み始める時間帯だったようで、地元の常連さんは軽自動車で乗り付け、次々に湯屋へと吸い込まれていきました。


湯屋の裏手に施設名が記された貯湯タンクを発見。

 
無人の共同浴場ですが、入口の内側に番台らしき設備こそあるものの、料金箱らしきものが見当たらず、どこに料金を納めてよいかわからないでキョロキョロしていたら、隣接している民家から奥さんらしき方がやってきて、料金を受け取ってくれました。私がこの湯屋の前に立った時、その民家の番犬がワンワンけたたましく吠えたてたため、その鳴き声によって外来者の来訪に気付いた家人が出てきてくださったのでしょう。建物内は至ってシンプルな構造で、いかにも地元民向けの共同浴場らしい佇まいです。骨董品的なマッサージチェアーが目を惹きます。


ここからの画像は曇ったものの連続で申し訳ありません。
お風呂は男女別の内湯が一室ずつで、浴槽もひとつずつ。室内はモルタルの上に若草色のペンキで塗りたくられており、洗い場や浴槽は使いこまれた感のある目の小さなタイル貼り。上がり湯用のカランは無いので、桶で浴槽のお湯を直接汲んで掛け湯にします。浴槽は4~5人サイズで、湯使いは純然たる掛け流し、浴槽の切り欠けから絶え間なく溢れ出ていきます。

 
湯口は壁に直付けされたパイプの他、男女仕切りの下にも源泉枡があり、そこからも源泉が注がれています。この他獅子の湯口もありますが、訪問時は獅子からの源泉投入は止まっていました。源泉温度はやや熱く、湯船でも熱いままの状態が保たれているため、人によっては水で薄めた方が宜しいかと思いますが、水の蛇口は源泉枡の上に設置されているため、水で湯船を薄める場合はこの枡の上に竹の樋を渡して導水することになります。

加久藤盆地はモール系の温泉がほとんどですので、この温泉もご多分にもれずモール・重曹系のお湯でして、具体的にはごく薄い麦茶色の透明、ほろ苦みがあり、弱いモール臭を漂わせています。癖の少ないさっぱりとしたお湯ですが、熱めの湯加減のために、湯上りは軽くフラフラしてしまいました。

なおこの温泉は戦後の昭和32年に家族や近所向けとして掘削されたのが始まりで、その4年後に一般開放されて現在に至っており、共同浴場の他、湯治宿や家族風呂も併設しています。訪問時(午後3時半)は先客2人に後客3人となかなかの人気を集めており、地元の人々にとっての憩いの場となっているようでした。

単純温泉 55℃ 96.3L/min(動力揚湯・地下330m掘削) 分析表掲示ないため詳細データ不明

JR吉都線・京町温泉駅より徒歩6~7分(750m)
宮崎県えびの市大字向江583-1  地図
0984-37-0237

8:00~21:00
350円
備品類なし

私の好み:★★★

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