大分市 いかりやま温泉 家族風呂

大分県

日本で一番低い山は宮城県仙台市の日和山で、その標高はわずか3メートルです。東京に限れば浅草の山谷堀と隅田川が合流する待乳山で標高は10メートルになるようです。翻って、山海の自然に恵まれた大分県で最も低い山は大分市内にある標高56メートルの碇山。仙台や東京に比べればはるかに高く、しかも神武天皇にまつわる伝説や松平忠直のお墓など、標高の低さに反して歴史的エピソードが多いので、数値的に低いと言っても決して侮れない山なのです。さて、この山の名前を冠する温泉入浴施設「いかりやま温泉」が次なる目的地です。


幹線道路から狭い路地を進んだ先にある、昭和な香りを強く放つ建物が「いかりやま温泉」。中央の丸い螺旋階段部分が特徴的です。一見するとアパートのようにも見えますが、その理由は後ほど。


建物の裏手には大きな貯湯タンクが設置されていました。自家源泉のお湯をここで一旦ストックしてから、館内の浴場へと供給しているのですね。


「源泉掛け流し」と書かれている玄関を入ると、館内は意外とこぢんまりしており、入ってすぐに番台がありました。私が訪問したのは夕方。駐車場の状況から推測するに、おそらく大浴場は混雑しているのだろうと考え、今回は家族風呂を利用することにしました。番台でその旨を伝えて900円(35分間)を支払い、部屋の鍵をもらって螺旋階段で2階へと上がります。


今回あてがわれたのは205号室です。2階には家族風呂が並んでいるため、外から見るとアパートのように見えたのでした。


室内はそこそこ広く、私のように一人で利用するとスペースを持て余しちゃう感じ。脱衣室には扇風機のほかエアコンも設置されているので、四季を通じて快適に利用できます。


室内には、なぜかヘルスメーターではなく台貫が置いてあったのですが、ばねが狂っているのか針はヘンテコな数字を指していました。


浴室も家族風呂にしては広い方かと思います。


シャワー付きカランは一つのみですが、カランから出てくるお湯は温泉です。一方、冷水は水道ではなく、地下150メートルから汲み上げた地下水なんだそうです。


タイル張りの浴槽は2人サイズ。私のような一人利用でしたら、セレブ気分でゆったり入れます。


貸切風呂には、常時お湯が張られている施設と、使用の都度にお湯を張り替える施設がありますが、こちらは前者。浴槽には常時温泉が投入されており、湯船に入ると勢いよくザバーッと音を立ててお湯が溢れ出ていきました。とっても豪快です。


浴槽の横にはお湯に関する説明が掲示されていました。これによれば当温泉は地下670メートルから汲み上げており、全てかけ流しの湯使い。約6500万年~1億3000万年前の堆積岩や古代植物の発酵(ママ)によって生まれた温泉で、大深度地熱温泉と呼ばれているんだとか。いわゆるモール泉と称されるタイプのお湯であり、浴槽のお湯は淡い琥珀色を呈しており、お湯をテイスティングするとほろ苦い味とともにアブラ臭のようなモール臭が感じ取れます。なお塩気はありません。湯船に浸かるとツルツルスベスベの滑らかな浴感が強く得られ、うら若き乙女はもちろん、むさ苦しいオッサンを含めた誰しもが美人になれること請け合いです。純粋な重曹泉であることのほか、炭酸イオンが30mgも含まれていることが、この滑らかな浴感をもたらしている要因かと思われます。しかもお湯が常に大量投入されているので鮮度感も良好。実に素晴らしいお湯です。

碇山は確かに県下で最も低い山かもしれませんが、極上のお湯に浸かれたおかげで、私の気分は富士山を上回る高さまで高揚しました。おすすめです。

ナトリウム-炭酸水素塩温泉 46.5℃ pH8.6 130L/min(動力揚湯) 溶存物質1.273g/kg 成分総計1.273g/kg
Na+:326.3mg,
Cl-:108.6mg, HCO3-:684.0mg, CO3–:30.0mg,
H2SiO3:95.0mg,
加温・循環・消毒なし
夏季に地下水を加水することあり

大分県大分市大字片島577-3
097-569-5648

14:30~22:30 第1火曜定休(祝日は営業)
一般入浴380円
家族風呂900円/35分、1200円/1時間、延長30分500円

私の好み:★★★

コメント

  1. たちかわ某 より:

    Unknown
    隣の別府市の影に隠れていますが、大分市にも観光温泉地では無いにも関わらず尋常ならざる数の温泉施設が存在しますよねえ。
    自分もいよいよ次の連休で大分市の温泉に初訪問する予定なのですけど…この先全部入浴を果たすのはとても無理だろうなあ。

  2. K-I より:

    Unknown
    たちかわ某さん、こんにちは。
    大分市の温泉は、数も質もなかなか素晴らしいですよね。県庁所在地の市街地でこれだけ温泉に恵まれているのですから驚くほかありません。
    連休に大分市の温泉を巡られるとのことで、あまり無理せず気を付けながら温泉をお楽しみください。

  3. ぬる湯マスター より:

    Unknown
    こんばんわ^^。
    そう言えば世間はもうすぐ4連休があるんですね。
    我が社は先月まで毎週が4連休でしたが(苦笑)
    今月から平常勤務なので4連休の所も土日休みです。
    私としても、この様な圧倒的昭和感の漂う場所で、
    浴びる様に入浴してみたいものです。
    先日、満を持して埼玉の日帰り温泉施設、
    旅館とき川へ行ってみようと思い立ったのですが、、、
    やはり午前の部はスゴイ人気で全く空きが無く(><)
    掛け流しが恋しくてたまりませんね、、、。

  4. K-I より:

    Unknown
    ぬる湯マスターさん、こんにちは。
    リモートワークという世間の風などどこ吹く風、我が社は毎日出勤で、なぜか妙に忙しく、遠出もできずに今日に至っております。都民なのでgo toなんちゃらも無関係でございます(苦笑)。それゆえ、私も掛け流しが恋しくてたまりません。泣いちゃいそうです(笑)。
    旅館とき川は全く空きがないのですか。人気施設とはいえ、それは驚きです。観光地としては無名にもかかわらず、みなさんよくご存知なのですね。

  5. たちかわ某 より:

    Unknown
    早速行ってまいりました大分市の温泉へ。
    手始めにまずはあたみ温泉と新湊温泉に入浴。これは…!
    レトロな雰囲気も素敵なハイレベルな温泉ではないですか。
    これからは別府とセット訪問で贔屓にしそうです。
    地方都市の街中に散在するモール泉かけ流しの温泉施設ということで、山梨県甲府エリアでの湯巡りを思い出しましたよ…。

  6. K-I より:

    Unknown
    たちかわ某さん、こんばんは。
    大分市内へ温泉巡りへお出かけになったのですね。おかえりなさいませ。早速市内の温泉の魅力に心をつかまれてしまったようですね。確かに甲府に似たものを感じます。おっしゃるように別府とセットでまわりたい名湯ばかりですし、個人的には好みのタイプのお湯が多いので、へそ曲がりな性格も相まって、別府ではなく大分を湯めぐりの拠点にしたいぐらいです。

  7. 齊藤樹 より:

    こんにちは
    今年も宜しくお願いします。
    ここ、良さげですね。
    今田系かな?
    温泉分析書を撮ってありましたら、配信をお願いします。

  8. K-I より:

    Unknown
    齊藤様

    こんにちは。
    本年も宜しくお願い致します。
    なかなか良い温泉でした。
    今田系とはどのような意味ですか?(不勉強ですいません)。
    先程分析表をメールでお送りしました。ご査収ください。

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