熱海温泉 KKRホテル熱海(日帰り入浴)

静岡県


(2021年4月訪問)
一時は斜陽観光地の代名詞だった熱海ですが、いまではすっかり息を吹き返し、昭和の頃には浴衣姿のおじさんたちが赤ら顔で下品な話に華を咲かせていた大型旅館も、いまでは加齢臭を寄せ付けない小洒落たスタイリッシュなリノベーションホテルに生まれ変わり、それに伴い当地の宿泊価格相場も「自分にご褒美」的なラインへ上がっているようです。普段は渋い旅館を好む私も、たまには気持ちが弾むようなホテルに泊って心をときめかせたいのですが、でも無い袖は振れませんので、巨大なホテルを下から見上げてひたすら羨むだけにとどめ、その場を素早く立ち去るのが常となっています。
そんな私でも日帰り入浴を受け付けているホテルならば比較的気楽に訪問できますので、今回は熱海駅から徒歩約10分のところにある、海を臨む巨大なホテル「KKRホテル熱海」を訪ねて、入浴のみ利用してまいりました。


それにしてもデカイですね。巨大な要塞のようです。建物が大きい上、熱海ならではの急傾斜地に建てられているため、道路から建物1階までの擁壁も高く、それが余計に要塞感を強めているようです。主に全国の観光地に点在するKKRの各施設は、えてして昭和の匂いが残るような如何にも保養所然とした施設が多いような印象ですが、この熱海に限ってはKKRの固定概念を覆す大変立派な建物であり、とても共済組合の福利厚生施設だとは信じられません。


さて上り坂のアプローチを進んでエントランスを入り、フロントで日帰り入浴をお願いしますと、快く受け付けてくださいました。所定の料金を支払うと引き換えにフェイスタオルがもらえます。


タオルを片手にエレベーターで浴場がある7階へ。


この7階エレベーターホールは見晴らしが素晴らしく、相模灘を一望できます。
晴れていれば伊豆諸島を望めるかと思いますが・・・


残念ながらこの日はあいにくの天気だったので、肉眼でわかるのは初島だけでした。でも高いところから海原を臨むと気分が清々しくなりますね。なおこのホールの一角にはお水のサービスがありますので、お風呂上がりに景色を見ながら水分補給するのも良いでしょう。


見晴らしの良いホールを挟んで左右に浴場が分かれており、海に向かって右側が男湯です。
私の訪問時はコロナ対策の一環として、靴を靴棚に入れずビニール袋に入れて各自のロッカーへ収める措置がとられていました。脱衣室も綺麗で明るく、洗面台もそこそこ広いので使い勝手良好です。なおロッカーはコロナ感染対策のため使用の都度スタッフにより消毒され、入浴客は消毒済みのところを使うことになります。


建物自体が大きく湾曲しており、浴場もそれに伴って大きくカーブしています。室内が広いのみならず、圧倒的なオーシャンビューのおかげで室内なのに開放的。しかも床や浴槽には伊豆青石をふんだんに採用しているので、居心地がすこぶる良好、爽快です。海を臨む窓に沿って設けられた主浴槽はとても大きく、循環濾過された温泉のお湯が張られています。お湯は底でしっかり吸引され、湯口の他、側面からも投入されていました。後述するようにこちらのお湯は本来色を帯びているのですが、内湯はしっかりろ過されているため無色透明です。とはいえお湯に残る温泉成分の影響か、浴槽底面に敷かれている伊豆青石は温泉成分で赤茶けていました。


浴槽とは反対側の山側に洗い場が配置され、シャワー付き混合水栓が12基、そして立って使うシャワーが2基設置されています。
この他、洗い場の奥にはサウナや水風呂、そして小さなジャグジー槽(非温泉)なども設けられています。


浴場から外へ出るドアを開け、庭園風の設えで雰囲気が良い露天ゾーンへ。
プールのように大きな内湯の主浴槽と比べると、桜御影石で作られたこの露天風呂は小さく、約2.5メートル四方の5人サイズかと思われますが、でも高台に建てられたホテルの7階という高度のおかげで、大変見晴らしがよく、眼下に広がる相模灘を一望しながら気持ち良く湯あみできました。

露天風呂は景色のみならず、お湯も素晴らしい。内湯は循環ろ過でしたが、露天は源泉のお湯がしっかりかけ流されているのです。湯口からは50℃近い熱めのお湯が注がれていますが、外気で冷却されるため、湯船では加水することなく丁度良い湯加減が保たれています。そして湯船のお湯は海側の縁の切り欠けからオーバーフローしています。
ホテルの敷地内で汲み上げている自家源泉かけ流しのお湯は、僅かに緑色を帯びたような山吹色に濁っており、塩辛くて苦汁味も少々感じられます。なお匂いはあまりなく、見た目とは裏腹に金気も感じられませんでした。湯中では食塩泉らしいツルスベの滑らかな浴感がはっきり得られ、しかも温浴効果も強く、体の芯まで良く温まります。
眺めが良くしかも風が吹き抜けるので、つい長湯してしまいがちですが、逆上せやすい熱の湯ですから、この露天風呂では迂闊に長湯せず適宜湯船から上がって休憩するなど考えながら湯あみを楽しみましょう。

建物は綺麗だし、お風呂からの眺めは良いし、しかもお湯も素晴らしい・・・なんて素敵なホテルなんだろう!
こんなホテルを割引料金で利用できる国家公務員がとても羨ましく思えてしまいます。はぁ、しがない零細企業人のオイラにゃ別世界の話だぁ・・・なんて一喜一憂しながら露天の湯船に浸かっていると・・・


あれ、海の上に何か見えるぞ?


相模灘の洋上に大きくて綺麗な虹がかかっているではありませんか。
露天風呂に入りながら、海原と虹を両方目にできるんですから、こんな幸せなことはありません。この時の私は虹を眺めながら、こんな好機を得られた自分のささやかな幸運を祝ったのですが、まさかその数か月後に眼下の国道や海岸線を東進した先にある伊豆山地区で土石流災害による大惨事が発生するとは予想だにできませんでした。もし今後この露天風呂で同様の虹を見ることがありましたら、伊豆山の早期復興を祈っていただきたく存じます。

熱海129号泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 63.6℃ pH7.31 成分総計23.14g/kg
Na+:4694mg, Mg++:417.5mg, Ca++:3128mg,
Cl-:13090mg, Br-:12.8mg, I-:1.3mg, SO4–:1426mg, HCO3-:66.2mg,
H2SiO3:50.6mg, CO2:31.6mg,
(平成26年8月8日)
内湯:加水・加温・循環ろ過・消毒あり。
露天:加水・消毒あり。加温・循環ろ過なし。

静岡県熱海市春日町7-39
0557-85-2000
ホームページ

日帰り入浴11:00~20:00
1600円
(公式サイトにあるクーポン提示で平日は1200円。国家公務員共済組合員も組合員証提示で1200円)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

コメント

  1. ぬる湯マスター より:

    Unknown
    こんばんわ^^。
    私もアラフィフの年代に突入し、加齢臭が激増し、
    もはやハイカラな熱海から追放されそうになっております(><)
    下品な下ネタは慎みますので、どうか熱海に滞在させて欲しいものです・・・。
    最近は私も湯河原に行ったり、修善寺に行ったりして、
    改めて温泉という文化の素晴らしさを再認識しております。
    ここ熱海も、時代と共にスタイルが変わりつつある物の、
    やはり関東圏の人間にとっては思いで深い地であります。
    近隣のハートピア熱海には何度かお世話になっている事もあり、
    一時は営業を停止し、避難所として活躍していると聞きました。
    先日、ダイレクトメールが届いた事もあり、また再訪を考えています^^。
    前の日には、風呂で身体を清めまくり、加齢臭を伴わないように気を付けたいですね。

  2. K-I より:

    Unknown
    ぬる湯マスターさん、こんにちは。
    最近返信が遅く大変申し訳ございません。自分のブログを省みる余裕も無く、毎日齷齪しており、情けない限りです。
    熱海は綺麗な施設も増えましたが、一人客でも受け入れてくれるような宿も多く、以前と比べて裾野がかなり広がった印象を受けます。選択肢が大きくなることは有難いですね。多様化万歳です。

タイトルとURLをコピーしました