(2025年8月訪問)
長野県塩尻市の南部にはみどり湖と田川浦溜め池という2つの灌漑用貯水池がありますが、その付近に渋い佇まいの鉱泉宿があり、日帰り入浴も可能なので、訪問してみることにしました。上画像は田川浦溜め池です。ヘラブナ釣りで有名らしく、訪問時は数名の太公望たちが釣り糸を垂れていました。目指す施設はこの池の向こう側に建っています。画像にも写っていますね。
こちらが今回訪ねる田川浦温泉旅館です。建物はかなり草臥れており、この様子を見た瞬間は「休業しているのではないか」と不安を覚えたのですが、建物付近に車が停まっていたため、中に人はいるのだろうと判断して玄関で声を掛けたら、入浴可能であるとお答えいただき、湯銭をお支払いして中へお邪魔することとなりました。
昭和30~40年代から時計の針が止まっているかのような、レトロ且つ静かな館内を進んで・・・
男女別の浴室へ。更衣室は至ってシンプルですが、建物のメンテナンスは大丈夫なのかと不安になってしまう箇所もいくつか。老朽化が相当進んでいるようです。
浴室には毛色の違う浴槽が二つ。
洗い場には混合水栓が6つ並び、うち2つにはシャワーが付いています。水栓からはちゃんとお湯が出ますよ。
タイル張りの大きな主浴槽には加温ろ過循環された鉱泉が張られており、僅かな錆味が含まれるものの、大まかに表現すればごく普通のお湯といったところなのですが・・・
焼け爛れたような色がこびりついている琺瑯製の小さな浴槽には、青いホースから加温循環ろ過が行われていないそのままの状態の冷鉱泉(源泉)がチョロチョロと注がれ掛け流されています。大人ひとりがようやく入れるような、とても小さな浴槽へ実際に入ってみますと・・・
全身が非加温鉱泉の冷たい感覚で包まれると同時に、浴槽内にはオレンジ色の沈殿が一気に舞い上がりました。温泉マニアは狂喜する瞬間ですが、湯の花や沈殿などに理解の無い一般のお客さんにとっては、かなり不気味なものとして捉えられてしまうでしょう。かく言う私も立派なマニアの一人だと自認していますが、正直なところ、この浴槽へ浸かるのは躊躇われました。
青いホースから注がれる僅かな量の鉱泉をテイスティングしてみますと、弱い炭酸味・赤錆味が感じられました。私は日帰り入浴ですから一度きりしか入っていませんが、この鉱泉を何度も入ることで、痔疾に効能があるんだそうですよ。
玄関近くの築山には冷鉱泉が湧出する源泉があります。ここから鉱泉をお風呂へ引いているのかしら。なお、館内に掲示されている分析表は昭和44年のもので、そこには泉質名として「単純泉」と記載されていますが、当時のデータを現行の温泉法にあてはめると、泉質名は無し(いわゆる規定泉)になるかと思います。ただ、昭和44年と現在とでは成分も相当異なっているかと想像されますから、改めて分析してほしいところですが、分析には数万円かかっちゃうんですよね…。
決して一般受けしないお宿&お風呂かと思いますが、渋い佇まいに惹かれる方だったら、間違いなくストライクゾーンに入って心のキャッチャーミットがビシッといい音を立てて捕球してくれるに違いありません。
単純泉(※) 18.9℃ pH6.2 蒸発残留物660mg/kg 溶存物質847.9mg/kg
Na+:130.6mg(51.40mval%), Ca++:41.43mg(18.71mval%), Mg++:32.10mg(23.89mval%), Fe++:5.48mg,
Cl-:48.66mg(12.78mval%), HCO3-:570.6mg(87.10mval%),
H2SiO3:53.52mg, CO2:409.1mg,
(昭和44年1月25日)
(※)掲示されている名称のまま転記しています。委細は当記事の本文をご覧ください。
長野県塩尻市金井672
0263-56-2567
日帰り入浴14:00~18:00
600円
私の好み:★+0.5

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