大分県別府の鉄輪温泉といえば別府八湯の一つに数えられる古くからの温泉街で、湯治場風情を残す町並みの至る所から湯煙が立ち上っています。鉄輪には多くの外湯がありますが、今回紹介する「渋の湯」は当地のメインストリートというべき「いで湯坂」の途中にあり、また温泉街の中央に位置しているために、いつも多くのお客さんで賑わっています。
男女の入口の間に据えられたお地蔵さんに手を合わせてから中に入ると、内部の構造は至ってシンプルで、三和土・脱衣所・浴室が仕切られることなくほぼ一体の空間となっています。入口脇の掲示板に「渋の湯温泉は、組合員入浴の浴場です」と書かれているように、この浴場は組合員が入ることを前提として設けられていますので、一般客はその点をわきまえた上で料金を支払って利用することになるのですが、当浴場は無人につき、一般客用は脱衣所に設置された有料ロッカー(100円)を利用し、この支払いによって料金代わりとしています。
浴室には長方形の浴槽がひとつ。湯口に設けられた竹製の冷却装置によって冷まされたお湯が掛け流しで注がれています。竹の枝に熱湯を這わせてお湯を冷ます方法は、付近にある「ひょうたん温泉」等でも取り入れている当地ならではの方法で、加水を極力少なくしたいという姿勢の表れだと思われますが、それでも源泉が非常に熱いために加水されているようです。確かに浴槽のお湯は熱く、特に湯口付近で顕著ですから、熱いお湯が苦手な方は湯口から離れて入ると良いでしょう。
お湯は無色透明無臭で、ほぼ無味かと思いきやよく味わってみると、遅れてごく薄い塩味、そして微かな明礬のような味が感じられました。
組合員用の浴場とはいえ、観光客も多く利用するので、鉄輪の外湯の中では一般客にとっても利用しやすいお風呂だと思います。鉄輪のお湯を象徴するようなこの「渋の湯」。別府を湯巡りするなら外せない一湯です。
ナトリウム-塩化物泉
87.1℃ pH不明 成分総量4402mg
JR日豊本線・別府駅から亀の井バスで25~30分、鉄輪下車、徒歩2~3分
(所要時間はバスの運行系統によって異なります)
大分県別府市鉄輪風呂本1組 地図
亀の井バス ホームページ
6:30~21:00
100円
私の好み:★★
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