ニセコ町と蘭越町に跨って形成されているニセコ昆布温泉郷の中でも、最も古い歴史を持つ鯉川温泉旅館は明治32年に開湯されたそうで、北海道の温泉にしては珍しく湯治場風情が漂っています。ゆっくり雪見風呂したくて宿泊で利用しました。
温泉街に点在する宿の一つですが、表通りから林の中の私道を入った奥に立地しているので、一軒宿のような雰囲気。
池の脇を通って玄関へ。客室は池畔に面しています。
雪を避けるべく「日本秘湯を守るの会」の提灯は玄関扉の内側で提げられていました。金曜に泊まったのですが、平日なら私のような一人客でもOKみたいです(土日は不明)。
古い学校を彷彿とさせる館内です。廊下を歩いて建物の北側にある浴室へ。脱衣所前の休憩所に置かれた長椅子はビニールレザー張りで、昭和の病院の待合室みたい。古いマッサージチェアーもいい味出してます。
男性用内湯。壁にはタイルで描かれたボタンの大きな絵が、湯浴み客を見下ろしています。浴槽は2分割され、湯口に近いほうが底が深く、温度も高め。洗い場は金気で薄っすら黄土色に染まっており、浴槽の縁も析出でコーティングされています。源泉がそのまま浴槽に投入され、ふんだんに溢れ出ています(内湯は加水加温消毒循環なし)。
露天風呂。お風呂の向こうでは、沢が渓流瀑になってなめらかに岩の上を滑り落ちています。滝見風呂であり、雪見風呂でもあるという、とっても贅沢な環境。日が暮れて夜の帳が下りると、満天の星空が天空に広がり、滝の落ちる音だけが響く中、星空のきらめきを目にしながら雪見風呂を楽しめました。夢のようなひととき。
お湯は黄土色に弱く濁り、浴槽の縁には溶けている成分が濃いんだなと思わせる析出がしっかり付着しています。湯口に置かれたコップでお湯を飲んでみると、弱塩味と出汁味に金気が混ざる味。金気の匂いにゴムのようなに匂いが一緒になって漂っています。キシキシ感と重層的なスベスベ感が混在する浴感。熱いお湯が外気で冷却され、ちょうどいい湯加減でした(露天は若干加水されているようですが)。
あまりに良いお風呂だったので、一晩で3回も露天風呂に入ってしまいました。
食事はお部屋出しなので、気兼ねなくいただけました。一番リーズナブルなプランだったのですが、安いのにこんなに食べていいのかと不安になるほど多種の献立で手がこんでおり、十分にお腹を満たすことができました。コストパフォーマンスも良好。
部屋に用意されているポットには冷たい湧水が入れられており、湯あがりにこれを飲むと矢鱈に美味い。
古い宿なのでラグジュアリー感を期待してはいけませんが、コストパフォーマンスが良くお風呂も素晴らしいので、昔ながらの温泉宿の雰囲気が好きな方なら堪らないでしょうね。そっけない接客が多い北海道にしては、対応も親切で好印象。いままで何軒も温泉旅館に泊まっていますが、その中でも記憶にはっきりと残る宿とお風呂でした。
ニセコ昆布温泉・新泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 65.8℃ pH6.5 185L/min(動力揚湯) 溶存物質3.310g/kg 成分総計3.692g/kg
北海道磯谷郡蘭越町字湯里592 地図
0136-58-2111
ホームページ
日帰り入浴10:00~21:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
コメント
Unknown
先月立ち寄りで伺いましたけど、この宿めちゃめちゃ良かったですわ
一度泊まってみたいです
良いですよね
sinn/203JUBさん、こんばんは。鯉川温泉旅館、とっても良いですよね。私も以前立ち寄り入浴したことがあるのですが、その時の印象が忘れられずに宿泊しました。本州の老舗温泉旅館にも負けない接客と、北海道らしいコストパフォーマンスの良さ、そして絶景の雪見風呂は今でも素晴らしい想い出として強く脳にメモライズされています。あぁ、また行きたくなっちゃいました。ニセコは素晴らしい温泉が多くて、湯巡りしているととても楽しいですね。