音次郎温泉 (リニューアル後)

青森県

昨年閉業した五所川原市の音次郎温泉が今年(2011年)8月に復活を遂げていたので、リニューアル後の姿がどうなっているのか、実際に行ってみることにしました。まずはリニューアル前の旧施設の画像を簡単にご紹介。

●旧施設(現在は取り壊されています)
 
玄関に鎮座していた観音像が印象的だった旧施設。表の「イー温泉です」と書かれた黄色い看板も目を惹きましたっけ。玄関に向かって左側が旅館、右側が浴場となっていました。



(↑画像クリックで拡大)
玄関脇には温泉の由緒書きが。先代の故石塚音次郎氏が昭和の末期のある晩、夢の中で観音様から「ここを掘るとお湯が湧く」と告げられたので、その通りに掘削したら温泉を掘り当て、平成元年7月に音次郎温泉をオープンさせたんだそうです。かなり古そうに見えた旧施設は、なんと平成になってからの建物だったんですね。

 
過去のフォルダを漁ってみたのですが、お風呂に関する画像はこの2枚以外にほとんどありませんでしたので、あしからず。浴場は青森県の典型的な公衆浴場のつくりで、浴槽はジャグジー有りと無しの二つに分かれており、ジャグジー有りは若干加水されて入浴できる湯加減だったのですが、ジャグジー無しの方は源泉が加水されずに投入されていたのか、えらく熱くて入れなかった記憶があります。脱衣所側には湯口らしき突起がありましたが、そこからはお湯が出ず、反対側の湯面下から源泉が供給されていました。
お湯は薄い黄色透明で、塩味を帯び、薄らとアブラ臭というか臭素臭が漂っていました。スベスベとした気持ち良い浴感なのですが、ただでさえ熱いお湯なのに、保温発汗効果の強い食塩泉という泉質ゆえに、余計に体が火照ってしまい、脱衣所では湯上りのお客さんがグッタリとしていたのが印象的でした。

●リニューアル後
 
場所は旧来と同じですが、様相はすっかり変わっていました。まず、かつて旅館があったスペースは取り壊されて床屋さんと駐車場になり、本棟はからし色の建物に建て替えられ、玄関の位置が建物の最も道路側へ移動するなど、以前の面影は全くありません。玄関上にはかわいらしいイラストが描かれており、年寄だけじゃなく若年層もおいで、と呼びかけているかのようです。

 
館内も、以前のいかにも公衆浴場という雰囲気を一新し、観音様も姿を消し、すっかりソフィスティケイテッドな内装で統一されていました。とはいえ自販機が沢山あったり、休憩スペースの腰掛で爺様婆様が寛いでいる光景は、以前のままだったりします。また無駄に広く、内装の白基調がちょっと強すぎるため、やや寒々しい印象も。


玄関から一番奥に位置する浴室へ。脱衣所内には籠がずらりと並んでいました。ロッカーの数は少なめ。

 
浴室内にはシャワー付き混合栓が25基、浴槽は2つあり、オロナミンCのような濃いめの黄色透明、塩味と臭素臭のようなアブラ臭を有するツルツル浴感のお湯が張られています。主浴槽は一般的なお風呂に比べるとやや熱めの湯加減。槽内側面より加水された源泉が投入され、しずかにオーバーフローしています。


一方その隣の小浴槽は3~4人サイズで、「熱湯」のプレートが貼られているようにかなり熱めの44~45℃設定。加水量が少ないためか、主浴槽よりもこちらの方がお湯が濃く、オープンしてまだ2か月余りしか経っていないのに、浴槽内やオーバーフロー流路は成分により褐色に染まっていました。


カランから出てくるお湯は源泉使用。桶に溜めるとこんな感じです。


主浴槽に浸かりながら上方を見上げると、天井の明かり採りへ立ち上がる側壁には大きな壁絵が描かれていました。これはけだし桜満開の芦野公園を走る津軽鉄道「走れメロス号」でしょう。


浴室内にはサウナもあるのですが、特筆すべきはそれに付帯している水風呂でして、ここで利用されている専用の井戸水は麦茶のような色を帯びており、その色から想像できるようにモール泉的な知覚を有しているのです。サウナに入らずとも、温泉で十分に火照りますから、その際にはこのモール的な水風呂でクールダウンすると、温度差のみならず浴感も素晴らしいので、とっても爽快です。

 
露天風呂と称するお風呂もあるのですが、そこは一応開閉可能なサッシによって開放的な空間にできるもの、完全に屋内に収容されていました。もちろん冬の地吹雪対策なのでしょう。夏などはサッシを開けて半露天のような状態にし、冬は完全に締め切って利用するものと思われます。

 
その「露天」風呂の浴槽はコンクリ造りの10人サイズで、縁だけタイル貼りです。当然ながらこちらのお風呂も温泉です。面白いのは壁にテレビが埋め込まれている点。サウナ内のテレビならよく見かけますが、お風呂のテレビは珍しいですね。

西北温泉・クアハウス一ツ谷温泉など、五所川原中心部の温泉は次々に廃業していましたから、音次郎温泉も一時閉鎖されたときには「ここも陥落したか」と落胆したものですが、無事に復活を遂げたことは非常に喜ばしいことです。以前のような風情は消え、いかにも今風な建物に生まれ変わったため、温泉マニアには好みが分かれるかもしれませんが、地元相手の商売は一見さんより常連客あってこそですから、リニューアルによってより多くのお客さんが来店してくれるといいですね。

藤巻温泉
ナトリウム-塩化物温泉 50.1℃ pH7.9 湧出量測定不可(掘削動力揚湯) 溶存物質7.127g/kg 成分総計7.138g/kg
Na:2556mg(95.78mval%), Cl:3718mg(92.41mval%), HCO3:470.5mg(6.78mval%),
源泉温度が高いので地下水で加水

JR五能線および津軽鉄道・五所川原駅より徒歩15~20分(約1.6km)
青森県五所川原市大字石岡字藤巻56-1  地図
0173-35-2611

5:00~22:00
300円
ロッカー(100円リターン式)・有料ドライヤー(10円/3分)あり、石鹸などは販売

私の好み:★★★

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