塩浸温泉龍馬公園

鹿児島県

今回の記事文中には著者の偏屈な思考に起因する偏向した歴史観が一部に見られますが、あくまで冗談ですので、本気にして怒らないでくださいね。笑って許して(^o^)。

新川渓谷温泉郷を形成する温泉地の一つ塩浸温泉は現在宿泊施設がなく、日帰り入浴施設のみとなっています。2~3年前までは公共入浴施設の「福祉の里」と共同浴場「鶴の湯」が並んでいましたが、老朽化に伴い取り壊された後、龍馬ブームに乗っかって敷地内に2010年オープンした「龍馬公園」内に新たな浴場が設けられることとなりました。当地をはじめとする旧牧園町一帯は坂本龍馬とお龍が新婚旅行で訪れた土地なんだそうでして、前回取り上げた「犬飼の滝」などをはじめとして地元観光関係者は坂本龍馬人気にあやかろうと懸命のアピールを繰り広げています。


川の向こうにお目当ての浴場を発見。かつて「鶴の湯」があった位置に新たな平屋の湯屋が建てられたようです。


ちなみに擁壁下の川面に近いところにある小さな露天浴槽は、龍馬夫婦が新婚旅行で湯あみしたとされるものなんだそうです…。

川の手前の国道沿いにある駐車場には交通整理のおじさんがいましたが、彼の視界から国道を走行している車が消えない限り進めの誘導をしてくれず、これは安全を考えれば間違ったことではなく、またお年寄りを相手にするなら良いのでしょうが、余裕で出られるタイミングでも彼が車の前に立ちはだかって出させてくれないので、普段から都内で運転している私にとっては、まどろっこしくてイライラしてしまいました。なんでこんなにイライラしているのかは後述しますね。あまりにくだらないイチャモンにすぎないのですが…。


公園側へ渡る橋の袂には入場者を計測するためのカウンターが置かれていて、各自で1回押してくださいと書かれていました。なんで自分で押さなきゃいけないんだ…イライラ。

 
塩浸温泉公園の看板には「龍馬とお龍の日本初の新婚の湯」といまいちよく意味が分からないコピーが振ってあったり、公園内で張っているテントの下で売られているお茶には「龍馬も飲んだ霧島茶」と眉唾ものの説明が書かれていたりと、なんでもかんでも龍馬とお龍に結びつけようとしていることにイライラ。
この牽強付会ぶりにはむしろ滑稽で微笑ましく思えるほどでしたが、もし当の本人が生きていたら、眉をひそめるかもしれませんね。そして今まで持ち上げられていた西郷南洲は臍を曲げちゃうこと間違いなし。


公園事務所で入浴料金を支払うと、窓口の向こうのおじちゃんはお釣りを間違え、これを指摘すると「朝だからねぇ」と意味不明な言い訳をして、つり銭と一緒に大量の観光リーフレットがこちらへ手渡されました。気持ちはありがたいのですが、これから服を脱いでお風呂入るのに、サイズがバラバラのチラシ類はちょっと邪魔だなぁ…。

 
「縁結びの足湯」というネーミングにも「足湯自体には歴史も無ぇくせに縁結びを名乗るな。わけわかんねぇ」とイライラ。ちなみに湯口では温泉タマゴが作れるようですが、自分で作るのではなく、あくまで施設の人が作ったものを購入するだけみたいです。


公園の最も川上側に屹立する龍馬夫婦の立像。像の付近ではタクシーの運ちゃんに案内された老夫婦の姿が目立ちました。ここまで龍馬でプッシュする公園ですから、ここを訪れる観光客の多くは龍馬のロマンに陶酔する幕末歴史ファンなのでしょうけど、会津と仙台の血が流れる生粋の東日本人たる私は薩長土肥に対する燠のようなささやかな反抗心が心の奥底でくすぶっているので、遠くから眺めるだけにとどめておきました。

私はここへ立ち寄った目的は、龍馬ではなく温泉なのであります。さっきからイライラしているのは、この公園が龍馬でガンガン押していることに、奥羽越列藩同盟贔屓の私の薩長土肥に対する怨嗟の念がメラメラ燃え出して「オイラは龍馬になんかにゃ興味ねぇ」と叫びたい一心になっちゃったのが原因なのかもしれません。更には流行のものやマジョリティーに対して無条件に牙を剥こうとする私の反骨精神が反応しちゃっているにも大きいかと思います。
いやはや、くだらないですね。普段から鹿児島県の人にお世話になっているくせに、当地まで来て私は何を言っているんだか。これだからいつまで経っても負け犬なんだよ…。

 
さて赤手空拳の私を自嘲したところで、お風呂へ向かいましょう。お湯で戊辰の恨みつらみは綺麗さっぱり流そうではありませんか。お風呂は男湯が「龍馬の湯」、女湯が「お龍の湯」と名付けられていますが、かといって室内はそれに応じたような装飾があるわけでなく、ただ単にご夫婦の名前を冠しただけの話です。


さすがにまだ開業して1年ほどの新しい施設だけあって、館内は綺麗です。が、あまりに実用本位すぎてちょっと無味乾燥かも…。

 
浴室は結構広く、訪問時は私一人だったので、スペースを思いっきり持て余してしまいました。室内には浴槽が2つ、掛け湯用の槽がひとつ、洗い場のシャワー付き混合栓は8基設けられています。ボディーソープ類はないので持参しましょう。洗い場に用意されている腰掛や桶は、プラスティック材のものと木材のものが交互に並べられていました。どうして統一しなかったのかしら…。


浴室の脱衣所側に設けられているのが掛け湯槽。オープンしてまだ1年半しか経っていないのに、もうこんなに析出や着色がコテコテです。しかもそれは床のタイルにも及んでおり、創業してから20~30年は経っていそうな貫禄が早くも伝わってきます。すげぇな…。

 
主浴槽は8~10人サイズで「塩浸温泉」源泉が注がれて、浴槽縁の切欠からしっかりオーバーフローしています。岩に白い塩のようなものが付着するのでこの名前で呼ばれるようになったんだそうですが、ざっくり言えばこの地域でよくみられる重炭酸土類泉的な黄土色濁りのお湯です。濁り方は近隣の他の温泉よりも強くて底が見えず、槽内など全体が析出によりベージュ色に染まっていました。やや熱めの湯加減で、湯口ではかなり熱いです。石灰味+金気味+微塩味、金気臭+石灰臭そして微かなタマゴ的な匂いが感じられました。

 
もうひとつ1~2人サイズの小さい浴槽は「鶴の湯」源泉。脚に弾を受けて負傷した鶴が傷を癒したことが名前の由来なんだそうですが、主浴槽のお湯と似て非なる個性を有しており、このお湯が非常に素晴らしい!
主浴槽同様にしっかりとした掛け流しで、見た目は黄褐色を帯びた笹濁り、主浴槽とは異なり底まで透けて見え、金気が多いのか浴槽を含め全体的に深紅に染まっています。金気臭、そして金気味と炭酸味がはっきりがはっきり感じられ、味覚臭覚面が明瞭であるばかりでなく、湯船の温度は長湯に適したややぬるめの湯加減でして、重炭酸土類泉的なお湯にありがちな体にまとわりつくような浴感ではなく、フワっとやさしく体を包み込むような感じなのです。あまりに気持ち良い浴感のために後をひいてしまって、私はなかなかこの「鶴の湯」から出ることができませんでした。

両方の浴槽とも塩素消毒が行われているようですが、あまり気になりませんでした。
お風呂自体は歴史を感じさせるような構造ではなく、寧ろ実用本位のいまいち面白みに欠ける造りですが、お湯はさすがにホンモノで、特に「鶴の湯」はとっても印象に残る優しい浴感のお湯でした。
龍馬さん、いままで侮っていてごめんなさい。

塩浸1号
ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-炭酸水素塩温泉 44.5℃ pH6.3 溶存物質1921mg/kg 成分総計2540mg/kg
Na:195mg(37.57mval%), Mg:87.4mg(31.86mval%), Ca:114.0mg(25.21mval%), Cl:149.0mg(18.89mval%), HCO3:990.2mg(73.01mval%), 遊離CO2:619.1mg

塩浸9号
ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-炭酸水素塩温泉 51.5℃ pH6.4 溶存物質2042mg/kg 成分総計2543mg/kg
Na:208.0mg(37.80mval%), Mg:89.2mg(30.66mval%), Ca:122.0mg(25.44mval%), Cl:165.0mg(19.76mval%), HCO3:1050mg(73.14mval%), 遊離CO2:501.1mg

両方とも塩素消毒あり

鹿児島県霧島市牧園町宿窪田3606  地図
0995-76-0007
霧島市の紹介ページ

9:00~18:00(受付17:30まで)
360円
ロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★★

コメント

  1. 裏ぱと より:

    Unknown
    霧島温泉シリーズ指を咥えて拝見させて頂いてます!!伺いたい温泉は、こんなにも遠いのかと...!今年もあと数日ですね、年末年始は温泉かな?自分は大晦日も元旦も関係無く働きますが(汗)今年は色々と勉強させて頂きありがとうございました!

  2. K-I より:

    こちらこそ
    ぱとさん
    こちらこそ本年もありがとうございました。今年も私は節操無く温泉をハシゴしてしまいました(^^)
    津々浦々巡りましたが、今年はアイスランドが最も印象的でした。また震災後の東北訪問は単に温泉を訪れるにとどまらず、支援させていただくつもりで各方面へ足繁く通いました。
    さて来年はどうなることやら…。良いお年をお迎えください。

  3. しーさん より:

    Unknown
    こんにちは。
    私も一昨年、ここに訪れましたが二つの温泉施設とも休業中で残念な思いをしました。
    写真を拝見すると、その時とはずいぶんと雰囲気が違います。とってもにぎやかというべきか・・・・
    龍馬とお龍が入ったと言われている露天風呂も当時は草ボウボウでしたが、すっかりきれいになっているようですし、なんだか・・・・

    正直、あの鄙びた雰囲気が好きだったんですけどね。

    でもK-Iさん気に入りの「鶴の湯」にはぜひ入ってみたいと思います。新燃岳の噴火が終息して韓国岳に登れるようになったら、霧島には訪れるつもりです。

  4. K-I より:

    Unknown
    しーさんさん
    >二つの温泉施設とも休業中
    それは残念でした。でも今はすっかり観光地化されていて昭和っぽい鄙びた雰囲気はありませんから、そういった意味での面白さは得られないかもしれませんが、お湯はとっても良いものでした。
    霧島にはいつ登れるようになるんでしょう…。新燃岳のマグマ蓄積は去年の噴火時に近付いており、来年には再噴火が予想されてますから、心配ですね。

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