旭岳の紅葉と中岳温泉を巡る登山 その2・草紅葉と温泉を楽しむ (2012年9月末)

北海道

その1の続きです。

 
旭岳から東へ向かう下りは非常に滑りやすい砂礫の斜面で、全行程の中でここが最も面倒だった。転倒しないよう慎重に下ってゆく。途中からえぐれている箇所があったので、そこに入り込んだら体がとても安定した。このえぐれている箇所に内部に登山道の目印があったので、この道を通って間違いないはず。


砂礫の斜面を下りきると裏旭キャンプ指定地。といってもテントを張っている人は一人もいない。荒野の中に一本の道筋がのびているだけで、それ以外の人工物が一切目に入ってこない雄大な風景。そんな中を一人で歩いていると孤高な人間になったような気になる。

 
 
裏旭キャンプ指定地から間宮岳にかけての一帯は高山植物の宝庫。ここでもチングルマが目立つ。

 
【9:40 間宮岳分岐】
ここで北海岳方面と中岳方面が岐かれており、私は中岳方面へ進む。道は直線状。北海道は自動車の道も真っ直ぐならば、登山道まで真っ直ぐなのか。

 
右手を見下ろすと名前のとおりに鉢のようなカルデラ「御鉢平」が広がっており、その一番底には有毒温泉の白いお湯が流れを形成していた。硫化水素中毒となる危険性が高いために立ち入り禁止であるが、ガスマスクを装着してでもいいから、一度は入ってみたいなぁ…。でも命は惜しいし…。


【9:50 間宮岳 2185m】
テーブル状の真っ平らな場所に突如として現れる「間宮岳」の標。本当にここがピークなのだろうか。


中岳方向へ伸びる道を下る。コースがはっきりしていて歩き易い。

 
【10:03 中岳分岐】
まっすぐ進むと中岳への登りとなるが、私は中岳温泉に入りたいので、ここを左折して裾合平方面へ。

 
中岳分岐からのパノラマは素晴らしく、しばし足を止めて景色を眺める。

 
ハイマツ林を抜けるとやがて左手に切り立った岩の断崖が見えてくる。登山道はその谷へ向かってZ字の坂を下りてゆく。谷底には沢が流れているが、登山道が谷底へ下りきって沢を跨ぐあたりに白いお湯を湛えた湯溜まりがある。


【10:30/12:30 中岳温泉】
もちろんその湯溜まりこそ、今回の登山の第一目的である「中岳温泉」だ。登山道脇の岩の下から、辺りに硫化水素臭を漂わせながら約55℃のお湯が自噴しており、そこからいくつかの湯溜まりへと流れてゆくのであるが、お湯と沢の水少々がブレンドされて湯溜まりへ導かれることによって絶妙な湯加減となっていた。また当初は一番大きな湯溜まりでも砂がたまって浅くなっていたが、近くに常備されているスコップで掘ることによって、湯船としての深さもちょう良くなった。
あまりに気持ちよいので、弁当を食ったりお湯にのんびり浸かっていたら、なんと2時間も居続けてしまった。
※中岳温泉については次回記事で詳しく記述します。

 
 
湯上りはそのまま登山道を下って裾合平を歩く。まだこの日は冷え込みが足らずに紅葉の色づきが弱かったが、それでも大自然の雄大な景色に包まれて、非常に爽快な山歩きが楽しめた。お湯を楽しめ、景色も佳く、天候にも恵まれ、小太りのな私の足取りはとても軽やか。

 
途中何ヶ所か沢を渡る。橋は無いが、誰でも軽々と越せる程度。

 
爽快な木道を歩く。周囲はチングルマの大群生が広がる。

 
紅色に染まったチングルマの大群生。券雲が流れる天高い秋の青空、山の緑、そしてチングルマの紅というトリコロール。爽快この上ない。

 
【13:00 裾合平 1690m】
あまりに清々しい景色と陽気に恵まれ、まるで背中に羽根が生えたかのように軽やかに歩いていたら、いつのまにやら裾合平まで来てしまった。ここからは山裾のアップダウンの少ない道を進んで姿見へ戻るだけ。
長袖でもやや暑くなってきたので、ここからはTシャツ一枚になる。秋の北海道の高地でTシャツ一枚になっているバカは私一人ぐらいだろう。例年なら初雪が降っているはずの大雪山だが、今年はまだ初雪を観測していないどころか、気温がかなり高いまま9月末まで来てしまったようだ。

 
チングルマだけが高山植物ではないのだといわんばかりに、道端ではシラタマノキが可愛らしい果実を実らせていた。


陽光を煌めかせる池の向こうに姿見駅が見えてきたぞ。


【14:15 姿見駅】
途中、中岳温泉で2時間も休んだものの、7時間半で姿見駅へ戻ってきてしまった。ちょっと歩くペースが早すぎたかな。今回動物に全く出会えなかったのは、早歩きのために見逃しちゃった可能性が高いかも。
スタート時には人影がほとんど見られなかった姿見周辺だが、さすがにこの時間帯になると団体を中心にして多くの観光客でにぎわっていた。

私が訪れた日はまだ色づきが薄くて紅葉を楽しむには少々早かったようですが、おそらく今週は最高の色づきとなっているかと思われます。雄大な景色とさわやかな秋の陽気、そしてすばらしい温泉が楽しめたお気軽な山行でした。

コメント

  1. しーさん より:

    Unknown
    チンクルマが踊ってますね(^.^)
    この時期の北海道って行ったことがないんです。素晴らしいです。

    何だか内地の山岳地帯を凝縮したような場所ですね。行ってみたいですけど遠い・・・・(泣)

    こんな景色の中での中岳温泉滞在二時間。きっと時間の感覚がマヒしてしまうのでしょうね。しかも硫化水素系なんて私のツボにしっかりとハマります。いずれは旭岳にも登りますので、カミサンをそそのかして入浴したいと思います(*^^)v

  2. K-I より:

    Unknown
    しーさんさん、こんにちは。
    今回のコースは旭岳山頂の前後が少々キツいだけで、それ以外はとても爽快で軽やかに歩ける、登山とハイキングの中間ぐらいの比較的やさしい山行でした(悪天候時には遭難も発生していますから油断できませんが)。あまり険しくなくとも雄大な景色が楽しめるのは、北海道の自然の懐の深さゆえなんだと思います。
    温泉に関しては本当に時間感覚が麻痺していました(^^)

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