すもも沢温泉郷

青森県


今日取り上げるのは青森県上北地方のナウなアダルトにバカウケなニュースポット「すもも沢温泉郷」です。県道8号を北から南へ走っていると、乙供の台地から小川原湖畔の低地へ下る坂を下りきってすぐのところの電柱に、このような小さな看板が掲示されていました。

 
看板から畦道のような路地を入ってゆくと、道の左側にはこのようなビニルハウスが立ち並んでいました。おそらく温泉熱を利用した栽培を行っているハウスかと思われます。

 
ビニルハウスの他、温泉を活用したすっぽん養殖も行われているそうです。通常出荷までに3年要するところ、温泉で養殖すれば冬眠しないので1年で出荷でき、しかも掛け流しの温泉であるため皮膚病の心配も少ないんだとか。2011年7月に養殖場を建てたばかりで、本格出荷はこれからのようですが「若者発あおもりベンチャー大賞」にも選ばれた県期待の新星なんだそうです。どんな様子か見学してみたいものですが、飼育上の理由および企業秘密のため立入禁止とのこと。

 
さてこちらが人間様の入浴施設です。小川原湖から広がる真っ平らな田園地帯が果てて乙供側の段丘にぶつかる崖の下に位置しています。平屋の簡素な小屋で、初見時は仮設施設なのかと思っちゃいました。玄関には温泉名を記した扁額が掛かっていますが、ここにも「郷」の字が書かれていますね。温泉郷という語句は、いくつか点在している温泉地あるいは温泉施設を総称する際に用いられる複数形の言葉かとばかり思ってましたが、こちらの「すもも沢温泉郷」には平屋建ての小さな湯小屋がポツンとひとつあるだけで、他に温泉施設はありません。いや、温泉熱利用のビニルハウスやすっぽん養殖場を含めたら「郷」という言葉が相応しくなるのかもしれません。 

 
玄関入ってすぐ正面にコンパクトな受付があり、愛想の良いおばちゃんが対応していました。受付前の小上がりは座敷となっており、テレビを見ながら休憩することもできます。受付の左側が女湯、右側が男湯です。


脱衣室はかなりこじんまりしていますが、公衆浴場とは思えない清潔感が漲っており、田の字状の棚にはひとつひとつに籠が収められています。洗面台は仮設住宅やワンルームアパートによく使われるユニットタイプが1台据え付けられており、無料で使えるドライヤーも用意されています。

 
浴室も仮設施設のようなプリミティブな造りとなっており、マニア受けすること必至な雰囲気です。床はコンクリ打ちっぱなし、浴槽は2人サイズのポリバスが2つ、カランへの給水・給湯配管もむき出しのまま水栓へ接続されています。

 
洗い場は入口をはさんで2ヶ所に分かれており、計7基のシャワー付き混合水栓が設置されています。お湯のコックを捻ると源泉が出てきました。

 
2つのポリバスにはそれぞれ塩ビのパイプから源泉が注がれており、浴槽の容量に対して投入量が多いため、絶え間なく浴槽からザブザブとお湯がオーバーフローして洗い場の床を洗っています。惜しみなく豪快に溢れ出てゆくお湯を見るだけでも興奮してしまいます。お湯は麦茶色透明、モール臭と鉱物油に似たようなガス臭および弱い新鮮金気臭が嗅ぎ取れ、重曹の清涼苦味と弱金気味が感じられました。


湯面には白い気泡が膜を形成して浮遊しているのですが、吐湯口は湯面下ですから、吐出時に湯面を叩きつけるような勢いで泡立っているわけではなく、お湯自体が有している気泡が浮かび上がっているものと思われます。また底には源泉とともに汲み上げられた沈殿も溜まっていました。下手な小細工をせずに、ポンプで汲み上げたお湯をそのまま湯船へ注いでいる証拠ですね。
実際に入浴してみると、わずか20秒で全身が泡だらけになり、拭っても拭っても、泡は次々に付着してきます。この激しい泡つきは青森県の温泉でも屈指のレベルを誇るのではないでしょうか。温度としては加水せずともちょうど良い湯加減であり、いかにもモール系のお湯らしいツルスベ浴感が楽しめ、湯上りもさっぱり爽快でした。

モール系の爽快な泡付き湯が豪快オーバーフローの完全掛け流しで、しかも料金がわずか200円なのですから、人気を博さないわけはありません。余計なものがない仮設っぽい建物も良い感じです。あまりに気持ちよいお湯だったので私は2日連続で通ってしまったのですが、両日とも浴室内には常時3人以上のお客さんが湯浴みを楽しんでおり、人気の高さがよくわかりました。この界隈は良質な温泉が犇めき合っている激戦区ですが、後発組にもかかわらず早くも人気を集めているのは、設備投資を抑えた質素な施設ながらも新しくて手入れも行き届いているため気持ちよく使えること、そして何よりも質感のすばらしいお湯を思う存分楽しめることにあるのでしょう。私の個人的な感想ですが、同地区においては姉戸川温泉と双璧をなすハイクオリティーな温泉だと思います。

アルカリ性単純温泉 42.5℃ pH8.58 563L/min(動力揚湯) 溶存物質0.388g/kg 成分総計0.388g/kg
Na+:67.5mg(86.98mval%), K+:16.0mg(12.13mval%),
Cl-:54.4mg(47.52mval%), HCO3-:57.5mg(29.19mval%), CO3–:12.0mg(12.42mval%),
H2SiO3:163.4mg, CO2:0.0mg,

青森県上北郡七戸町大字李沢字道ノ下22-1  地図

4:00~21:00 無休
200円
ドライヤーあり、他の備品類なし

私の好み:★★★

コメント

  1. シド より:

    Unknown
    出ましたね~李。
    ゆっくり入りたい(寝たい)時は姉戸、短時間でサッパリしたい時や早朝は李と使い分けてます。

    この地区だったら東龍館・李・姉戸がやっぱトップ3だと思いますね。

  2. K-I@江の島花火大会 より:

    登場させちゃいました
    シドさん、こんばんは。李沢はとってもブリリアントですね。気に入って二日連続で通ってしまいました。姉戸川と李沢の使い分け、参考になります。なるほど、温度や混雑度を考えると利にかなってますね。ちなみに明日の記事は東龍館です。

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