フカサワ温泉 2014年12月再訪

山梨県

 
前回取り上げた「ホテル昭和」で甲府盆地に湧くアワアワ湯の魅力を再認識した私は、もっとアワアワなお湯を楽しみたくなり、その翌朝に同じ昭和町にある温泉ファン御用達の「フカサワ温泉」へ向かいました。こちらの温泉は、まだ湯めぐり初心者だった頃の私が、甲州のお湯に取り憑かれるきっかけとなった有り難い存在であり、拙ブログでも5年半前に一度取り上げておりますが、私個人としては通算4~5回目の再訪です。それだけ大好きなんです。

玄関正面に置かれたクマの剥製を横目に、番台で湯銭を支払います。この日は番台の前でホウレンソウ・長ネギ・ジャガイモなどの農産物が販売されていました。

 
オフホワイトのタイルが貼られた浴室には、大きな窓ガラスから陽光がたっぷり降り注いでいました。室内には芳醇なモール臭と金気臭が漂っています。今回は開店直後の朝9時過ぎに訪問したのですが、一番風呂を狙っていた地元の常連さんが既に5~6人もいらっしゃり、4基並ぶカランは全て埋まっていました。カランから吐出されるお湯は源泉です。なお洗い場には固形の石鹸しか備え付けられていませんので、ボディーソープやシャンプーなどを使いたい方は、持参なさった方がよいでしょう。


内湯には大きさの異なる2つの浴槽があり、いずれもタイル貼りの浴槽を黒御影石で縁取っています。また、源泉のお湯が加温加水循環消毒無しの完全掛け流しで投入されている点も共通しています。後述する露天風呂へ出る通路を挟んで左右に分かれており、右側に位置している細長い形状の副浴槽は、2~3人サイズで湯加減は42~3℃。湯口のお湯を口に含んでみますと、金気味、ほろ苦味、土気のような味、微塩味といった味覚が感じられた他、いわゆるモール臭や金気臭、そして何かが焦げたような香ばしい匂いやタマゴ臭に似て非なる匂いも感じ取ることができました。

 
一方、左側の主浴槽は目測3m×4mで、7~8人サイズといったところ。隅っこの投入口から注がれるお湯には沢山の気泡が発生しており、これによって湯口付近の湯船は薄っすらと白い濁りを見せていました。湯口から吐出される時点では、主副両浴槽も同じ温度なのですが、投入量の多寡、そして湯船の表面積の違いが影響しているのか、表面積が広い主浴槽は、副浴槽よりも若干ぬるめの40~41℃にセッティングされており、入りやすい長湯仕様ゆえ、先客の常連さんたちは皆さんこの主浴槽に集まって、お喋りしながらノンビリ寛いでいらっしゃいました。こちらに限らず、山梨県では湯船をぬるめに設定している温泉浴場が多いのですが、これって県民性によるものなのでしょうか。個人的にはぬるめの湯船に長く浸かる湯浴みが好きなので、こうした風土は大歓迎です。

 
街中の公衆浴場でありながら、こうした露天風呂に入れるのは有り難いですね。近隣は住宅地であるため、周囲は塀で囲まれており、開放感や眺望はあまり期待できませんが、塀の上から風が入り込んできますから、屋外らしい爽快感や清涼感はしっかりと味わえます。おおよそ1.8m×2.5mの浴槽は全面タイル貼りですが、縁には岩が並べられて温泉風情を醸し出しています。湯船の温度は内湯の副浴槽と同程度の42~3℃で、内湯同様に完全掛け流しであり、私が湯船に入りますと、ザバーっと音を立てながらお湯が勢い良く溢れ出てゆきました。お湯で火照ったら、傍に置かれている木のベンチに腰掛けて、塀越しに吹く風で体をクールダウンさせると、とっても気持ち良いですよ。

 
お湯は薄い琥珀色でほぼ透明なのですが、特筆すべきは泡の多さでしょう。以前の記事でも露天風呂の湯口についてクローズアップしましたが、何度見てもこの吐出口には目を奪われてします。石に囲まれた湯溜まりに塩ビ管が出ているだけの、何の変哲も無い湯口ですけど、湯溜まりは気泡によって濃く白濁っており、そのお湯が落ちる湯船も泡によって薄っすらと懸濁しているのです。もちろんこの気泡は入浴中の肌にも付着し、あっという間に全身が泡だらけになります。この日は腕に「アワ」と書いてみたのですが(上画像)、お分かりいただけますでしょうか。お湯が有している明瞭なヌル&スベ浴感は、夥しいアワアワによって滑らかさや軽やかさがパワーアップされており、一度お湯に浸かると、魅惑的な浴感の虜になって、湯船から出られなくなってしまうこと請け合いです。
湯上がりは爽快な清涼感があるのに、嫌味のない程度でホコホコとした温まりも持続し、それでいて肌はサッパリサラサラ。

 
露天風呂を取り囲む塀の上からは、冠雪した南アルプスの山稜が眺望できました。一番風呂を狙っていた常連の先客さんたちは、9時40分を過ぎると一斉に引き上げてしまい、その後は私一人がお風呂を独占。湯船に浸かったり、ベンチでクールダウンしたりと、何度も出たり入ったりを繰り返しながら、一人でゆっくりとアワアワの名湯を堪能させていただきました。良い温泉は何度訪れても飽きることがありません。

ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 45.9℃  pH7.3 200Lmin(動力揚湯) 溶存物質1412mg/kg 成分総計1435mg/kg
Na+:258.7mg(74.11mval%), Mg++:20.3mg(11.00mval%), Ca++:32.5mg(10.67mval%), Fe++:0.4mg,
Cl-:139.0mg(23.10mval%), HCO3-:796.1mg(76.90mval%),
H2SiO3:138.3mg, CO2:23.8mg,

JR身延線・国母駅から徒歩20分(1.6km)
山梨県中巨摩郡昭和町西条1961-1  地図
055-275-5361

9:00~22:00 木曜定休
450円
ロッカー(100円リターン式)および固形石鹸あり、シャンプー類やドライヤーの備え付け見当たらず

私の好み:★★★

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