銀山温泉 大湯 2015年冬 再訪

山形県

 
フォトジェニックな旅館建築が川沿いに並ぶ銀山温泉のちょうど真ん中辺りに、なまこ壁と格子窓、左右両側に伸びるうだつ等が印象的な建物「大湯共同浴場」が、続いての入湯地です。拙ブログでは6年前に一度取り上げておりますが(当時の記事はこちら)、半年前の冬に再訪したので、改めてレポートさせていただきます。いつの間にか「かじか湯」なんていう通称が与えられていたんですね。

 
なまこ壁および格子窓の内側は通り抜けられる通路になっていて、男女別浴室の扉が面しています。無人施設ですから、入室に際しては所定のポストへセルフで湯銭を納めさせていただきました。

 
ドアを開けるとすぐに脱衣室となり、細長くて狭いために3人以上の同時利用は厳しそうな感じなのですが、場所柄観光客の利用も多いのか、扉付きの棚には風呂屋錠が取り付けられていました。窮屈な空間ですので、さっさと脱いで浴室へ向かいたいところですが、ここで焦ってはいけなんですね。ドアには「まってけらっしゃい」と大きく記された注意喚起が貼り出されており、特に一番上に箇条書きされている「水を入れて温度調整しましたか?」という項目が重要。いきなり風呂に入ろうとすると、えらい目に遭うのであります。

 
浴室には濃い湯気とともに、焦げたようなタマゴ臭とお煎餅のような芳ばしい香りが充満していました。大湯とは名ばかりの、6畳に満たないほどコンパクトな室内には、2×3m程度の浴槽がひとつ据えられ、シャワー付きカランが1基設置されています。床は石板敷きで、側壁の下部は人研石、上部はモルタル塗りという、ふた昔前のお風呂らしい質実剛健な造りです。

 

山側の壁から耐熱の塩ビ管が突き出ており、そこから70℃の激熱湯が垂直に落とされていました。迂闊に触るとヤケドしちゃいそう。このお湯は浴槽に注がれること無く、そのまま棄てられているのですが、余り湯なのでしょうか。

 
さて、脱衣室の注意書きには「水を入れて温度調整しましたか?」と書かれていましたが、その注意喚起が言い表している通り、私の訪問時の湯船は48.3℃もあり、とてもじゃないけど、このまま入浴したり、あるいは掛け湯するには熱すぎました。なんでこんなに熱いのかと言えば…

 
 
浴槽にお湯を注いでいる湯枡の蓋を開けて中の温度を測ってみますと、63.4℃という高温であり、これがそのまま湯船へと注がれているからアツアツなんですね。枡の中は芥子色の湯の華が溜まっており、湯口の流路には白い湯の華が流れに身を任せてユラユラ揺れていました。お湯からは甘塩味と焦げたようなタマゴ味、芒硝味、そしてメイラード反応にも似た芳ばしい風味が感じられます。

 
熱いお風呂に入り慣れているとはいえ、さすがに48℃以上もある湯船には入りづらいので、注意書きに従ってガッツリ加水しながら、備え付けの湯もみ棒でしっかり掻き混ぜ、緊張感なく入れる程度にまで湯温を下げさせていただきました。加水の代償として湯船から香る匂い等は弱まってしまいましたが、それでも鮮度感は損なわれることなく、且つシャキッとする浴感も気持ち良く、銀山温泉の湯を存分に楽しむことができました。銀山温泉では集中管理されたお湯を各施設に配湯しており、どのお宿や施設も同じお湯であるはずですが、湯使いによってフィーリングが異なるところが実に興味深いところです。

そういえば、以前の銀山温泉のお湯って白濁していましたよね。以前拙ブログで大湯を取り上げた当時(6~7年前)では、既に白濁は失われて透明に近い状態となっていましたが(当時の記事はこちら)、それでも泉質名は含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉であり、「含硫黄」の文字が燦然と輝いていました。ところが現在では総硫黄の量が減ってしまい、硫黄泉を名乗れなくなっています。私の風呂上がりとすれ違いに入ってきた地元のお客さん曰く、湯量が減ってボーリングをやり直したら、湯量が戻ったけど透明になっちゃったんだよね、とのこと。銀山温泉は硫黄の量が漸減してゆく運命にあるのかしら。

協組2号・3号・6号源泉
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 63.8℃ pH6.6 蒸発残留物2021mg/kg 溶存物質215mg/kg
Na+:581.6mg, Ca++:76.8mg,
Cl-:786.3mg, Br-:2.2mg, I-:0.6mg, HS-:0.3mg, SO4–:327.9mg, HCO3-:120.6mg,
H2SiO3:97.7mg, HBO2:100.9mg, CO2:55.6mg, H2S:0.9mg,

山形県尾花沢市銀山新畑 地図

8:00~19:00
300円
ロッカーあり、他備品類なし

私の好み:★★

コメント

  1. Dan より:

    Unknown
    我々、実はここ未湯なんですよ
    何度も何度もここの前を通過してるし、
    中も見てるのですが、どうも気が進まず(^_^;)
    観光客の方々がゾロゾロ来るのも一つかな
    機会があったら入ってみたい気もするのですが・・・
    高温過ぎますね
    48℃超に入るのは苦行ですな
    加水して入んなきゃどうにもならんです(^_^)

  2. K-I@仙台 より:

    Unknown
    >Danさん
    >実はここ未湯
    そうなんですか!? でもお気持ち何となくわかります。私の場合は、有名温泉地の有名施設ですと、何故か及び腰になってしまいます。たしかにここは熱すぎですね。いままで入ったことのある最熱のお湯は、秋田県の玉川上流部にある「見張りの湯」の48.9℃でしたので、歯を食いしばれば加水なしでも入れないことはなかったのでしょうけど、おっしゃるように苦行になっちゃうので、加水させていただきました。

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