新平湯温泉 万㐂 後編(お風呂)

岐阜県


前回記事の続編です。
後編ではお風呂を取り上げます。お宿のお風呂は全て温泉であり、本館の男女別浴場の他、離れの蔵に貸切の露天風呂もあります。宿泊中はもちろん両方利用しましたよ。まずは本館の男女別浴場から。
お風呂は1階の奥の方にあり、男女別内湯と露天で構成されています。私が宿泊した日は男女の暖簾替えはありませんでした(いつも固定なのかな)。
ウッディーで落ち着いた内湯には、シャワー付き混合水栓が3つ並び、目測で約1.5×3mの浴槽がひとつ設けられています。とても良くお手入れされており、気持ち良く湯あみできました。

内湯の奥にあるドアから屋外に出ると、目の前には和風庭園風の露天風呂が広がっています。一見すると広そうに見えますが、庭園の池をイメージしていると思しき露天風呂は形状が複雑で、且つ深い部分が少ないため、男湯の場合は入れてせいぜい2人といったところでしょうか。なお露天の浴槽は男女仕切の塀下で女湯側と一体になっており、男湯側に湯口らしきものは見当たらないため、女湯側で滝のように落とされたお湯が湯船を満たし、仕切りの下から男湯へと流れてくるものと思われます。


内湯・露天ともおそらく加水した上でかけ流されているものと推測されますが、具体的な湯使いは不明です。館内に掲示されている分析表は古い手書きのもので、詳しいデータが書かれていないため具体的なことを申し上げることができないのですが、実際に湯船に入ってみたところ、こちらで使われている源泉は平湯温泉一帯でよく見られる重炭酸土類泉系のお湯であり、湯船に肩まで浸かると少々引っ掛かる浴感が得られる他、お湯を口に含むとカルシウム感と重曹感が伝わり、炭水化物を熱したような芳ばしい香り、あるいは藁のような匂いが鼻へ抜けていきます。ただ、こちらのお湯は平湯エリアの他の源泉と比べて少々薄いように感じられました。明確な根拠はないため推測の域を出ませんが、源泉温度が高い相当量の加水が行われているのかもしれません。とはいえ加水の塩梅が良く、入浴時の湯船は40~41℃という絶妙な温度に維持されていました。なお外気で冷却される露天では湯の華(茶色い浮遊物)が目立ち、底にはベージュ色を呈した粉状の沈殿がが溜まっていました。


上述した内湯と露天の他、宿の建物からちょっと離れたところに、蔵のような造りをした離れの貸切露天風呂があります。明治時代に建てられた板蔵を改造しているんだとか。利用したい場合は、チェックイン後に帳場で空いている時間帯を確認してから
予約し、予約時間の少々前に帳場で鍵を借りて、帳場で見せてもらう地図を確認しながらこの離れへと向かいます。玄関から歩いて2分程度でしょうか。そんなに離れていませんが、途中に看板がありませんので、地図をしっかり確かめましょう。秘密の建物を探るような面白さを味わいながら、離れに到着です。

お風呂は2室あり、予約時にどちらにするのか決めます。今回利用したのは左側の部屋です。

貸切風呂の構成としては、簡易的な更衣ゾーンの他、長い庇に覆われた露天入浴スペースがあり、焼き物でできた浴槽が一つ、そして浴槽と反対側にシャワーが1つ、それぞれ設けられています。なおシャワーは隣の部屋と同じ給湯配管なので、2室同時にシャワーを使うと吐出水圧が下がってしまいます。このためお隣から聞こえてくる音や声で状況を察しながら使うと良いかと思います。
浴槽は楕円形で2人入るとちょうどよいサイズ。もちろん温泉が注がれており、加水や加温、そしてある程度の循環が行われているかと思われます。こちらも湯加減が絶妙で、涼しい空気や聞き心地が良い虫の音に触れながらのんびり湯あみすると、自然と表情が和らいで疲れも消え、日頃の憂さがきれいさっぱり一掃されました。

地元の食材を使った美味しい料理、綺麗で素敵なお部屋、そして心地よく落ち着ける温泉浴場、その全てが素晴らしく、滞在中はブリリアントなひと時を過ごすことができました。

温泉分析表は古いものしか見当たらなかったため当記事では転記しません。

岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根781
0578-89-2418
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日帰り入浴はおそらく実施していないかと思われます

私の好み:★★★

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