湯之元温泉 田之湯温泉

鹿児島県

 
意外にも拙ブログでは初登場となる鹿児島県日置市の湯之元温泉。戦国時代に島津家の家臣が湯治したという記録が残っており、江戸時代の寛永年間になると温泉街が形成されていった歴史ある温泉街ですが、華やかな歓楽的温泉街が広がっているわけではなく、市街地に蝟集する民家や商店などと軒を連ねるような感じで、各旅館や入浴施設が点在しています。その中でも今回は温泉銭湯「田之湯温泉」を訪れました。


浴場が面する路地の舗装には温泉マークが描かれていました。当地と温泉は切っても切り離せない関係なのですね。

  
入口は男女別に分かれており、各出入口を入ってすぐのところに番台がある、昔ながらの銭湯スタイルです。男湯入り口の左側には「日本朝風呂党本部」の札が掲示されており、脱衣室内を見上げると「日本朝風呂党立党宣言」と題する趣意文が掛けられていました。この党派は他で見かけたことがないのですが、何かしら全国的な活動なさっているのかな? このような宣言をなさっているお風呂だけあり、朝は6時からオープンしています。

 
下駄箱の上にはツツジの盆栽が置かれており、綺麗に花を咲かせていました。館内は昔ながらの面影を色濃く残す昭和の銭湯そのものであり、そんな佇まいに惹かれて取材にやってくるのか、室内にはたくさんの色紙が並べられていました。

 
浴室に入ると焦げたような匂いを伴うタマゴ臭がふんわり香ってきました。浴室の中央に浴槽が据えられ、その周囲を取り囲むように洗い場が配置されています。洗い場にはお湯と水がペアになっている押しバネ式のカランが計10組並んでおり、お湯のカランからは源泉のお湯が出てきます。各水栓金具は硫化のため黒く変色していました。
女湯との仕切り塀の上には、紫色のアクリル板が立てられており、どことなく昭和の水商売のようなムードを漂わせています。

 
浴槽は3m×3m四方で、角がRになっており、その見た目からは優しい印象を受けますが、縁の表面は洗い出しが粗くなってしまったのか、砂利がむき出しにチクチクし、部分によってはトゲトゲになって、痛くて腰をかけることが躊躇われました。この浴槽は相当長い年月にわたって使い込まれているのでしょうね。
この縁からはお湯が静々と溢れ出ており、人が浴槽に入るとしっかりオーバーフローしました。底面には四角形の格子が埋め込まれていましたから、おそらくこの格子の下に排湯管が接続されているものと思われます。湯使いはかけ流しかと思われます。

 
この槽の内部は均等に2分割されており、淡いエメラルドグリーンを帯びたお湯が張られています。お湯は元々無色透明なのかもしれませんが、浴槽内にはウグイス色のタイルが用いられており、このタイルの影響でお湯も色を帯びているようにみえるのかもしれません。このお湯の中には黒や白の湯の花がたくさん浮遊しており、ぱっと見た感じで黒と白の湯の花の比率は10:1といったところでした。なお黒い湯の花は上述した洗い場に設けられているお湯のカランからも出てきました。

湯口側の槽は44~5℃という熱い設定ですが、お湯はとても新鮮ですので、一度入ると心身がシャキッとして実に爽快。この気持ち良さの虜になり、私は妙な中毒性を覚えました。湯口に置かれているコップでお湯を飲んでみますと、タマゴ味と焦げ渋味を伴う苦味が感じられ、特に苦味に関してはワンテンポ遅れて口腔に広がり、その後しぶとく口に残りました。また室内にこもるほどのタマゴ臭は飲泉時にもしっかり嗅ぎとれ、焦げたような感じを有するタマゴ臭が、明瞭な存在感を残しながら喉から鼻へ抜けてゆきました。イオウ感の強さはなかなかのものがあります。

 
一方、脱衣室側の浴槽は、湯口側の槽からお湯を受けており、42~3℃という誰でも入れる湯加減に抑えられていました。湯中で肌をさするとツルツルスベスベの滑らかな浴感が強く得られ、あまりに気持ち良いので、体が火照ってしまうのを覚悟の上で、限界まで浸かり続けてしまいました。

この素晴らしいお湯に、PETボトルのお茶よりも安い150円で入れるのですから、いつでも利用できる地元の方が羨ましくてなりません。長年にわたって人々を癒し続けてきた湯之元温泉の実力と魅力を実感させてくれる、素晴らしい銭湯でした。

単純硫黄温泉 57.8℃ pH8.5 溶存物質555.2mg/kg 成分総計556.8mg/kg
Na+:143.8mg(90.06mval%), Ca++:6.4mg(4.61mval%),
F-:9.2mg, Cl-:36.8mg(15.73mval%), HS-:19.2mg, S2O3–:3.3mg, SO4–:50.5mg(15.89mval%), HCO3-:170.9mg(42.36mval%), CO3–:18.0mg(9.08mval%),
H2SiO3:72.5mg, H2S:0.7mg,
(平成17年6月20日)

JR鹿児島本線・湯之元駅より徒歩9分(約700m)
鹿児島県日置市東市来町湯田3077  地図
099-274-2219

6:00~22:00 第2火曜定休
150円
ドライヤー(有料20円)あり、他備品類なし

私の好み:★★+0.5

コメント

  1. hitareri より:

    ここの湯も素晴らしい!!
    ここの湯 素晴らしいです。
    鹿児島に行くと 最近は必ず?立ち寄る共同湯です。
    素晴らしい湯です。
    でもこんなに人のいない時間帯に訪れたことはありません。
    逍遥さんは いつの時間帯にいかれましたか?

    川内高城温泉の記事UPも よろしく!!
    楽しみにしていますよ~!!

  2. hitareri より:

    ここの湯も素晴らしい!!
    ここの湯 素晴らしいです。
    鹿児島に行くと 最近は必ず?立ち寄る共同湯です。
    素晴らしい湯です。
    でもこんなに人のいない時間帯に訪れたことはありません。
    逍遥さんは いつの時間帯にいかれましたか?

    川内高城温泉の記事UPも よろしく!!
    楽しみにしていますよ~!!

  3. hitareri より:

    ここの湯も素晴らしい!!
    ここの湯 素晴らしいです。
    鹿児島に行くと 最近は必ず?立ち寄る共同湯です。
    素晴らしい湯です。
    でもこんなに人のいない時間帯に訪れたことはありません。
    逍遥さんは いつの時間帯にいかれましたか?

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    楽しみにしていますよ~!!

  4. K-I より:

    Unknown
    hitareriさん、こんばんは。
    ここは本当に良いお湯ですね。こんな素晴らしいお湯が身近にある地元の方が羨ましくて仕方ありません。
    私は確かお昼頃に訪れたはずです。たまたま独占できるタイミングに恵まれました。薩摩地方はどうだかわかりませんが、地方の公衆・共同浴場って、封建的な風土が強い地域ほど、男湯と女湯の混雑のピークが異なる傾向にありますよね。

  5. K-I より:

    Unknown
    hitareriさん、こんばんは。
    ここは本当に良いお湯ですね。こんな素晴らしいお湯が身近にある地元の方が羨ましくて仕方ありません。
    私は確かお昼頃に訪れたはずです。たまたま独占できるタイミングに恵まれました。薩摩地方はどうだかわかりませんが、地方の公衆・共同浴場って、封建的な風土が強い地域ほど、男湯と女湯の混雑のピークが異なる傾向にありますよね。

  6. K-I より:

    Unknown
    hitareriさん、こんばんは。
    ここは本当に良いお湯ですね。こんな素晴らしいお湯が身近にある地元の方が羨ましくて仕方ありません。
    私は確かお昼頃に訪れたはずです。たまたま独占できるタイミングに恵まれました。薩摩地方はどうだかわかりませんが、地方の公衆・共同浴場って、封建的な風土が強い地域ほど、男湯と女湯の混雑のピークが異なる傾向にありますよね。

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