蔵王温泉 ホテルオークヒル

山形県

昨年秋の某日、蔵王の温泉街からスキー場の方へ上がった上ノ台にある「ホテルオークヒル」に立ち寄り、「湯めぐりこけし」を利用して日帰り入浴しました。

 
建物は小高いところにあり、車でしたら坂道のアプローチを上がっていけば良いのですが、そのアプローチはちょっと遠回りであるため、温泉街の中心部やスキー場などから徒歩でアクセスするお客さんは、通りに面して出入口が設けられている専用エレベーターでフロント階まで上がります。訪問した日は雲一つない青空が広がっており、ホテル周辺の木々は紅葉がとても綺麗でした。

 
私は自分の車で訪れましたので、ホテルの本棟をぐるっと回る形で伸びるアプローチの坂道を上がり、駐車場に車を止めて正面玄関へと向かいました。


玄関を入ると、天井が高くて窓が大きい開放的な洋風のロビーが出迎えてくれます。目の前に置かれているソファーで思いっきりふんぞり返りたい衝動に駆られつつ、フロントで「湯めぐりこけし」を差し出して入浴をお願いしたところ、スタッフの方が快く対応してくださいました。

 
浴場は男女でネーミングが異なっており、裸で浴槽へ入るというイメージに由来して、女湯は「人魚姫」、男湯は「裸の王様」となっていました。人魚姫は誰も納得するでしょうけど、裸の王様とは、どんなことにも客観視できない視野狭窄な男の性(さが)を揶揄しているのかな。でも心当たりがたくさんある私としては、正鵠を射ている表現だと言わざるをえず、その名前に全く文句を言うどころか、妙に納得してしまいました。
開放的で洋風なロビーに反し、脱衣室は昭和のホテルを思い出させるちょっと懐かしい雰囲気ですが、明るく綺麗な環境が保たれていました。

 
浴室(内湯)は2方向が窓になっているため、日中は大変明るく、湯気などの篭りも少なくて大変快適です。室内には浴槽がひとつ、そして洗い場にシャワー付きカランが7基設けられています。なおカランから出てくるお湯はボイラーの沸し湯(真湯)です。

 

全面タイル張りの内湯浴槽は、湯口の箇所だけ斜めにカットしたような五角形で、寸法としては(目測で)2.5m×3.5mというゆとりのサイズ。湯口からお湯がドバドバ吐出されています。館内表示によれば温度均衡のためお湯を循環させているとのことですが、私が訪れた時には浴槽縁の切欠よりお湯が大量に排出されていましたので、実質的には掛け流しのような湯使いではないかと思われます。若干レモンイエローを帯びつつ青白色を呈して弱く濁っており、私が湯船に入りますと沈殿していた湯の花が舞い上がって、底が目視できないほど濁り方が強くなりました。

 
内湯から屋外のテラスに出ますと、上画像のような総木造の露天風呂が据えられていました。キャパとしては3~4人でしょうか。蔵王の木々を眺めながら湯浴みできる、清々しいロケーションです。

 
 
このテラスには温泉の中継槽があり、内湯やテラスの露天、そして後述する露天岩風呂へお湯を分配しているのですが、それだけでは使い切れないのか、露天脇の溝へオーバーフローが捨てられていました。湯量豊富なんですね。

 
 
内湯にはもう一つ屋外へ出る出入口があり、そこから出て階段を下りて行くと、露天岩風呂へ至りました。こちらは全体的に屋根掛けされており、和の趣きたっぷりです。テラスの露天は木々を見下ろすような位置でしたが、この岩風呂は木立の中に囲まれた静かで落ち着いた雰囲気であり、2つの露天風呂は同じ木々と対峙していながら趣きを異にしていました。こちらの露天風呂も3~4人サイズといったところ。内湯やテラスの露天と同じお湯が張られていましたが、投入量が些か少なく、湯加減もちょっとぬるいような気がしました。

さてお湯に関してですが、こちらのお宿に引かれているお湯は近江屋3号源泉。内湯のところでも述べたように、館内表示によれば循環しているとのことでしたが、内湯や2つの露天とも、かなりの湯量の源泉投入や排出が行われており、お湯の鮮度感も良く、実質的には掛け流しであると考えて差し支えないような状態でした。ただ浴槽によってお湯のコンディションに若干の差があり、あくまで私個人の主観で3つの浴槽でお湯の良さを比べたら、内湯>テラス露天>露天岩風呂といった感じでした。いかにも蔵王の湯らしく、刺激を伴う弱い硫化水素臭を放っており、ミョウバン的な収斂酸味と柑橘系のフルーティーな味わいを具有しています。薄い黄色を帯びつつも淡く青白色に濁ったお湯の中では、大量の湯の花が沈殿しており、湯船に入ると湯の花まみれになります。そして強酸性の湯らしいヌメリを伴うツルスベ浴感が得られます。

ワンコイン(500円)で内湯とふたつの露天に入れ、お湯もなかなか良く、しかも夜9時まで日帰り入浴できるのですから、蔵王で湯めぐりする上では大変ありがたい施設と言えそうです。

近江屋3号源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 45.4℃ pH1.7 蒸発残留物2268mg/kg 溶存物質2894mg/kg
H+:20.1mg, Na+:53.9mg, Mg++:54.5mg, Ca++:96.0mg, Al+++:95.8mg, Fe++:6.8mg,
F-:11.7mg, Cl-:312.0mg, Br-:1.8mg, HSO4-:802.1mg, SO4–:1194mg,
H2SiO3:175.8mg, H2SO4:40.4mg, CO2:396.5mg, H2S:8.0mg,
(平成27年3月23日)
循環装置使用(浴槽内の水温を均一にするため)
加水あり(気温の高い期間のみ)

山形県山形市蔵王温泉756  地図
023-694-2110
ホームページ

日帰り入浴12:00~21:00
500円(もしくは「湯めぐりこけし」シール1枚)
貴重品用の小ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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