須川高原温泉 その4 大浴場

岩手県

前回記事の続編です。

いままで3回連続で取り上げまいりました「須川高原温泉」も今回(その4)でラスト。最後は大浴場を取り上げます。

 
1階フロント右斜め前から渡り廊下を進んでゆくと、エレベータやバリアフリートイレなどを擁する比較的新しい建物へ移ります。この新しい建物の1階に大浴場のホールがありますので、暖簾をくぐって脱衣室へと入ります。中浴場は湯治宿風情を濃く漂わせていましたが、それとは対照的にこの大浴場は大規模温泉ホテルを思わせます。

 
脱衣室も広々としているので、ストレスを感じることなく使えるかと思います。洗面台にはドライヤーも備え付けられています。またロッカーも設置されていますが、100円の有料です。

 
この浴場は「千人風呂」と名付けられているんだとか。さすがに千人は大袈裟ですが、でも言わんとしていることが充分に伝わるほど広く、また天井も高いので、屋内とは思えないほどの開放感が得られます。

 
男女両浴室を仕切る壁に沿って洗い場が配置されており、10基のシャワー付きカランが一列に並んでいました。なおカランから出てくるお湯は沸し湯です。浴場内の床はスノコ敷きのような誂えになっており、無機質になりがちな建物に柔らかで温もりある印象をもたらしているのですが、酸性の硫黄泉は滑りやすいため、その表面には滑り止めのスリットが彫られてました。


浴場の一角にはサウナがあったのですが、この日は使えたのかどうか確かめていません。

 
浴場の広さと豊富な湯量の双方があるからこそ実現できる巨大な湯船。その大きさは(目測で)3m×9m。あまりに大きすぎるため、どこで腰を下ろしたらよいかわからず、迷った挙句に隅っこに落ち着いてしまうのは、きっと私が根っからの貧乏症だからなのでしょう。
浴槽は縁こそ木材ですが、浴槽内はコンクリです。山の源泉から引いてきたお湯が、真っ白に染まった樋からその巨大な浴槽に注がれ、浴槽に張られたお湯は青みを帯びた美しい白濁を呈していました。大きな浴槽ゆえに、場所によって温度差があり、湯口に近い方が熱くなっています。このため、熱いお湯が苦手な方は、より脱衣室に近い方へ入った方がよろしいかと思います。

 
この大浴場にも露天風呂が付帯していますが、前々回の記事で取り上げた大露天風呂「大日湯」とは趣を異にしており、登山道に面しているこちらのお風呂は四方を塀や壁に囲まれ、頭上にも屋根が掛けられています。ですから露天風呂というよりは屋外風呂と称した方が、実態に即しているような気がします。とはいえ、豊富な湯量を活かし、湯船はしっかりとした大きな造りであり、お湯の温度は43℃前後でした。

 
露天の湯口からはお湯が絶え間なく注がれ、外気の冷却に負けることなく、ちょっと熱めの湯加減をキープしていました。四方や頭上の視界が遮られているとはいえ、その隙間からは大日岩の姿をのぞくことができました。屋根と塀の間から風が入ってきますから、お湯で逆上せかかっても、ここにいれば気持ち良くクールダウンできます。

さてお湯に関するインプレッションですが、お湯からは鼻腔をツンと刺激する硫化水素の匂いが香り、口に含むとレモン汁のような柑橘系の収斂酸味が感じられます。湯中では酸性のお湯によくあるヌメリを伴うツルスベ浴感が得られますが、湯上がりにはややベタつきや引っかかりが肌に残るので、そうした感触が気になる方や、そもそも肌が弱い方は、お風呂から上がる直前にサッと上がり湯を浴びた方が良いかもしれません。どの浴槽でも完全放流式の湯使いであり、趣きの異なる各浴場でそれぞれ気分を変えて湯浴みを楽しむことができますが、特に前回記事で取り上げた中浴槽ではお湯の鮮度が素晴らしく、熱いお湯に耐えられるならば是非入っていただきたいものです。もちろん、今回記事の大浴場は、その規模や使い勝手の良さが特長ですし、前々回記事の「大日湯」は開放的なロケーションと白濁湯の色彩美が非常に魅力的であり、何度入っても心を奪われてしまいます。三者三様の素晴らしさを有するこちらのお風呂たち。今回宿泊してじっくり利用することにより、その素晴らしさを再認識することができました。

霊泉の湯
酸性・含硫黄・鉄(Ⅱ・Ⅲ)-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 50.5℃ pH2.2 溶存物質2.478g/kg 成分総計3.140g/kg
H+:6.3mg, Na+:239.6mg, Ca++:127.9mg, Mg++:41.3mg, Al+++:58.9mg, Fe++:0.8mg, Fe+++:25.1mg,
Cl-:587.4mg, Br-:0.9mg, I-:0.1mg, SO4–:907.6mg, HSO4-:192.8mg,
H2SiO3:230.5mg, CO2:651.0mg, H2S:10.9mg,
(平成17年8月2日)
各浴場とも加水加温循環消毒なし

JR一ノ関駅より岩手県交通の須川温泉行き路線バスで終点下車すぐ
岩手県一関市厳美町字祭畤山国有林46林ト
0191-23-9337
ホームページ

立ち寄り入浴
大露天風呂「大日湯」6:00〜21:00
内風呂「千人風呂」9:30〜16:00
いずれも料金600円/1時間1回限り
冬季休業
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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