奈良田温泉 奈良田の里温泉

山梨県

 
週末はいつも混んでいるという話を聞いていたので今まで敬遠していたのですが、先日思い立って行ってきました。
県道沿いの公営駐車場(無料)に車を停め、集落の中を斜めに這う坂道を歩いて上がってゆくと、古民家調の瓦屋根の建物に行き当たります。玄関傍には水場があって、口にすると清冽な美味しい水でした。

 
この建物は食堂兼入浴受付になっており、その中で入浴料金を支払います。食堂内の通路を抜けて一旦外に出て、屋根付きの登り廊下を上がると突き当たりが湯屋です。ガイドブックでもよく紹介され、お客さんが多い施設にもかかわらず、中途半端に地味でこじんまりして若干草臥れた建物です。

 
日曜午後3時頃の訪問でしたが、こんな奥まった場所なのに7~8人も先客がいるではありませんか…。でも内部はちゃんとお手入れされており、多客なのにあまり荒れていませんでした。脱衣室内の流し台の蛇口からは源泉が出るのですが、どうやらこれは飲泉することができるようです。


浴室は内湯のみで、谷に向かって大きなガラス窓が嵌められ、木々などに若干視界を遮られるものの、一応川を展望できる造りになっています(ガラスは嵌め殺しなので開けられません)。
カランはシャワー付き混合栓が6基。シャワー周りの腰板や浴槽と壁の接合部分以外は全て木造です。ガラス窓から降り注ぐ日の光と木の優しい質感がぬくもりを生み出しているようでした。


木の浴槽は2分割され、谷側が6人は足を伸ばせそうな広さでかなりぬるく(たぶん35℃以下)、山側は4人サイズで湯口があり、ちょうどよい湯加減でした。谷側の広い浴槽縁から静かにお湯がオーバーフローしています。上の画像は山側の方です。


無色透明ながらごく僅かに白っぽく霞んでいます。湯の華らしきものはあまり見られませんでしたが、微細な粉状の浮遊物が僅かに湯面に浮いていました。浴室に入った途端にわかる、はっきりとした芳しいタマゴ臭がプンと漂い、思わず鼻を鳴らしたくなるほどです。湯口に置かれたコップで飲んでみると微塩味+たまご味+ほろ苦味が感じられます。とってもヌルヌルスベスベしており、宮城県・中山平温泉の「うなぎ湯」を彷彿とさせてくれ、口に含んでもそのトロトロ感がわかるほどです。そして泡つきも沢山なので、思わず興奮しちゃいました。
ぬるい浴槽のほうが見た目の霞み方が若干強かったのですが、これは泉質由来なのか、あるいは浴槽の木の繊維が溶けているだけなのかは定かではありません(実際に木の繊維っぽいものが浮遊していました)。その代わり、タマゴ湯的な知覚やヌルスベ感は弱めで、泡つきも少なめでした。
一方、ちょうど良い湯加減の槽は味も匂いも浴感も明瞭。ちょうど良い湯加減といっても決して熱くなく、むしろ山梨県標準のぬるいお湯ですので、みなさんどうしても長湯する傾向にあり、このため入浴客はどうしても小さなこの槽に集中し、溢れた人が仕方なくぬる湯に入るという状況でした(私もその一人)。寒い時期にはこの傾向が特に顕著になりそうな気がしますが、一方で暑い季節はぬる湯の方が好まれるかもしれません。夏に入りたくなるような温度でした。

お湯の質自体は素晴らしいのですが、湧出量に限りあるためか、上述のように利用傾向に偏りがあり、またお風呂の構造もシンプルであるため、このお湯のためにわざわざここまで来たいかと問われれば、正直なところ首を傾げたくなりますが、南アルプスから下山した後の汗を流す際はもちろんのこと、同じ集落にある名湯「白根館」で入浴したり付近を散策したついでに立ち寄って入ってみるならいいかもしれませんね。ここで入浴した際には是非隣接している民族資料館の見学もおすすめ。古代の言葉の名残が現れているという独特な方言を使っていた秘境且つ言語島である奈良田の人々がどんな生活を送っていたかがよくわかります。

ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 42.2℃ pH8.6 40L/min(自噴) 溶存物質1.595g/kg
分析表は昭和54年のもの(約30年前)なので、現在は若干変化している可能性大です。

山梨県南巨摩郡早川町奈良田486  地図
0556-48-2552
早川町による紹介ページ

9:00~19:00(12月1日~3月末までは~18:00) 水曜定休
500円
100円リターン式ロッカー・シャンプー類あり、ドライヤーなし

私の好み:★★

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