涼水戸温泉

熊本県


中神温泉を探している時に偶然道端に「涼水戸温泉」と書かれた看板を発見したので、どんなところか訪れてみることにしました。現地に到着してみると、その建物はどう見ても民家か公民館のようにしか思えず、玄関上に「涼水戸温泉」と書かれているのを確認して、ようやくここが温泉なんだろうなと理解できたのですが、それでもまだ半信半疑。


玄関を入ると受付がありました。民家のような建物なのでてっきり中には誰か係の方がいらっしゃるだろうと思って「こんにちは」と声を掛けてみたものの、一切返事がこない。早い話がここは無人の施設なんですね。手作り感溢れる料金箱に300円を投入して中へお邪魔しました。なお玄関右手が休憩スペースで、左手が浴室となっています。


浴室には石板貼りで木縁の浴槽がひとつ据えられています。洗い場のカランは4基。
人吉の温泉はモール系のお湯か透明でアワアワ系のお湯かいずれかだと思い込んでいたのですが、ここのお湯はその固定概念を覆してくれました。お湯は淡黄色に弱く濁っており、オレンジ色の小さな粒状の湯の花が舞っています。見た目から想像するに土気や金気がはっきりしているのかと思いきや、意外にも微かな金気が感じられただけで、無味無臭と言っても良いような知覚。浴感もこの手の色・濁りのお湯にありがちなキシキシではなくて、ツルスベ感が際立っているものでした。掛け流しの湯使いで、おそらく加温されているかと思いますが、丁度よい湯加減。


男湯と女湯との境に立っている欄間には、温泉マークとともに川下りの船の姿が彫られていました。透かし彫りと表現したいところですが、出来上がり具合から推測するに、いわゆる職人さんが造ったものではなさそうです。でもこんな手作り感が小さなお風呂には似合っていて微笑ましいですね。


窓サッシから外へ出ると、そこはビニールハウスの室内。鉄釜にお湯を張った釜風呂や、同じく川舟を湯船にしたもの、そして所狭しといろんな植物が植えられており、何だか雑然としています。舟は半分が女湯へ飛び出ており、船体が長いのでおそらく男女で半分ずつにしているんでしょう。露天風呂としてこれらを配置したんだと思いますが、釜風呂は良いものの、川舟のお風呂はお湯が相当鈍っていたのでパスしました。

後日知ったのですが、敷地内にはパイナップルやパパイヤなど熱帯果樹の温室があるそうで、見学も可能、そして販売も行っているんだそうです。なるほどお風呂のビニールハウスはその温室の延長線上にあるわけですね。人吉の他の温泉に比べると知名度は決して高くない方だと思いますが、決して悪いお湯じゃなく、むしろ人吉では隠れキャラ的な異色の部類に属するので、この界隈での湯巡りにアクセントを加えたいときに訪れてみるといいかもしれませんね。

ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 43.3℃ pH7.63 溶存物質1894mg/kg 成分総計1938mg/kg

熊本県人吉市中神町大柿490  地図
0966-24-0405

6:00~22:00
300円
ドライヤーあり、他の備品なし、無人

私の好み:★★

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