小野川温泉 扇屋旅館

山形県


小野川温泉には何度か訪れて共同浴場の「尼湯」や「滝湯」にはその度にお世話になっているのですが、調べてみると、以前から気になっていた「扇屋旅館」で日帰り入浴が可能であることを知ったので、某日にふらっと立ち寄ってみました。「尼湯」の目の前に立地する古風な佇まいのお宿。竣工から100年以上が経っているんだそうでして、1階部分の格子窓が良い風情を醸し出しています。


朝8時半という早い時間にもかかわらず、宿の御主人は一介の入浴客を快く出迎え、わざわざ私一人のために長い廊下をお風呂まで案内して下さいました。玄関からお風呂まで複雑に入り組んだ廊下は、途中クネクネと曲がったり上がったり下りたり、一度じゃなかなか覚えられません。


お風呂は内湯の他、ちょっと離れたところに露天風呂もあるそうですが、今回は内湯のみの利用とさせていただきました。入った途端にプンとタマゴ(硫黄)の匂いが鼻をくすぐる浴室は、全面タイル貼りでとてもシンプルながら、隅々まで手入れが行き届いておりとても快適な空間です。
浴槽もタイル貼りで、縁だけ黒御影石、5~6人サイズの長方形。硫黄分が付着してちょっと白くなっている湯口から無色澄明が注がれており、湯中では若干くすんだ白色の湯の花がちらほら舞っています。湯口のお湯はかなり高温ですが、投入量を絞ることにより加水することなく湯温を調整しており、湯船ではやや熱いかなという程度でおさまっていました。味は塩味のきいたタマゴ味で結構おいしく、うすいタマゴスープを飲んでいるみたい。弱いツルスベ浴感を有し、食塩のためか、とてもよく温まります。


源泉掛け流し、加温加水循環消毒が一切ないことを明示しています。


脱衣所と浴室を隔てる壁には「保健所指定の温泉ガス抜きです」と書かれた小窓が設けられていました。たしかに浴室内のカランは硫化して青く変色していましたが、はたして小窓を設ける必要があるほど室内の硫化水素濃度が高くなるのかしら…。もちろん換気は必要ですから、用心に用心を重ねているのでしょう。

米沢周辺にはいわゆる秘湯が多いため、典型的な温泉街である小野川には(個人的には)あまり魅力を感じなかったのですが、当地のお湯の良さを改めて認識することができ、かつご主人の優しい対応がとても印象的でしたので、かつては高松宮が宿泊したほどの老舗であるこの扇屋旅館さんは、宿泊してこそ本当の良さを実感できそうです。ご主人は笑顔で「いい湯でしたでしょ」と誇らしげに口にしていました。

協組4号源泉・協組5号源泉混合
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉
43.2℃(4号:78.6℃、5号:35.6℃) pH7.6 溶存物質4394.8mg/kg 成分総計4417.6mg/kg

米沢駅より山形交通バス・小野川温泉行で終点下車(約25分・560円)
バス時刻表
山形県米沢市小野川町2432  地図
0238-32-2521
ホームページ

日帰り入浴時間:不明(問い合わせされたし)
300円
ドライヤー・シャンプー類あり

私の好み:★★★

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