※前回記事「苗場山に登って高山の花を楽しむ 2012年7月」その1のつづきです
※今回の記事でも温泉は登場しませんのであしからず
6合目を過ぎたあたりから、周囲の植生がブナからダケカンバに変わりました。私はこのいかにも山らしい爽快感と透明感を有するダケカンバが大好きです。
何度も繰り返しますが、このコースは全体的に湿っており、こうした何気ない場所がツルツルに滑りやすかったりするので油断なりません。また、路肩が崩れて滑落しそうになる箇所や、涸れ沢に迷い込みそうになる箇所も数か所あり、いずれも黄色いテープが張られているものの、ガスっている時には要注意です。
ロープで岩場を次々にクリアしてゆきます。画像で見ると険しそうですが、実際には大したことありません。でも手袋の装着はお忘れなく。ここを越えたらすぐに7号目だ!
【6:45/6:50 7合目(1810m)】
ひたすら登り坂が続いているのに、その道中で眺望が得られないと、精神的に鬱屈してきますが、この7合目はとても見晴らしが良く、ちょうど体力がバテはじめていたので、ここで5分間休憩して息を整えることにしました。本当はもっとのんびりしたかったんですが、それを許さない事態が起きていたのです。というのも、雨上がりという気象条件に朝の気温上昇が重なり、このあたりから羽虫の大量発生に悩まされまたのです。払っても払ってもしつこくまとわりつく無数の羽虫たち。目・鼻・耳・口に突撃してくる特攻隊も多く、この日だけで何匹の虫を飲み込んじゃったことか…。
路傍にはツツジが咲いていました。冷涼な山は7月になっても躑躅が咲いているんですね。
今度はロープではなく鎖場の連続です。ここも晴れていれば大したことはありませんが、鎖に掴まると楽に上り下りできました。
おお! これはゼンマイの群生ですね。摘みたい衝動にかられましたが、山の植物を持ち帰ってはいけませんし、そもそもゼンマイって食べるための下拵えが面倒くさいので、ここでは見るだけにとどめておきました。
【7:13/18 八合目(1940m)】
ゼンマイ群生から3分ほどで8合目に辿りつけました。運動不足の脆弱な体なのに徹夜明けで登山すると、やっぱり身体的にキツいですね。さきほど7合目で休んだばかりなのに、ここでも休憩しちゃいました。
8合目の標柱そばで咲いていたイワカガミ。可憐な花には心身ともに癒されます。
普段は雨男な私ですが、なぜか最近登山の時には天候に恵まれることが多く、この時も雲一つない素晴らしい眺望が得られました。頸城方面が一望ですね。この眺望ポイントで険しい登りは終了です。
【7:25 坪場】
眺望ポイントからは笹薮となり、ここを抜けたら「坪場」と称する高層湿原に出て、一気に見晴らしがよくなりました。うひゃーー、気持ち良いぞ!
高層湿原に敷かれた木道を軽やかに歩きます。ここに及んで俄然疲れが吹っ飛び、体が軽くなりました。真っ青な空には綿雲がポツンポツンと浮かぶ程度。
湿原に点在する池塘は水鏡となって空の青さを映していました。本当に綺麗だ。
木道付近ではチングルマやイワイチョウが咲き乱れています。
ワタスゲは数こそ多くないものの、いくつもの小さなコロニーをつくって点在していました。
【7:35 和山への分岐】
このあたりには残雪がちらほら見受けられます。でも着実に夏はやってきているらしく、木道を歩いているといつのまにやらカエルの大合唱に包囲されていました。
坪場から抜け出るあたりで振り返ってると、そこにはあたかも天国にいるみたいな、非常に美しい風景が広がっていました。朝早いから登山者の姿もありません。こんな絶景を独り占め。
【7:40 9合目(2000m)】
坪場の高層湿原を抜けると間もなく9合目です。頂上まではあと一息だ。
その3につづく
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