松崎温泉 豊崎ホテル

静岡県

 
2017年の某日に西伊豆を訪れた際、松崎町の中心部にある「豊崎ホテル」で一泊お世話になりました。いつもの拙ブログでしたら、宿泊でお世話になった客室や料理の写真も一緒にご紹介するのですが、なぜかそれらの画像が手元に無いため、今回の記事ではお風呂の画像が中心となります。何卒ご了承くださいませ。

 
客室の画像はないのですが、なぜか客室の窓から外を眺めた様子は記録に残っていました。この日あてがわれたお部屋は海を臨む2階の8畳間。トイレや洗面台付きの便利な部屋ですが、お布団は自分で敷きます。こちらのお宿はどうやら少ないスタッフさんで作業を回しているらしく、高級ホテルのように痒い所に手が届くようなサービスは期待できませんが、その代わり周辺の宿泊施設よりもリーズナブルに利用でき、且つ美味しくてボリュームたっぷりのお食事と、後述するかけ流しの温泉を楽しめますから、コストパフォーマンス的に満足できました。
食事は2食とも道路を挟んだ向かい側に建つ「民芸茶屋」に移動していただきました。なお私が宿泊した日の夕餉は、桜えびの天ぷら・あらの煮付け・金目やカンパチのお造り・さざえのつぼ焼き等ご当地らしい海の幸が7品、朝食は身の厚い鰺の干物が提供されました。どれも美味しかったですよ。

 
館内のお風呂は3つ。いずれも4階にある男女別の浴室と男性用露天風呂です。女湯は内湯と露天が行き来できるのでが、その代わり両方ともコンパクト。その一方、男湯は内湯と露天が離れており、一旦廊下に出ないと行き来できませんが、その代わりそれぞれがゆとりのある空間になっています。この記事では男性用のお風呂について取り上げてまいります。

●展望風呂(男湯)
 
上述のように男性用の浴室は、内湯と露天が離れており、女湯の内湯と露天を挟むような形でそれぞれが位置しています。まずは内湯「展望風呂」から入ってみましょう。

 
ウナギの寝床のように細長い脱衣室を抜けて浴室へ。昭和の鉄筋造りによくある天井が低い構造で、内部はタイル張りですが、適宜改修を行っており、古いお風呂をできるだけ綺麗に保っていこうとする努力の跡が垣間見えます。海を臨む窓の下に浴槽が据えられているほか、壁に沿って洗い場が設けられており、シャワー付きカランが計3基取り付けられていました。

 
コバルトブルーのタイルが鮮やかに映える内湯浴槽。窓から降り注ぐ駿河湾の陽光が湯面で反射してキラキラと輝いていました。浴槽の寸法は失念してしまいましたが、おそらく4~5人サイズかと思われます。窓からは那賀川が駿河湾に注ぎ込む河口とその岸に船が停泊する松崎の港、そしてその周辺の景色を眺めることができました。

 

お湯はライオンの湯口から吐出されているほか、浴槽の底にあいた穴からも投入されており、これによって窓に沿って横に長い造りをしている浴槽内部の湯温の均衡を図っているようでした。
これらの湯口から供給されて湯舟を満たしたお湯は、縁に空いた穴から溢れ出ていました。こちらのお宿では各浴室において加水加温循環消毒なしの完全掛け流しを実践しています。使用源泉は松崎町の町営温泉で、その量は毎分60リットル。アツアツの状態で配湯されるお湯を一旦屋上の冷却装置で冷まし、その後に各浴槽へ供給しているんだそうです。なお上がり湯に関しては冷ましていない熱い温泉を使っているんだそうです。

●露天風呂
 
一旦浴衣に着替えてから、男性用露天風呂へ移動することに。
コンパクトながら綺麗でひと通りの備品を有する脱衣室を抜けると、いきなり屋外の露天風呂がお出迎え。明らかに後年増設したと思しきこの露天風呂は、和の趣きたっぷりで、なかなか良い雰囲気です。屋根掛けされたこのスペースには大きな樽風呂がひとつ据えられており、松崎の街中を一望できます。内湯のような緩衝空間はありませんが、屋外ながら洗い場が用意されていますので、内湯で汗や垢を洗い流さずとも、ここで全身を綺麗にすることができます。なおカランから出てくるお湯は100%温泉です。

  
画像左(上)は入浴している私の目線、そして画像右(下)は夜の露天風呂の様子です。設置場所の関係で男性用露天風呂からは海を眺めることができませんが、河口の舟溜まり、松崎の街並み、そして周囲の山々の緑を一望でき、しかもとても静かな環境なので、のんびり湯浴みして寛ぐには最高なロケーションです。特に私が訪れた夜には満月が空に上がって、より一層麗しいシチュエーションで過ごすことができました。

 
こちらが男性用露天風呂から眺められる周囲の景色です。なお女性用露天風呂からは海を眺めることができるんだとか。

上述のようにこちらのお宿に引かれているお湯は松崎町の町有源泉(混合泉)で、加温加水循環消毒のない完全かけ流しという素晴らしい湯使いが実践されています。お湯は無色透明で、甘みを含む石膏味がしっかりと感じられ、同系の匂いも湯面からふんわりと漂っています。また芒硝感も少々得られます。総じて硫酸塩泉らしい特徴がはっきり顕れており、トロミがある湯中ではスルスベとキシキシが混在する浴感が得られ、また身体の温まりも力強いものがあります。その一方で、松崎の南方に位置する温泉地へ供給されている松崎三浦温泉(岩地温泉や雲見温泉など)のような塩辛さは無いため、真夏でもベタつきや火照りを気にせず入浴できるかと思います。

2食付きでも手軽に泊まれるうえ、宿泊中は素敵なお風呂で良質なお湯に入り放題という、泊まってよかったと思える好印象なお宿でした。

混合泉(松崎2号・6号・12号・13号。宮内第一配湯所)
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 62.2℃ pH8.5 成分総計2.177g/kg
Na+:321.8mg, Ca++:335.8mg,
Cl-:86.6mg, Br-:0.4mg, I-:0.2mg, SO4–:1339mg,
H2SiO3:65.6mg,
(平成14年6月19日)
加温加水循環消毒なし

静岡県賀茂郡松崎町松崎488-2  地図
0558-42-0070
ホームページ

日帰り入浴については不明(宿泊のみ?)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

コメント

  1. たちかわ某 より:

    前から気になってて
    泊まってみたいホテルなんだけど、
    公共交通機関利用ではアクセスが厳しいですねえ…。
    まあ、西伊豆全般に云える難点なのですが。

  2. K-I より:

    Unknown
    たちかわ某さん、こんばんは。
    西伊豆は多くのところが公共交通機関でのアクセスが難しいですね。西伊豆はもっぱら自分の車で移動しちゃいますので、バス利用の機会はあまりありません。そんな不便な場所だからこそリーズナブルなお宿が多いのかもしれませんね。

  3. Unknown より:

    Unknown
    素泊まり5500円わ納得できます。交通費がかかるので安いと助かります。旅館の食事わ社長さんが食べるものにちかいです。庶民のでわありません。

  4. ぶー より:

    写真撮影
    こんにちは、はじめまして。こちらの温泉情報を元にして、主に伊豆半島を中心にオートバイで温泉巡りをしている者です、このブログにはホントお世話になってます。

    実はこの度、オートバイのツーリングを主題としたブログを開設したのですが、温泉ツーリングはネタとして外せませんので取り上げていく予定です。

    そこでお伺いしたいのは、温泉施設内、湯船等の写真撮影をどうやってなさっているか、です。

    私も旅の記録を残すのにカメラを持ち歩いており、チャンスがあればお風呂内の写真を撮りたいのですが、だいたい入浴中の方がおられ、まず断念します。

    良い方法があればご教授下さい。長文、失礼致しました。

  5. K-I より:

    Unknown
    ぶーさん、はじめまして。いつも拙ブログをご覧くださりありがとうございます。伊豆はツーリングなさっている方が多いですね。もしかしたら私も自分の車ですれ違っているかもしれません(^^)
    さてご質問の件ですが、単純に人がいないときに限っています。いらっしゃるときには諦めます。あるいは何かしらの制限やルールがある場合はそれを守っています。より良いブログとなりますようお祈りしております。

  6. ぶー より:

    Unknown
    こんにちは、ぶーです。

    普通に考えればお聞きするまでもない、ショーもない質問にお答え頂きありがとうございました。
    さらに励ましのお言葉まで頂き恐縮です。

    これからも更新を楽しみにしています。
    重ねてありがとうございました。

  7. K-I より:

    Unknown
    >ぷーさん
    いえいえ、こちらこそ大したお答えができず申し訳ございません。また今年も何度か伊豆には足を運ぶつもりです。今後とも宜しくお願い申し上げます。

  8. 国民温泉 より:

    Unknown
    白根山噴火へのお見舞いの気持ちは、いったん胸にしまって、こちらにコメントいたします。

    松崎三浦温泉や東京湾の強食塩泉に対して「海水浴と何か違いが?」
    などとうっすら感じてしまう、やまびこ荘へつづく県道59号のように狭い器量の私ですが(^◇^;)笑
    ここは本当に素晴らしいと思います。今春、河津桜まつりとセットで是非泊まりに行きたいです!

    K-Iさんのブログは、こういうところを教えてくれるから嬉しいですね!いつもありがとうございます。

  9. K-I より:

    Unknown
    国民温泉さん、こんにちは。
    ありがたきコメント、大変恐縮です。
    強食塩泉は体への負担が大きく、また湯上りもベタベタするので、正直なところあまり好きではないのですが、こちらのお湯はむしろ伊豆らしい硫酸塩泉的な特徴が表れており、湯加減も良かったので、大変気に入りました。リーズナブルに泊まれる点も嬉しいですね。あまりに厳しい寒さが続いているので、本当に春が来るのか疑わしいのですが、暦を信じるならばもうすぐ河津桜のシーズンですので、一足早い春を感じる旅もいいですね。

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