肘折温泉 ゑびす屋 後編(2つのお風呂)

山形県

前回記事の続編です。
さて、このブログの主題である温泉のお風呂へと参りましょう。

●浴室

館内1階の奥に伸びる廊下に沿って浴室の入口が設けられています。ややもすると見逃してしまいそうな、控えめな佇まいです。

 
脱衣室こそ男女別ですが・・・


浴室は男女が同じ、つまり混浴なのです。宿泊するのに混浴は嫌だという女性の方、ご安心ください。このページの最も上の画像をご覧になるとわかりますが、1階廊下の突き当たりには女性専用の浴室も設けられていますよ。
しばしば、混浴なのになぜ脱衣室を男女に分けるのか、という疑問を耳にしますが、人間の羞恥心は不思議なもので、一糸まとわぬ姿より更衣の過程の方がより恥ずかしさを覚えるものであり、また心の準備をする空間も必要ですから、たとえ混浴であろうとも脱衣室くらいは男女に分けておくべきなのであります。
2つの脱衣室を挟んでシンメトリになっている浴室の真ん中には後述する浴槽が設けられ、左右両側に洗い場が1つずつ用意されています。

 
浴槽は野球のホームベースを潰したような形状。幅2.5m・奥行1.8m程で5〜6人サイズでしょうか。縁には御影石が用いられ、浴槽内は石板貼りです。赤茶色に染まった瘤状の析出が下部にびっしり付着している石の湯口より、適温よりやや熱めの温泉が注がれており、浴槽を満たしたお湯は縁の左右両側から溢れ出ています。特に向かって右側のオーバーフローの流路は赤黒く染まっていました。注がれるお湯は温度調整のために加水されており、おかげで適温が維持されていました。なお湯使いは加水した上での放流式。入りやすいコンディションが維持されたお風呂に浸かっていると、憂き世の艱難辛苦もたちどころに消え去ります。

●貸切風呂
 
1階廊下の突き当たりには女性専用の浴室のほか、時間指定で使う貸切風呂があります。宿泊客は無料で利用できるため、私もチェックイン時に帳場で予約しました(入浴のみ利用の場合は500円)。なお予約は毎時00分で空いている任意の時間を指定し、その00分から45分間利用できます。つまり貸切風呂を使えるのは1時間ごとに1組のようです。
まずは出入り口にさがっている札を裏返して「只今 入浴中」と表示させ、ドアを内側から施錠しておきます。


更衣室は妙に綺麗。陶器の洗面台のほか、テレビまで用意されています。この貸切風呂は現代のニーズに合わせて増設されたのかもしれませんね。とはいえ、貸切の45分間にお風呂に入り、且つテレビまで見る余裕はあるのかな?

 
浴室もなかなか綺麗。年季が感じられる混浴の浴室に比べ、相対的に新しいのではないかと思われます。浴室には湯船のほか洗い場があり、シャワー付きカランが2つも並んでいました。複数人数で利用する場合でも、洗い場を譲り合う必要がないので、時間を有効に使えますね。

 
縁が御影石で内部がタイル張りの浴槽は2人サイズ。可愛らしい仏様が微笑む湯口より温泉が注がれており、浴槽のお湯は、常時はオーバーフロー管から排出されているのですが、私が湯船に入ると一気にドバーッと勢いよく溢れ出し、洗い場が洪水状態になってしまいました。投入量や加水の塩梅が良く、湯船は適温が維持されていました。この貸切風呂でも放流式の湯使いが採用されています。

こちらのお宿に引かれているお湯は、肘折ではおなじみの混合泉。淡い赤みを帯びた黄土色に弱く濁っており、薄い塩味と弱い炭酸味、金気、そして土類感が得られます。湯中ではスルスル感と引っ掛かりが混在する浴感が得られ、体によく馴染み、そして優しいながらも力強く温まります。肘折らしいお湯です。なお加水を最小限に抑えるためか、館内では温泉熱を利用した熱交換暖房や熱交換給湯が実施されているそうです。

リーズナブルで快適な湯浴みと宿泊を楽しめた、素敵なお宿でした。

混合泉(組合2号源泉・組合3号源泉・組合5号源泉)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 65.9℃ pH6.6 溶存物質3410mg/kg 成分総計3768mg/kg
Na+:879.2mg(81.83mval%), Mg++:22.0mg, Ca++:89.6mg(9.57mval%), Fe++:2.3mg,
Cl-:991.2mg(58.43mval%), SO4–:234.9mg(10.22mval%), HCO3-:912.0mg(31.25mval%),
H2SiO3:146.1mg, HBO2:54.2mg, CO2:357.9mg,
(平成28年9月23日)
加水あり(温度調整のため)
加温・循環・消毒なし

山形県最上郡大蔵村大字南山526
0233-76-2008
ホームページ

日帰り入浴時間不明
300円(貸切風呂500円)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

コメント

  1. 国民温泉 より:

    Unknown
    肘折に行くと、どうしても自家源泉のあるところに目がいきがちですが、いしだき温泉とセットでリーズナブルに宿泊できるゑびす屋さんもいいですね!旅館食が辛くなってきたので、湯治食も魅力です。
    河原湯・疝気の湯のカードキーも貸してくれるみたいですし・・・石抱温泉は6月だと確実ですかね?連泊などしてみたいと思わせるお宿です。
    ヒアルロン酸注射の代わりに蚊に刺されろと?(笑) 私はぜひ下腹部を

  2. K-I より:

    Unknown
    肘折は自家源泉のお宿もいいですが、こちらのようなお宿も落ち着きますね。おっしゃるように、旅館の食事はちょっと辛く感じることもあるので、自分の胃袋と相談しながら食事を決められる自炊宿は助かります。肘折は何度でも行きたくなりますね。
    石抱温泉はブヨやアブが厄介なので、個人的には晩秋がいいのかな、なんて思ったりします。

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