※今回の記事にも温泉は登場しません。あしからず。温泉ネタは次回までお待ちください。
沖縄より南の台湾は常夏というイメージがありますが、九州と同程度の小さい島ながら、北部と南部、西部と東部、平地と山地では気候が大きく異なり、大陸寒気の影響を受けやすい冬季には、北部や山間部でかなり冷え込むため、場所によっては雪が降ることもあります。台北郊外の緑豊かな国立公園陽明山でも、2016年と2018年に降雪が見られ、特に2016年は数十年ぶりの積雪となったため、その椿事は日本でも報道されました。とはいえ、陽明山は標高が低いため、降雪しても薄ら雪化粧する程度でしっかり積もることはありません。
一方、台湾の山岳地帯は毎冬のように雪が降り、時には積雪が数十センチに及ぶこともあります。台湾には富士山より高い山が3つもありますから、当然ながらそれらの山々の頂は冬に白く雪化粧しますし、山腹やサミットを通過する道路でもしばしば降雪があり、通行する車両に対してチェーン規制が実施されることもあります。台湾の国道の標高最高地点である「武嶺」やその一帯は、冬季に積雪がみられる典型的な箇所。以前拙ブログでは、私が無雪期にこの「武嶺」をレンタカーで通過したことを取り上げましたが、その記事では路傍にチェーン装着の標識が立っていることや、チェーンのレンタル店が営業していることなどをご紹介しました(その時の記事はこちら)。交通手段さえあれば観光客でも台湾の雪を目にすることができます。
さて、拙ブログでは前回記事まで宜蘭県の野湯やグルメを取り上げてまいりましたが、湯巡りとグルメを満喫した私は、その宜蘭県から南西方向へ延びる台7甲線をひたすらレンタカーで走行し、「武嶺」をピークとする台湾の脊梁を越えて台湾中部の南投県埔里へ向かうことにしました。
まずは上の地図をご覧ください。右上にマークしているポイントは、前回記事で取り上げた美味しいネギの名産地である宜蘭県三星であり、今回の山越えドライブはここがスタートです。南西にむかってひたすら山を登ってゆき、その途中で「武嶺」を通過します。上の地図では紫色にポイントしてある箇所です。
実は前夜の交通情報で「武嶺」は雪の為に交通規制が敷かれていると知り、ノーマルタイヤのレンタカーで山を越せるか不安だったのですが、翌朝には解除され普通に通行可能であるとのことでしたから、山越えの道をチャレンジすることにしたのです。むしろ、山越えの途中で南国台湾の雪景色に出逢えるかもしれない・・・そんな期待に胸を膨らませながら、ハンドルを握ってサミット越えに挑んだのでした。
三星を14:30頃に出発。宜蘭県の大河である蘭陽渓に沿って、片側1車線の道が延々と続きます。
途中でいくつもの集落を通過します。上画像は数ある沿道の集落でも大きな部類に属する南山地区。コンビニもGSもあるので、休憩や給油の心配は不要です。
標高が高くなるにつれ道も険しくなりますが、極端に狭くなったり、急カーブや急勾配が連続する場所は少ないので、花蓮からタロコを抜けて台湾を東西に貫く中部横貫公路よりは走りやすいかと思います。その一方で景色はちょっと単調でつまらないかもしれません。
このようにいくつもの農業集落を通過します。農家は山の急傾斜地にへばりつくように建てられています。
当地の農家は険しい山を切り拓いて果樹園にしているのです。果樹に水を与えるための給水管が、まるで毛細血管のように急斜面の山肌に張り巡らされており、その光景に圧倒されてしまいました。農家の努力に感服するばかりですが、農作業は決して楽ではないことが容易に想像されますから、果たしてこうした果樹園を後継する方はいるのでしょうか。
16:45。観光拠点である梨山(標高1956m)でちょっと休憩。コンビニやGSのほか、多くの宿泊施設がある高原リゾート地です。日暮れが近づいているので、15分で休憩を済ませて17:00に出発。
梨山を離れると深山幽谷の世界に突入。生活の気配が感じられない険しい山奥のクネクネ道を走行します。
まるで小腸のような九十九折れの山道をひたすら進んでゆくと、やがて車1台分の幅しかないトンネルに差し掛かります。このトンネルを抜けると・・・
トンネルの先で丁字路に突き当たりました(17:45)。中部横貫公路との合流地点である大禹嶺です。丁字路を左折すると山を下ってタロコや花蓮。右折すると更に山を登って武嶺へ至ります。
私はもちろん右折。
武嶺へ近づくにつれ、路肩に白いものがチラホラと見受けられるようになりました。
18:00ちょうどに武嶺へ到達しました。標高3257m。
なお、この地点については以前拙ブログで詳しく紹介しておりますが(その時の記事はこちらやこちら)、3000メートル超の高地を車で越えられるんですから、台湾ってすごいですよね。
下界は半袖か薄手の長袖で気持ち良く過ごせたのに、ここの気温はなんと2.2~2.3℃!
寒いったらありゃしない。バッグの中から長袖を慌てて出し、身震いしながら重ね着してしまいました。
このあたりは合歓山の山域です。付近の岩肌には白いものが残っていますね。
上画像の雪は観光客に踏み固められていました。
わざわざ雪を見るためだけに市街地から車を飛ばして当地を訪れる方もいらっしゃるとか。
こちらの雪は綺麗な状態が保たれていますね。
このように台湾で真っ白な雪を見ることができました。狙って訪れたわけではなく、山越えをしようと思った日の前日に偶然雪が降ったために、図らずも台湾の雪を目にすることができたのでした。
さて、次回記事から南投県の温泉を取り上げます。
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