前回記事では韓国・忠清北道の水安堡温泉へ辿り着くまでの道のりをご紹介しましたが、今回記事からは実際に当地でお風呂に入ってみることにしましょう。どんなお湯に出会えるのでしょうか。
まず向かったのは、川沿いに建つ大きな入浴施設兼ホテル「水安堡温泉ランド(수안보온천랜드)」です。
玄関からは昭和の日本らしい雰囲気がプンプン香ってきますが、建物自体は2015年にリニューアル済みとのこと。ネットで調べたところによると、当地ではかなり古くからある施設らしく、100年前から営業しているんだとか。お安く泊まることもできるようですが、今回は入浴のみの利用で訪問しました。
玄関入って右手にある受付で料金を支払って、貸しバスタオルを受け取り、玄関前を通過して階段で地下へ下っていきます。
階段の踊り場には水安堡温泉の歴史を描いた絵画や史書が掲示されていました。私はハングルが全く読めないので、残念ながらどんなことが説明されているのかわからなかったのですが、その絵画を見ますと、皮膚病を患ったような人々がお湯に浸かっている姿が描かれていますので、かつては日本の温泉と同じようにかつては湯治目的で利用されていたでしょう。
階段を下った右が女湯、左が男湯。
脱衣室入ると、左右にロッカーがあり、洗面台などは左側に固まって配置されていました。ロッカーは大きくて使いやすく、使い勝手良好です。
脱衣室(だったはず)に掲げられていた2枚の古い写真。
スマホの翻訳によれば、1900年代初頭の当地を撮影したものなんだとか。当時は川の畔に数軒の木造建築が建つ、長閑な秘湯だったのでしょうね。
こちらもスマホの翻訳機能で解読してみると、上画像に写っている建物は公衆浴場であり、1916年8月に近代的な浴場として現在の温泉ランドがある場所に建てられたんだとか。台湾の温泉の多くが日本統治時代に開発されたように、この水安堡温泉も朝鮮王朝時代には発見されていたものの、本格的な開発は日本の統治下にあった20世紀初頭に、民間の日本人によって行われたんだそうです。この写真も当時のものであり、掠れているのでよく読み取れないのですが、写真には「温泉入浴客」「割引」という明らかな日本語的な漢字表記が写っていますので、ハングルが読めない私でも日本統治下の時代の写真であることがわかりました。それにしても、時代や場所を問わず、日本人は温泉に対して飽くなき執念心を燃やしてしまうものなんですね。
さて、歴史のお勉強はそこまでにして、実際にお風呂へ入りましょう。
浴室は広いが天井が低いので、実際の床面積ほどの開放感は無いかもしれません。手前側に洗い場が配置され、シャワー付きカランがたくさん並んでいます。
浴室の右奥にあるのはアカスリ場とサウナ。両者とも韓国の温浴場には欠かせません。
正面奥の、舞台のようにちょっと高くなっている箇所に浴槽が3つ並んでいます。
脱衣室に最も近い方の浴槽は40℃ほどのお湯が張られており、中央のやや小さな浴槽は43℃のお湯、そしてサウナに近い浴槽には冷たい水が張られていました。つまり3つのうち2つが温泉なんだと思われます。また、浴槽の後ろ側には何もないスペースが広く確保されており、日本の温泉みたいに湯船から上がってからそこでトドになる(つまり浴槽の傍で臥して休む)人もいらっしゃいました。
お湯が張られている浴槽には、湯面下まで入り込んでいるパイプから熱めのお湯が少しずつ吐出されていました。浴槽内には循環装置と思しきものは見当たらなかったので、放流式かそれに準じた湯使いかと推測されます(でも私の眼は節穴だらけなので、自信を持って断言できません。あしからず)。
そのお湯は無色透明無味無臭。これといった特徴が無いあっさりしたお湯ですが、43℃の熱いお風呂では、普通のお風呂では得られない温泉らしいシャキッとした気持ち浴感を得ることができました。
施設としては綺麗ですし、大きさもまずまずで使い勝手も良いので、当地を訪れたら利用する価値がある施設と言えるのではないでしょうか。
泉質等不明
忠清北道忠州市水安堡面 (충청북도 충주시 수안보면 주정산로 32)
ホームページ
入浴のみ8000ウォン
ロッカー・ドライヤーあり
私の好み:★★
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